人造神兵 11
スケルトンをビルに突入させてから五分が過ぎた。
そろそろスケルトンが首謀者を殺した頃かと見計らいビルに入ろうとした時だった。
背後から高速で接近する何者かの気配を感じ取った。
その気配はとてつもなく強大で荒々しい神気を帯びていてた。
この気配は龍鬼か。
俺は心の中でそう確信した。
「鬼龍スケルトンが全滅したみたい」
俺が龍鬼の方へ意識を集中させている間にスケルトンが全滅したみたいだ。
まさか千を超えるスケルトンの大軍をたった四人で全滅させるとは思わなかった。
俺がそんなことを考えていると地面にものすごい勢いで何かがぶつかった。その衝撃でアスファルトが砕け土埃が舞い上がる。
何かとは考える必要はなく龍鬼のことだ。
「鬼龍も来てたのか」
土埃が収まり、そこから姿を現したのは案の定龍鬼だった。
だが龍鬼の表情はいつもとは異なり真剣な表情をしていた。
何があったのかは知らないが龍鬼がこんな表情をするのは珍しい。
「なにかあったのか?」
俺はそう龍鬼に訊いた。
龍鬼に訊いた時だった、突如この場に刹那が現れた。
「あ! 鬼龍大変なことになったよ!」
慌てた刹那が俺の方へ駆け寄ってくる。
よく見ると靴すら履いていない。
よほど慌ててたんだろう。
「龍那ちゃんと凛那ちゃんがさらわれちゃった」
は?
さらわれた? 龍那と凛那が?
「どういうことだよ刹那!」
「それがね、鬼龍の部屋から変な気配がすると思って見に行ったんだよ。そうしたらこそには誰もいなくてこれだけがあったの」
そういって刹那はポケットから一枚の紙を出した。
そこにはこう書かれていた。
ここより南東の領域にて試練を設けた、娘たちを返して欲しくば見事試練を乗り越えその武勇を我に見せてみろ。
「これは女神アテナだな」
手紙を見た龍鬼がそう言った。
もしかして龍鬼は何か知ってるのか?
「おい龍鬼。何か知ってるのか?」
俺龍鬼にそう訊いた。
こいつが何かを知っていれば間違いなくそれは重要な情報となる。
龍那達をさらった理由は不明だ。だから何でもいいから情報が欲しい。
「いや少し前に大陸の南東付近に新しい島が出来たと情報があってな、そこを調査しにいった隊員が女神アテナと名乗る女性と接触したと報告ががあった。おそらく場所も近いし事実だったのだろう」
龍鬼からもたらされた情報はあまりいい情報ではなかった。だが龍鬼が言ったように場所が一致したということは二人を拉致したのは女神アテナの可能性が大きくなったということだ。
だが、俺は正直龍鬼が嘘をついていると思った。根本的な部分は本当かもしれないが、何か怪しい、というより何か違和感を感じたのが正直なところだ。
だが龍鬼は俺の不利になる情報は寄こさないし、絶対に裏切らない。それが長く龍鬼と一緒に居る俺の感だ。
何か嘘をついているとしたら、それが龍鬼にとって必要だったからだろう。
「ここはオレに任せてさらわれたっていう嬢ちゃんを助けに行ってこい」
「あぁ。行くぞ陽月、刹那」
俺らは一旦屋敷へと転移した。
今回も読んでいただきありがとうございました。