表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/138

人造神兵 5

 早朝、嫌な気配で俺は目が覚めた。

 気配は五人、家の外に居るのが嫌でもわかる、しかも殺気を隠しもしていない。


 一体何を考えているんだ。


 そして俺の部屋に近づいてくる二つの気配、この気配はわかる。


 「鬼龍変なのが外にいるけどどうする?」


 俺の部屋に時雨と白が入ってきた。

 きっと二人も外に居る何者かの気配に気が付いたのだろう。


 外に居るのは五人、明らかにこっちに敵意を持っている。

 五人だけなら無力化は簡単に出来るとは思うが相手の強さが判らないので何とも言えない。


 どっかの荒野にでも転移させて放置するか、それともそこで尋問するか。

 どちらにせよここで戦闘をすれば周りに被害が出る可能性がある。


 よし大陸の南の荒野に強制転移させて尋問するか。


 「二人はここに居て、俺は外の奴らを調べてくるから。ディーネ」


 俺は時雨と白にそう言って、神格を持っている水の精霊ディーネを呼び出す。


 「何ですか?」


 ディーネが部屋に姿を現す。

 俺の知っている限り神格を持った精霊はディーネ以外には知らない。

 もしかしたらシルフィーも神格を持っているかもしれないが、いまだに神格を持っているのは確認していない。


 「実は少し手伝ってほしくて」


 「わかったわ」


 俺はディーネの返事を待ってから外に出た。




 外には男が五人だけいた。

 その男達は全員似たような格好をしており背も体格もそれほど大差が無いように見える。

 ただ直に見てわかった事がもう一つある。それは全員神格を持っているということだ。


 本来神格とは長い年月を経て得るものだ。

 他にも信仰によっても得ることはできる。

 だが、彼らが信仰されているとは到底思えないし彼らが長い時を生きているとも思えない。


 そして気になる事が一つ出来た。


 なぜ俺を狙ったのか。現在俺がここに住んでいる事を知っているのは俺の家族、陽月、寧々、桜井紗那と親しい友人、龍鬼だけだ。


 たまたまここを狙ったにしては不自然すぎる。

 いろいろ訊きたいことが出来たな。


 てか攻撃してこないんだな、あんなに殺気を出しておいて。


 とりあえずやるか。



 今の俺には全知全能は使えない。だが精霊の力によっていろいろなことができる。

 今からやるのはその一つ、前に朱里と雫がやろうとしたのと同じ、水や火で魔法陣を書く技術だ。


 まず頭の中で転移の魔法陣を想像、構築する。そしてその情報をディーネに心の中で伝える。

 描く魔法陣の大きさは中規模の転移魔方陣だ。


 ディーネの力で空中の水分を集めて魔法陣を形成する。



 「させると思うなよ龍王」


 俺がディーネの力で魔法陣を描いていたらようやく敵が動き出した。

 敵は炎の剣で物凄い速度で斬りかかってくる。

 だが、俺の方が一歩早い。



 「危ない!!」


 俺と俺に斬りかかってくる男の間に少女が一人飛び込んでくる。

 俺はその少女に見覚えがあった。

 飛び込んできたのは出雲東華彼女だった。


 炎の剣が東華に当たる前に魔法陣が発動する。

 そして舞台は荒野に変わることになった。





 荒野に転移した俺と東華、そして謎の五人。

 この荒野には枯れた草と岩が点々とあるだけで他にはなにもない。


 俺と東華から百メートル離れた地点に五人、本来なら東華も魔法陣に入った時点で、あの五人の場所に居るのだが、瞬間的に東華の背中に触れ、同じ地点に転移したわけだ。


 そもそも魔法陣に入った時点でこの荒野に転移されるのは強制な訳で、もしも俺が気が付ない所で魔法陣に入っていたら、この広大な荒野のどこかに転移させられて危険な目にあっていたかもしれない。


 「これは転移? 先輩ご無事ですか?」


 東華がそう訊いてくる。

 俺は当然無傷だ、東華が俺を庇うような行動をしなくても攻撃が当たる前に魔法陣が発動していた。


 いや、庇ってくれた事に対してお礼を言うべきか。


 「東華のおかげで無事だよ。ありがとう」


 俺は俺を庇ってくれた東華にお礼を言った。

 今思えば東華の飛び込んでくる速度は凄まじかった。魔法で身体強化をしていたにしても、俺の死角からの移動速度、判断力が凄い。

 これで中学生なのだから驚きだ。


 「お怪我が無いようで何よりです。それよりあの人達は何者ですか?」


 東華があの男たちについて訊いてくる。

 東華が訊いてくるのは当然として、俺は答えに迷う。

 正直俺が訊きたいくらいだ。


 俺がそう考えながら男達の方に意識を向ける。

 男達は状況が理解できていないのか周りをキョロキョロ見渡している。

 戦闘能力に比べて状況判断能力はあまり無いみたいだ。


 そもそも全部あいつらに訊けばいいんだな。


 「わかんないからここに飛ばして尋問しようと思ってたんだよ」


 「この転移は先輩が?」


 東華が質問をしてくる。


 「あぁ」


 俺がそう返すと東華の両手には二丁の黒い拳銃が握られていた。

 俺にはあまり銃に関する知識はないが、あれが魔法の銃であることはなんとなくわかった。


 「情報を引き出すから殺すなよ」


 俺は念のためそれだけを東華に伝えておく。


 そして俺は異空間から漆黒の太刀を取り出す。


 「わかってます、先輩こそ殺さないでくださいよ」


 会って間もないのにそんな事を言われるのはこんな状況だからだろうか。


 あれ? ディーネはどこだ。

今回も読んでいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ