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愛娘

少し短いです。

 朝日が眩しく輝き、新たな一週間が始まる。

 学園生活には馴染めたとは言いがたいが、楽しく過ごしている。

 そして今日も時雨と白とで登校している最中だ。


 「あ~あ。私も鬼龍の子供見たかった」


 少し拗ねながら時雨がぶつぶつと何かを言っている。

 学園近くの自宅を出てからずっとこんな感じだ。


 俺の子供と言うのも微妙だが血は繋がっている。だが、実際父親としての自覚なんてまったく無い、それに正直あの報われなかった双子の少女に同情して自分の娘にしたのだが、今では無責任だったのかもと思うこともある。


 自分の子供にしたからには幸せに成ってほしいし、幸せにするつもりではある。


 自分の娘を初めて見たときは可愛いと思った。だけどそれだけだった。

 何度も言うが今の俺には親としての自覚はない。

 正直屋敷からは逃げた形になっている。


 今後どのように接するのか考える必要があるな。


 「ところで龍神王様には報告しなくていいの?」


 時雨がそう訊いてくる。


 龍神王。

 それは世界最強の龍。姿は古の龍の姿をしており、龍神種の頂点に立つ怪物。

 最上位の龍神すら歯牙にかけない強さを持っている。


 今俺はその龍神王の下についており、実質的な師弟関係になっている。

 この龍神王と俺の事を知っているのは俺以外には時雨だけだ。

 その龍神王に娘が出来たと報告しなくていいのか? そう、時雨は訊いている。


 「んー 今度会いに行くときにでもいいんじゃないかな。まあ、気が向いたときに伝えるよ」


 俺はそう時雨に答える。


 実は少し気になっていた事がある。


 「そういえばクラスには馴染めたか?」


 そう、時雨がクラスに馴染めたかが気になっていたんだ。

 俺と時雨は高等部と中等部で別けられているため普段の様子はあんまりわからない。


 さすがに能力を使えばわかるがプライバシーってものがあるため使っていない。

 そもそもそんな事は本人に訊けばいいし、普段の様子から楽しいのは分かっている。


 だけど、実際あまりクラスでの話を聞いたこともないし友達と居るところも見たことがないので、少し気にはなっていたのだ。


 「うん、鬼龍よりは馴染めてはいるよ」


 その言い方だと俺は馴染めてないみたいに聞こえるのだが!?

 たしかに馴染めているかというと浮いている気がする。


 教室でもあまり話せる人がいないし。

 もしかして俺ってボッチ?


 てか、なんで時雨は俺の様子を知ってるんだ?


 「もしかして俺って監視されてる?」


 もしも能力を使った監視だとしたら俺は即座に発見できる。でも、俺にもわからないってことは物理的に見られてるってことか。

 いや、監視じゃない可能性もある。


 例えば噂だ。俺は編入生なのですぐに噂はたつ。

 もし仮に噂だとしても中等部の方にまで噂が広がるだろうか。


 「実は帰った後に白ちゃんにいっつも鬼龍の事を訊いてるんだ」


 以外に時雨は簡単に種明かしをした。


 なるほど身近に共犯者が居たわけか。

 危険は身近にあるんだな。


 俺は心の中で隣の白虎の女の子を見ながらそう思った。







 昼。屋敷では二人の幼子と一人の少女が広い屋敷の庭を駆け回り、黒髪の少女がそのほほえましい光景を眺めていた。


 「やっと捕まえた」


 私は銀髪の幼女。凛那を捕まえた。

 彼女はしばらく走っていたのにも関わらず息すら上がっていない。

 子供の体力は凄まじい。


 「えへへ~ 捕まった~」


 凛那が良い笑顔を私に向けてくる。

 その笑顔は思わず抱き締めたくなるような可愛さがある。


 一方もう一人の娘は。


 「私も捕まえて!」


 と遠くで涙目になって今にも泣きそうな顔をしている。


 しょうがないな~


 私は凛那を抱え、龍那のもとへと駆け出す。

 私には鬼龍みたいな馬鹿げた筋力はない。しかし小さな子供を抱きながら走るくらいはできる。


 駆け寄った私は凛那を一度おろし、龍那と凛那を同時に抱き締めた。

 やっぱり自分の娘だと思うと凄いかわいく見える。

 朝までは凄い不安があったが、今となってはそんな不安はもう無い。

 今あるのは娘たちへの愛情に近い感情だ。


 「ほら、捕まえたよ」


 「うん!」


 龍那はそう元気に返事をして、私に思い切り抱き付いてきた。


 龍那が私に抱きついた瞬間、胸からポキポキと何かが鳴る音が聞こえた。


 龍那と凛那は産まれたばかりとは思えないほど力が強い。

 この筋力はおそらく鬼龍譲りだろう。


 正直今は魔力で身体強化をして身体を丈夫にしているので、多少の事では怪我はしないが、今の私が少し痛いと感じると言うことは一般人では死んでしまう可能性すらある。


 近々二人に力の加減を教えないといけない。

 だけど、私と鬼龍くらいには全力で甘えるくらいはさせてあげたい。


 でも、力加減を教えないと、もしも寧々抱きつかれでもしたら寧々が死んでしまうかもしれないので気を付けて見ていないといけない。


 まあ、そこら辺は鬼龍に任せよう。

今回も読んでいただきありがとうございました。

今回は令和初の投稿でした。

これからもこの作品をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公が強いのはわかったけど龍神王の前では木端なのか・・・。
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