表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/138

龍王の娘達

 俺が目を覚ましたのは朝焼けが眩しい早朝のことだ。

 俺は基本的には睡眠は必要無いのだが、昨日は白に言われるがまま布団に入ってしまった。

 別にその事に対して何か思うことは無いのだが、これはどういうことだろう?


 俺の両脇に小学生低学年くらいの女の子が二人寝ているのだ。

 右には黒髪が綺麗な女の子。左には銀髪の女の子が寝息をたてている。


 確か昨日は卵と一緒に寝たはずだ。そういえば卵は? もしかしてこの子達が卵が孵化した姿なのか?


 俺は全知で彼女達の情報を読み取る。


 黒髪の少女。名前無し。


 種族 龍神 人。


 遺伝子では鬼龍と陽月の間の子供。




 銀髪の少女。名前無し。


 種族 龍神 人。


 遺伝子では鬼龍と陽月の間の子供。



 思ったより情報が少ない。おそらく孵化したてだから情報が少ないのだろう。未来の情報も読み取ればもっとあるのだろうけど、今はいいや。


 とりあえず自分の子供なのはわかったが、何故赤ん坊の姿ではなく、子供の姿なのだろうか?

 そしてよくみると二人とも服を着ていない。


 まあ、当たり前か。産まれたばかりなら服を着ていないのが。


 両脇に居る少女達が同じ動き、同じタイミングで俺の腕に抱きついてくる。


 流石は双子だな。


 俺はそう思いながら、全能の創造で二人分の服を作り出し、着せる。



そういえば今日は登校日だな、時雨を起こして登校するか。


 俺は身体を黒い霧に変え、布団から出る。


 「シルフィー 少しの間だけこの子達を見ていてくれないか?」


 俺はどこに居るかもわからないシルフィーにそう声をかけた。

 だが、シルフィーには聴こえているだろう。何故ならシルフィーは風の精霊王なのだから。


 突如、室内に柔らかな風が吹き、一人の少女が姿を現す。


 「いいよー 任せて!」


 小さな胸を張りながら朝から元気いっぱいにそう答える。

 その姿は少し背伸びをしている子供の様に見えたのは言わないでおこう。








 「え? 産まれたの? 名前は決めてるの?」


 と陽月が凄い勢いで訊いてくる。

 まあ、当たり前だろう、昨日卵の状態だったのだすぐには孵化しないと思っていたのだろう。


 そのため昨日では名前は決めていなかった。

 だが、実はすでに名前は決めていた。


 「あぁ、一応な。黒髪の姉の方が龍那。銀髪の妹の方が凛那だ」


 「んー? いいんじゃない。私はあまり親としての自覚ってか意識みたいのがまだ無いから」


 と陽月が言う。


 まあ、意識がないのはしょうがないだろう昨日突如言ったことなのだから。

 そしてそのつぎの日には娘が二人も居るんだし。


 そうとなればやることは一つ。


 「じゃあ俺と時雨は学園に行くから、後は陽月に任せるよ」


 俺は無理矢理に会話を終わらせて時雨と白を連れ学園近くの自宅へ転移した。







 逃げるように去って行った鬼龍。その消えていった場所を睨むように見る。


 「バカァー 私にどうしろっていうの」


 久しぶりに大声を出した気がする。

 まったく自分勝手なんだから鬼龍は。


 「どうしたのヒツキ? おかしくなっちゃった?」


 突如背後から声が聞こえた。

 その声はそよ風のように穏やかで綺麗な声だが、内容は私をからかうような内容だ。


 あれ? 確かシルフィーとは昨日がほとんど初対面じゃなかったっけ?

 なんで馬鹿にされてるんだろう。


 「昨日はありがとうね、シルフィー」


 私はシルフィーの言うことを無視して昨日シルフィーに助けてもらったことのお礼をした。


 私はまだシルフィーの性格を知らない。

 ただ、少し子供みたいな性格だなと思っているだけだ。


 そんな子の言うことなんて気にしなくても大丈夫だ。


 「んー まあ、いいよ。ところで白と黒のお嬢様達がお目覚めになったんだけどどーする?」


 白と黒のお姫様?

 私はその言葉に疑問を覚えたが、おそらく二人の髪色のことだとう思ったので、聞き流した。


 「そう、会いに行くわ」


 と私は渋々二人の娘の元に向かった。







 襖を開け、鬼龍の部屋に入った私は二人の少女と目があった。

  一人の少女は黒髪で深紅の瞳を持っている。もう一人の少女は銀髪で黄金の瞳を持っていた。


 二人とも可愛らしい顔つきの幼い子供だ。



 「はじめまして、私は一応あなた達のお母さんに成った龍神代陽月。言葉わかる?」


 一応初対面ということで自己紹介はしたが、思ったより反応が無かったので、言葉が通じないのかと思ってしまった。

実際産まれて間も無いはずなので言葉がわからなくてもしょうがないと思う。


 「うん! わかるよ。お母さん」


 「わかるよ。ママ」


 元気な声をあげて返事をしてくれたのが黒髪で深紅の瞳の龍那。

 次に気弱そうな声をあげたのが銀髪で黄金の瞳をしている凛那。


 多分これで合っているはず。自分の娘の名前を憶えれないなんてそんな事はあっちゃいけない。


 あまり子供と接したことは無いけどこれから頑張ろう。


 「これからよろしくね。龍那、凛那」


 私は二人の名前を呼びながら二人をだきよせ頭を撫でる。

 二人とも少し動揺したが、同時に私に抱き付いてきた。


 この二人の報われなかった前世を繰り返させないために。この二人の人生を幸せにしてあげるのが私の役割だと頭を撫でた時に初めて実感した。

今回も読んでいただきありがとうございました。

実は昨日に投稿しようと思ってたのですが、文字数が足りなかったので今日投稿しました。


これからもこのような事があるかもしれませんが、次回からもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ