入学試験5
鬼龍たちがファミレスで食事をしている頃双神学園では。
「今年はすごい転入生が入ってきましたね紗那先生」
「ああ、いや一人は戻ってきたというべきか」
校舎の廊下で二人の女教員が話している。
一人は白衣姿で首には聴診器を付けていて茶髪を後ろでまとめている。おそらくは保健室の先生で名前は三浦汐里。
桜井先生と呼ばれた桜井紗那は、まるで中学生と見間違うような少女の見た目の先生だ。とある事件がきっかけで不老不死となってしまったため年を取ることができないのだ。
「まあ、入学したらたっぷり可愛がってやるけどな。この私をこき使ったこと後悔させてやる」
紗那は笑いなら合格者のリストを見ている。
「ところで桜井先生」
「なんだ」
紗那がぶっきらぼうに振り向く。
紗那は別に汐里の事が嫌いでぶっきらぼうに返事をしたのではない。どちらかというと仲がいいのでこれが二人の間では普通なのだ。
「さっきの試験での戦いで、彼はいったい何をしたんですか?」
さっきの試験、鬼龍と試験官の戦いだ。汐里はさっきの戦いで色々疑問に思ったことがあったのだ。
ちなみに、彼というのは、先ほど闘技場で戦っていた鬼龍のことである、汐里は先ほどの戦いで一体鬼龍が何をしたのかを紗那に聞いているのだ。
「私にもわからん。ただ、唯一わかったことは」
紗那はここで一旦言葉を区切った。
「あれは魔法ではないことぐらいだな」
紗那は鬼龍が試験官を倒したのを魔法ではないといったのだ。だが、それしかわからなかったようだ。
まあ、いくら紗那でも鬼龍の秘密まではわからないのだから当然だ。
「それは、本当ですか? いや、本当でしょうね、禁呪の魔女と恐れられた桜井先生が言うのですもの」
汐里は紗那の言ったことに最初は驚きながらも、紗那の言っていることが間違っていないと確信したようだ。
ちなみに、汐里が紗那に皮肉っぽく禁呪の魔女と言ったが、この大陸の軍上層部で恐れられてらりする。
その理由は、紗那が使う禁呪の量である、数年前の戦争で禁呪を使って島を一つ地図から消したことが原因である。ちなみに紗那が不老不死の魔女になったのはその頃である。
「まあ、それより驚いたのは魔法をコピーしたほうですけどね」
汐里は鬼龍が試験官の魔術をコピーしたことの関心が移ったようだ。
魔術をコピーと簡単に言っているが実際は異常なことで、普通の人では不可能に近かったりする。
まあ、魔術のコピーが簡単だったら学校で教える必要がなくなったりする。
「あれは、あいつの特性みたいなものだからあんまり気にするな」
汐里は紗那が鬼龍のことを結構知っている事が気になったが、それを口に出さなかった。