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優しい人

少し短いショートストーリーです。

一切主人公視点ではありません。



 街で恐い男の人達に囲まれていた私たちを助けてくれたのは、黒髪のお兄さんだった。

 妹は私の後ろで泣いていて、私も何も出来なかった。

 だけど優しい魔法使いのお兄さんが私たちを助けてくれた。





 お兄さんには二人の連れがいた。

 一人は綺麗な銀色の髪の優しいお姉さんと、白い髪で猫みたいな女の子だ。猫みたいな子は私たちより二つくらい年下に見える。


 「猫?」


 妹が小さな声でそう言った。

 私たちは猫が好きなので女の子の事が少し気になる。


 「白って言うんだ。よかったら仲良くしてくれないか?」


 黒髪のお兄さんがそう言ってくれた。

 お兄さんがそう言ったからなのか妹が白と呼ばれた子の頭を撫で始めた。


 私も撫でよ~


 私も白ちゃんの頭を妹と一緒に撫でる。

 白ちゃんの髪の毛はふわふわで柔らかくてさわり心地が最高!





 黒髪のお兄さんと銀髪のお姉さんと一緒にご飯を食べにきた。

 目の前には黒髪のお兄さんと銀髪のお姉さん。横には猫の女の子。テーブルの上には熱々の鉄板に乗って湯気を漂わせているハンバーグステーキ。


 「お姉ちゃん! 美味しそうな匂いがするね」


 妹がテンションを高くして私にそう言ってくる。

 確かに美味しそうだ。

 それにこんなに大勢で食事をするのは初めてだ。


 いつもは妹とで家政婦さんが作ったご飯を二人で食べているだけだ。

 お母さんが居なくなってからお父さんとはあまり話さなくなった。


 「そうだね」


 私がそんな暗いことを考えていてもハンバーグステーキは湯気を上げジュージューと音をたてている。

 その美味しそうなハンバーグステーキの魔力に私は引かれてしまう。


 「揃ったし食べるか」


 黒い髪のお兄さんが私たちを見ながらそう言った。

 もしかして私そんなに食べたそうな顔をしていたの? でもしょうがないわ、だってハンバーグステーキが美味しそうなのが悪いのだから。


 「いただきます」

 「いただきます」

 「いただきます」

 「いただきます」

 「いただきます」


 不思議と全員の掛け声がそろってしまった。

 なんか変な感じ、食事ってこんなにも楽しいんだ。






 楽しい時間はあっという間で、お兄さん達は帰ることになってしまった。

 お兄さんたちにまた明日会いたいと妹が言ったら、明日のお昼にまたここで白ちゃんと来るって言ってくれた。


 家に帰り妹と部屋に籠る。

 多分お父さんは研究室に籠ってて、家政婦さん達は家の掃除をしているのだろう。

 正直家の中では自分達の部屋以外は嫌いだ。まあ、嫌いなのはお父さんと家政婦さんなのだが。


 「今日は楽しかったね」


 妹がベッドに寝転がりながら私に言った。

 確かに楽しかった。だけど恐い目にもあった、この妹は忘れているのかしら?


 「白ちゃんふわふわしてたねー」


 確かにあの子はふわふわで可愛かった。また明日も会えるんだもんな。

 明日が楽しみなのはいつぶりだろう。


 「早く明日になるといいね」


 私は妹にそういい、窓を開けた。

 空はオレンジ色に成っておりカラスも鳴いていた。


 「あの人達が家族だったら良かったのに」


 私は小さな声でそんな事を言ってしまった。

 きっと心のどこかで暖かい人達に囲まれたいと思っていたのだろう。

 お父さんとは二日に一回会えばいい方だ、家政婦さんは私たちの事が嫌いなようで優しくないし。正直生きてても楽しくない。

 だけど私には妹が居る。優しかったお母さんにも妹を守るって約束したし。


 「お父さんがあのお兄ちゃんだったら良かったね。白ちゃんは妹で三姉妹」



 私の小さな声が聞こえてたみたいで、妹はそんな妄想を始めた。

 でも、確かに白ちゃんが妹で、銀髪のお姉さんがお母さんで黒髪のお兄さんがお父さんだったら私たちは幸せだったんだろうな。





 今日の少女達は幸せな夢を見るだろう。辛い現実から目をそらすために。

 残酷な未来があるとも知らずに。

今回も読んでいただきありがとうございました。


次回の投稿は来週の日曜日に予定しています。

次回もよろしくお願いします。

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