表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/138

入学試験4

 試験が早めに終わったので鬼龍と時雨は学園近くのファミレスで少し遅めの昼飯を食べることにした。

 昼過ぎということもあってか、店内にはあまり人はいないみたいだった。そのおかげで待たずに席に座ることができた。


 「鬼龍大人げない」


 時雨が唐突に鬼龍に言う。

 いったい何のことだろう? 時雨に大人気ないことをした覚えはないんだけどな。

 こういう時は本人に訊くのが一番だな。


 「なんにがだよ?」


 鬼龍は相手の心を読めるが普段は使わないようにしている。  

 もしも相手が自分のことが嫌いで心の中で何を思っているかわかってしまったら、多少なり今までと同じ関係を続けていける自信が鬼龍にはないからだ。

 まあ、時雨や家族が俺を嫌ってるとは思いたくないのが鬼龍の本音だったりする。

 実は鬼龍には友と呼べる人が少なかったりもするので、友達を大切にしたいと思っている。


 「試験での」


 時雨はあまり喋らないほうなので、言葉足らずになることがある。

 試験でのってなんだ? もしかして試験官を倒した時の事かな? いや、それ以外ないな。


「あ~」


 鬼龍は時雨が何を言いたいのか理解した。

 もう少し言葉を増やしてくれると助かるんだけど。


 「なんで手加減しなかったの」


 時雨は俺の目をまっすぐ見てきた。


 「何でって、あれでも手加減してたんだぞ」


 俺は言い訳をした。言い訳と言うよりは事実だ、決して嘘ではない。

 事実俺が本気を出していないのは時雨もわかっているはずだ。

 もしあの場で俺が本気を出したら間違いなく、あの試験官はこの世にはいなかっただろう。


 「まあ、いいけど、能力を使いすぎたら正体ばれるよ」


 時雨は諦めたように言ってきた。 

 確かに時雨の言うとおりだ。試験官に使った力は本来ならば人間が使うことのできない領域の技だ。

 だが、幸運にもあの場にいた人にはあれが何だったのかは理解出来てはいない。だが、今後もばれない保証はどこにもないのだ。もしばれたら、今の鬼龍にとっては色々面倒なことになる。

 だからこそ、不用意に力を見せてはならないのだ。妹である時雨がそれを理解しているのに鬼龍が理解していないはずはなかった。

 実は、鬼龍の本能には戦いを楽しむというものがあるのでつい遊んでしまうのだ。それを理解しているので時雨もあまり強く言えなかったりもする。


 「以後気を付けます・・・」


 鬼龍は時雨から目をそらしながらそう言った。

 だが、自分のために心配してくれた時雨のためにもここは努力はしようと思う。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ