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不死の加護 1

 俺達は教室に戻り朱里の荷物を取り、校舎を出ようとしていた。

 今いるのは、俺と朱里そして雫だ。

 朱里は明るい色の髪をポニーテールにしている女の子で、泉雫は淡い青色の髪を肩で切り揃えている女の子だ。

 二人ともクラスメイトだ。


 「で、謝るのは私って話だけど。実はね私たちは鬼龍君を殺そうとしていたんだ」


 朱里はうつ向きながらそう言った。

 殺そうとしたって俺をか?


 「鬼龍君が龍王様って事を知って、普通の手段では倒せないと思ったんだよ。だから殺すぐらいでも大丈夫かなって思って。ごめんなさい」


 朱里が今度は俺に頭を下げる。

 ここはまだ学園内で人目があるのでこの光景は注目を集める。


 俺が龍王ってこと聞かれてないよな。もし、聞いてそうなやつが居たら記憶を改竄しなきゃいけないから面倒だな。


 俺がそんなことを思っていたら何を思ったのか雫が俺と朱里の間に入り頭を下げた。


 「鬼龍さんが怒ってるのはわかるけど、あまり朱里ばかり攻めないで。私が悪いの━━」

 「違う!」


 雫が必死に朱里を庇う姿を見て俺は俺が悪者に成っているような気がしてきた。

 俺は雫に言葉を遮るように言葉を重ねた。そのためか少し声が大きくなってしまった。


 「頭をあげてくれ二人とも」


 俺の声が少し大きかったのを怒鳴ったと思ったのか雫が涙目に成っている。


「いや泣くな雫。俺は怒ってないから、少し話し合おう」


 俺は何故か雫をなだめている。


 二人の女の子に頭を下げさせてしかも片方を泣かせている、この状況は周りからしたらどう思われるのだろうか。


 「うん」


 雫は涙をこらえているようだ。朱里はまだ少しうつむいている。


 「とりあえず俺は怒ってないからな。ここでは話しづらいからとりあえず俺の家まで来てくれ。別の話しもあるし」






 途中公園で学園の近くにある俺の自宅に三人で転移した俺達は三人でテーブルを囲んでいた。

 もちろん空気は重いままだ。


 「まずもう一度言っておくが俺は怒ってない」


 朱里がと雫が俺の顔を見てくる。


 「なんで?」


 朱里が俺に訊いてきた。

 まあ、普通なら殺されかけたときいたら逃げるか怒るのだろうけど、俺は普通ではないのでそんな選択肢はない。


 「俺も二人に幻術を使ったからだ」


 俺はそう言った。

 実際に殺された訳ではない上に逆に俺は二人に幻術を使った。

 どっちかと言うと俺の今の視点では俺の方が悪いと思うのだけど。


 「でも私たちは貴方を殺そうとしたんだよ! 大魔術まで使って」


 俺がここまで言っているのに朱里はまだ自分が悪いと思っているらしい。

 しょうがないはっきりと言うか。


「だけどその魔術は二つとも発動されなかった。その前に幻術を使ったからな。それにそんな魔術を使っても俺にはダメージを与えれないよ」


 俺は事実を述べた。

 俺にあの程度の。朱里が大魔術と言っている攻撃では俺には効かない。

 俺は全ての異能に対する耐性が備わっている。しかも最低でも中位龍以上の攻撃以外ではダメージを負わない。まあこの姿の場合でしかも俺が戦闘状態じゃないときでだ。


 俺が本気の時には俺より弱い異能は全て無効されるし。任意で何倍にして跳ね返すこともできる。しかも俺に殺意を持ったやつはその瞬間に死ぬし、敵意を抱いたものは体の自由を奪われて全身をとてつもない痛みが襲う。そして害意を抱いたものは意識と記憶を失うことになるのだ。

 しかももしもこれを掻い潜って来た攻撃すら防ぐ結界がある。

 それにそもそも俺の龍神化した状態の俺の鱗を傷つけれるのは俺の知っている限り百匹もいない。


 まあ、ダメージを負ったとしても俺の回復力なら瞬間で回復する。回復不可なダメージだとしても時間を戻すとか色々な方法で回復が可能だ。

 死んだ場合だって、俺を殺したやつを任意で道ずれにできるし。魂を破壊されても一秒もかからないで生き返れる。しかも死ぬ前の倍に以上の強さになり、同じ死にかたは出来なくなる。


 他にも色々なあるがこれらの事を踏まえて俺はこの二人にはそもそもダメージを与えられないと判断した。


 「二人は俺には勝てない。何故なら俺は龍王。生物最強の種族の王だから」


 俺は二人に笑顔でそう言った。


 「もしも二人が俺を殺しても俺は恨まないし、それは凄いことだと思うよ。だから二人とも気にするな」


 俺は二人にそう言って台所に行った。

 行った理由は二人に何も出していなかったからだ。まあ、さっきの空気で出せなかっただけだが。


 「許してくれるの?」


 雫が俺に訊いてきた。

 朱里も俺の方を見ている。


 「許すも何もそもそも怒っていないって行ってるだろ。それより二人ともこれどうぞ」


 俺は台所からお菓子とジュースを持ってきてテーブルにおく。


 「それより別の話をしようか」


 俺は二人にお菓子を手で進めながら話す。


 「いただきます」

 「いただきます。鬼龍さん別の話って?」


 二つともお菓子を食べながらこっちを見てる。

 朱里はまだ沈んでるのか静かだ。沈んでる朱里の代わりに雫が俺に訊いてくる。


 「今日の朝に屋敷で二人に訊いたことだ」


 今日の朝。つまりクトゥルフの眷属を倒した報酬の事だ。二人は俺が巻き込んだ形になるが結果として活躍したのだから褒美を与えることに龍鬼と話し合って決めたのだ。


 「えっと。私はまだ決めてない」


 「私も」


 朱里と雫がそう答えた。

 お菓子を食べて少しは朱里も元気が出てきたみたいだ。


 「なら俺から提案なんだけど、不死の加護ってのはどうかな?」


俺はそう言った。

俺も一応神だから加護ぐらいは与えることができる。


 「不死の加護?」


 「それってどんな加護」


 二人とも理解してない顔をしている。

 不死の加護って言っているのだからわからなくはないと思うんだけどな。


 「不死の加護って言うのはまあ、不死身になる加護だ。本来の不死は呪いで死にたくても永久に死ねないのだが、不死の加護は呪いと違って死にたくなればに死ねる。しかも傷の回復や魔力の回復も早くなる加護だ」


 俺は二人に加護の説明をした。

 正直これは俺の願いかも知れない。俺は不老不死の龍神だ。二百年もすれば俺の知っている人は皆死ぬだろう。

 今目の前にいる二人の友人も皆居なくなるだろう。

 だから俺は二人に不死の加護を与えようとしているのかもしれない。


 「え? それでもいいの?」


 そんな凄い御加護をいただいていいの?」


 二人が俺に聞き返す。

 もちろん俺は嬉しい。不死になればより強く成ることだって可能なのだから。


 「もちろん二人がそれでもいいなら」


 俺は二人にそう言った。

 二人は互いを見て頷いた。


 「もちろん!」

「もちろん!」


 二人とも同じ反応だった。


 早速二人に加護を与えたいがその前に儀式があるので、二人に屋敷に来てもらわなくてはいけない。

 何故ならその儀式とは授与式だからだ。


 「二人とも今から屋敷に行くけど時間大丈夫?」


 俺は二人に門限は大丈夫か確認した。

 今の時間は午後5時、普通の高校生の門限が何時か知らないが一応訊いておいた方がいいだろう。


 「独り暮らしだからわたしは大丈夫」


 朱里がいつもの調子で答えてくれる。

 やっとテンションが戻ったみたいだ。


 「私もまだ大丈夫。遅くなるようだったら連絡する」


 雫も大丈夫みたいだ。そこまで遅くもならないだろうし。

次回の投稿は来週の日曜日です。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公の祖父や両親ってなんで亡くなったんだろう?いずれ出ます? [一言] 不老不死・・・うらやましいようなそうでないような・・・やっぱり知ってる人を見送るのはきつそう・・・。
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