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実戦訓練 決勝 裏

なんとか投稿できました!

 時間は少し戻り俺達が朱里と雫と戦う頃にさかのぼる。


 「なあ優」


 俺は横にいる春田優に話しかける。

 俺はふと疑問に思った事があった、それは━━


 「相手を無力化する方法で殺す以外で一番いい方法ってなんだろうな?」


 鬼龍には二つの人格がある。

 一つは人間としての人格だ。基本的には無駄な戦いはしないがやむを得ない時には戦うような性格だ。

 二つめの人格は龍王として人格。戦いを好み、すぐに争いを生む人格だ。

 鬼龍は二つめの人格を押さえる事ができている。だが、一日に何回も戦うと龍王の人格が目覚め始めるのだ。しかも無意識に少しずつ。


 「………閉じ込めるとかか?」


 鬼龍に訊かれて優はそう答えた。


 「違うな正解は、意識を奪うことだ。例えば幻術で意識を奪えば、相手は幻の中でしか動けなくなる」


 鬼龍は少しずつ変わっていった。

 戦いを楽しみだしてきた。


 「今から実戦してやるよ」


 鬼龍がそう言うと。


 「では始めろ」


 担任である桜井沙那がそう言ったのが聞こえてきた。

 さっきから何か言っていたのは知っていたがあまり聞いていなかった。


 「鬼龍さん行くよ」


 すると対戦相手の一人である泉雫が抜刀した状態で走ってきた。

 彼女の周りには複数の水の塊が宙に浮いている。


 見るからに魔力が含まれているな。


 「水斬刀」


 雫がそう言うと周りの水の塊が五つの刀に姿を変える。

 その五つの水の刀は宙に浮きながらこちらに迫ってくる。


 あの水の刀が俺を切れるのか試してみるか。まあ無理だと思うが。


 水の刀が鬼龍に触れそうになった瞬間、ただの水に戻ってしまった。

 こんなことができるのはこの場では三人居た。一人は術者である雫だ、だが雫が術を解くはずはない。二人めは鬼龍だ、だが鬼龍はあえて攻撃を受けようとしていたから鬼龍も違う。そう残り一人の仕業だ、水の精霊であるディーネの。


 「させないですよ」


 ディーネが鬼龍の肩からそう言った。


 受けてみようと思ったがまあ、いいか。

 そろそろ終わらせるか。幻術で。


 「キリューには手出しさせないよ~」


 シルフィーがそう言ったのに合わせて俺は幻術を発動させる。


 幻術 希望の夢

 相手の望む展開の夢を見させる。

 これは鬼龍の能力で造り出した幻術。能力の名前は幻。


 二人が崩れるように倒れる。


 「シルフィー 優しく寝かせろ」


 鬼龍がシルフィーにそう命じた。

 龍王の人格に目覚め始めている鬼龍も、まだ相手を思いやるとができたらしい。


 「任せて~」


 シルフィーは二人が倒れて床にぶつからないように風でクッションを作った。


鬼龍には二つの人格がある。二つに共通しているのは仲間や家族を思う気持ちだろう。






 時は戻り現在。場所は保健室。


 「あら、目が覚めたみたいね。ここは保健室よ」


 声の方を向くとそこには茶髪を後ろ縛っている白衣を着た女性が立っていた。


 確か名前は三浦汐里。保健室の先生だったような。

 そしてなぜ私はここにいるのだろうか?


 「一応お名前を訊いてもいい」


 保健室の先生が私に名前を訊いてきた。

 おそらくは記憶の異常が無いかの確認だろう。


 「えぇ、私は結城朱里です」


 私は自分の名前を言った。


 「そう。ありがとう、貴女がなんでここに居るのかわかる?」


 保健室の先生が私に訊いてきた。

 正直わからない。

 私は鬼龍君と戦っていたはず、いやあれは夢だったのかもしれない。

 わからない。わからない。


 「わからない」


 私は少しパニックになっていたのかもしれない。

 そういえば雫はどこだろう?

不思議と雫の事が気になった。


 「実はね授業の一環で実戦訓練をしてたらしいんだけど」


 保健室の先生が話し始めた。


 やっぱり夢じゃなかったんだ。


 「川上君って生徒が貴女達に幻術をかけたらしいのよ」


 保健室の先生はそこで言葉を区切った。


 らしいとはどういうことだろう?


 「まあ、これは川上君本人から聞いただけだから詳しくは知らないけど。あ、後で川上君が来るって言ってたから」


 川上君。川上鬼龍は保健室の先生こと三浦汐里もよく覚えていた。入学試験で試験官を倒した生徒だと。


 「そう言えば雫。私の友達は居ないのでしょうか?」


 私は気になっていた雫の事を保健室の先生に訊いてみた。


「あ~ お友達なら二十分ほど前に目を覚まして大丈夫そうだからって教室に戻ったわよ」


 保健室の先生が腕時計を確認しながら答えてくれた。

 私が保健室の先生の話を聞いていると扉がノックされるおとが聞こえてきた。

 おそらくはさっき来ると言っていた鬼龍君だろう。


 「失礼します」






 俺は雫と共に保健室に向かっていた。

 理由は簡単だ、今回の戦いで勝ったとはいえ意識を失わせるような事をしたのだ。そして意識を失った相手はまだ目が覚めてないらしいのだ。見舞いくらい行くべきだろう。

 幸いなことに雫は目を覚まして教室に戻ってきた。


 二人の足音が廊下に響く。別に意識して足音を出しているわけではない。不思議なことに他に誰も居ないのだ。


 「鬼龍さんはやっぱり強いね、勝てなかった」


 無言で歩いていると雫が俺に話かけてきた。

 俺の勝手なイメージだと雫は無口だと思っていたのだがな。


 「なんで鬼龍さんはそんなに強いの?」


 雫が俺に訊いてきた。

 その答えは簡単だ。龍王、すなわち生物の最強種である龍種の王だからだ。だが、雫はそんな答えを期待していないだろう。


 「ずっと戦っていたからな。神や龍神、邪神、魔王と……… 保健室についたな」


 話していたら保健室が見えてきた。

 俺は話をやめて保健室の扉をノックし部屋に入る。


 「あ、川上君と泉さん。結城さん目を覚ましたわよ」


 部屋に入ると保健室の先生。三浦先生が朱里が目を覚ました事を伝えてくれた。

 く見ると奥のベッドに横になっている朱里の姿が見えた。


 「雫それに鬼龍君も、どうしたの?」


 朱里が元気そうな顔で訊いてきた。

 ばれないように神眼で朱里の体調を見る。

 見た限り魔力やマナ、プラーナなど生命エネルギーは無事に回復したみたいだが、精神は回復しきれていなかった。


 無理して笑顔を作っているのか。


 「迎えに来た。一緒に帰ろう」


 雫が朱里にそう言った。

 雫は一瞬心配そうな顔をしたが朱里の表情を見て何かを察したのだろう。


 「うん。でも教室に荷物とってこないと」


 朱里がそう言いながらベッドから立ち上がった。


 やっぱり幻術はやり過ぎだったな。


 「どうしたの鬼龍君そんな顔して?」


 朱里が俺の顔を見ながら聞いてくる。


 これからも長く付き合うことになるのにこれじゃダメだよな。これからは自分の感情を完全にコントロールしないと。


 「朱里、雫、今日はすまなかった。俺もやり過ぎたと思っている、これからは幻術を使わないようにする。だから許してほしい」


 俺は深々と頭を下げた。

 これで許してもらえるなんて思ってはいない。


 「いいよ別に。戦いだったんだから」


 朱里が素っ気なく言ってくる。

 やはり怒っているよな。


 「私も別に気にしてない」


 雫も短く答える。


 気にしてない訳はないはずだが。


 「頭をあげてよ。雫も気にしてないって言ってるんだし。それに、謝るのは私の方だよ」


 俺は頭をあげて二人を見る。


 朱里がなんで俺に謝るんだろう?

 俺の中にはそんな疑問があった。


 「ここじゃなんだし場所変えようか」


 そうして俺達は教室に向かって歩いていった。







次回の投稿は来週の日曜日です。

次回も読んでください。

Twitterやpixivでイラストを投稿しているのでぜひ見てください。

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