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まだ終わらない一日

後半はほのぼのします。

 俺達は勝ち残りついに決勝まで来た。

 決勝まで来たと言うと大袈裟に聞こえるがそんなたいしたももではない。授業の一環でタッグで模擬戦をしているだけだ。


 なぜ模擬戦をしているかと言うと、夏にあるこの国の守護神を称えるために行われる祭り、鬼神祭で行われる武芸奉納のための練習のようなものだ。

 武芸奉納とは戦い好きのこの国の最初の龍神がこの国の民にさせた戦いの名残である。


 「鬼龍の精霊は強いな」


 春田優が俺にそう言ってきた。

 優が言っている精霊とはシルフィーとディーネのことだ。

 さっきの戦いでシルフィーとディーネをつかって戦ってみたのだ。その戦いを見た優はさっきからテンションが少し高いみたい。


 「もしも俺が戦っていたら霧に成られて物理攻撃が効かなかったからなー 俺も精霊を使いたいよ」


 優は俺の横に居る小さな姿をした二人の精霊を見ながらそう言った。

 一人はエメラルドグリーンの髪と瞳をした風の最上位精霊のシルフィー。

 もう一人はキレイな青色の髪をした精霊で、俺が誤って神格を与えてしまった水精霊ディーネ。


 「……今の状態だったら俺でも倒せたりしないかな?」


 しばらく二人を見た優は何を思ったのかいきなりそんな事をいい始めた。


 いくらなんでも風の最上位精霊と神格を得て最上位精霊に成った精霊に多少異能が使える人間が勝てるはずはないのに。


 そんな優の戯言を聞いているのかいないのか俺の肩に乗っている水の精霊ディーネは器用に眠りだし、俺の横で宙に浮いているシルフィーは無視している。


 さすがに俺まで無視は可哀想なので返事をしてやるか。


 「……さすがに無理だろ。人間が高位の精霊には勝てないよ」


 俺達の会話が静かな廊下に響いていた。






 さっきの戦いは低レベルの戦いだった。

 私。結城朱里はそう思った。


 戦いの内容は凄かったが鬼龍君が呼び出した二人の精霊の力が凄すぎた、頭を使わない単純な攻撃で一方的に倒しただけだった。

 まあ、私も鬼龍君や白ちゃんと戦った時もそうだったけど。

 それほどまでに私と鬼龍君との実力がかけ離れていると言うことだろう。


 「はー 頑張るしかないかな。ね、雫」


 私は横に座っている親友にそう語りかけた。

 雫は小さい頃からの仲で一番信頼している。


「ねえ朱里は鬼龍さんと戦えると思っているの?」


 雫が暗い表情で私に訊いてきた。

 雫の言いたいことはわかる。私たちは昨日も鬼龍君と戦ったのだから。

 昨日戦いも酷いものだった、全く歯が立たなかった。

 でもしょうがない、だって鬼龍君はこの国を守る神様。龍王様なのだから。


 「思ってないよ。だって最強の龍王様だよ? 私たちが勝てるはずがないよ」


 私は雫の目を見て言葉の続きを話す。


「でも、龍王様と勝負できる機会なんて滅多にないんだよ? それに鬼龍君は本気では戦わないと思う。いや、戦えないと思うんだ」


 私の言葉を聞いて雫が少し顔をあげる。


「鬼龍君の力は強すぎるんだよ、そして私たちは鬼龍君に負けた事がある。だからそこを利用する。一矢報いてやろう」


 私は雫と一緒にあの怪物に挑みたい。





 鬼龍が学園に戻り白ちゃんと二人きりで鬼龍の部屋に居た。

 さっきの一件で鬼龍の周りにまた女の子が増えた。

 婚約者。つまり将来の相手である私、龍神代陽月が居るのにだ。


 「白も戦いたいな~」


 私の横で白ちゃんがゴロゴロしながらそんな事を言っている。

 白ちゃんは獣の王の白虎の一族だ。

 だが今は銀髪ショートに猫耳尻尾の可愛らしい姿をしている。


 「う~」


 白ちゃんがなんか唸りだした。

 恐らくは鬼龍とあの水の精霊の戦いを見て体がうずいているのだろう。

 白虎は本来は戦いを好む一族だ。その一族の中でも白ちゃんはまだ子供だ、本能で戦いたいと思うのだろ。

 しょうがないわね。


「白ちゃん一緒に遊ばない?」


私は白ちゃんにそう言った。

白ちゃんとは少しは打ち解けたと思うけどもう少し仲良くなりたいと思っている。


「なにして遊ぶの?」


ゴロゴロしていた白ちゃんが私を見てくる。

猫耳がピーンと立っているので私と遊ぶ気はあるらしい。


「白ちゃんが今したくてしょうがないこと」


私が白ちゃんにそう言うと白ちゃんは首を横に振った。


「鬼龍に怒られるからここじゃ無理」


白ちゃんがそう言った。

もちろんここで遊ぶつもりはない。そもそもここでは全力で楽しめないし。


「じゃあお出かけしようか。どこがいい?」


「広い原っぱ!」


「わかった。ちょっと待っててね」


私は龍達の力を借りる事ができる。それは龍王すなわち最強の生物である鬼龍からも力を借りれるというものだ。

鬼龍の能力の一部に創造と言うものがある。

創造は自分の思ったものを造る生み出すと言うもので、その能力は世界も造る事ができる。


私は鬼龍の創造で新しい空間に世界を造る。その世界は草原の世界。植物はあるが動物はいない世界。


こんなものかな。


「じゃあ行こうか白ちゃん」


私は鬼龍の部屋の壁に手を当てそこに魔力を送る。

私の手を中心に私より少し大きいくらいの楕円形の異界の門ができた。

門と言うよりトンネルに近いような気がするけど。





門をくぐった先には私が造った世界が広がっていた。

緑の原っぱ、小高い丘に小さな池、そして青空が広がる世界。

ここで私は白ちゃんと遊ぼうと思う。


「ここなら本気で遊んでも大丈夫だよ」


私は白ちゃんにそう言った。


「気持ちいい」


白ちゃんは草原に駆け抜けるそよ風に当たって気持ち良さそうな顔をしている。

確かに太陽も暖かくて風も静かで何より動物の音がない。


「眠い」


白ちゃんは小さくあくびをした。

確かに昼寝するにはいいかもしれない。

私もさすがに少し疲れているらしく眠たくなってきた。


「昼寝する?」


白ちゃんが私を昼寝に誘ってくれた。

少しくらいならいいかな。今日は鬼龍が帰ってくるまで仕事がないし。


「しようか。お昼寝」


そして私たちは誰もいない草原で二人っきり昼寝を満喫することになった。


ちなみに私も白ちゃんも身体は丈夫な方なので風邪はひかないので安心して眠れる。

次回の投稿は来週の日曜日の午前九時を予定しています。

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