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神の領域に踏み行った精霊

 半身を殺した? いったいいつ? 意味がわからない。

 俺は彼女。鮮やかな青色の髪をした精霊を見ながら考えていた。

 よくみると彼女からは神の力を感じる。

 神なのか?


 疑問は尽きることがない、神の力を持つ精霊が居るとは聞いたことがない。


 「鬼龍あの人に何やったの?」


 後ろから陽月が非難の目で問いかけてくる。

 正直に言おう俺に身に覚えは一切ない。

 ワケわからん。


 「いや、勘違いじゃないかな? 少なくとも初対面だと思うし」


 俺は彼女の顔を見ながらそう答えた。

 彼女の顔はよく整っていて、深海のような深い青色の瞳をしている。

 そんな顔は一切記憶にない。

 彼女の記憶を探ればわかるが、勝手に探るのはさすがにダメだろう。


 「いや、見た目は違うけど間違えるわけがないよ」


 彼女はにこやかに笑いながら言葉を続ける。


 「だってワタシの半身を殺した人だし。それに隠しているようだけど、とてつもなく凄い力を持つ生物がそんなに居るとは思えないのよ」


 いったいいつだ? いや、俺が覚えていないだけなのか?

 俺が思いだそうとしていると彼女から突如殺気を感じた。


 その殺気は明確なもので、龍鬼や白、陽月が警戒するのに十分だった。


 「悪いけどあなた、ワタシと戦ってくれないかしら。まあ、拒否権はないのだけれどね」


 彼女がそう言うと突如晴れていた空は曇り、穏やかだった海は荒れ狂い始めた。

 さっきの殺気は、偽りの殺気だった。だが戦うのは本気みたいだ。


 「殺す」


 一言そう言うと白が彼女に襲いかかろうとした。


 「白。それに二人とも、これは俺が挑まれた戦いだ俺がやる」


 俺に挑むって言うなら望むとこだ。相手が神格を持っているならなおさら。最近は手応えのない戦いばかりだから楽しみだ。

 だけどそろそろ学園に戻らないと不味い時間だ。

 残念だが早めに終わらせるかな。


 「本来の姿にならなくていいのかしら?」


 彼女が一歩前に出た俺を見てそう言った。

 龍化まで知っているのか。てことはおそらく見られたのはあのときかな?


 「一応言っておくが俺の本来の姿はこれだ。この姿で産まれたんだからな」


 俺は龍王だが、それは、龍の姿をしている時だ、事実この姿で産まれたのだからこの姿が本来の姿だ。

 だが、彼女が言っているのはそう言うことではないだろう。

 その証拠に彼女は不満そうな顔をしている。


 「そんなあからさまに不満そうな顔をするなよ。わかった、望んでいる姿に成ってやるよ」


 おそらく彼女はすぐに顔に出るタイプなのだろう。


 俺は龍神化をする。

 俺はクトゥルフ戦と同じような姿になる。

 目は威圧感のある龍の目に、背中には翼、手や足も龍の姿に。

 前回は朱里や雫がいたので配慮していたが、今回はそんな配慮はいらない。


 「そう来なくっちゃ」


 彼女また怪しい笑みを浮かべた。


 「かかってこい、神性をもつ精霊よ」


 俺は彼女にそう言う。

 今回は圧倒的な力の差を見せれば解決しそうなので、こういうやり方をする。


 「なんなのその言い方、なんかやだな」


 彼女がそう言うと空中に水の玉が無数に出来上がっていく。大きさは直径十センチくらいだ。


 「あんまり調子に乗ってたら後悔するよ」


 すると彼女はその水の玉をこちらにぶつけようと飛ばしてきた。

 水の玉は凄いスピードで俺に飛んでくる。

 俺の後ろに陽月達が居るので回避が出来ない。だから別の手段をとる。


 「消えた? いや瞬間移動かな?」


 彼女が一瞬そう言ったがすぐに俺に気がついた。

 一人で回避が出来ないならみんなで回避すればいい。

 俺はみんなを少し離れた場所に転移させて、俺はもとの場所の十メートル横に転移した。


 標的に当たらなかった水の玉は俺達がいた後ろの木に当たった。

 当たった水の玉は勢いよく弾けた。いや爆発したの方が表現的には正しいだろう。

 その証拠にぶつかった所とは大きく消し飛んでいる。


 「どう? 限界を越えて圧縮させた水を爆発させた感想は」


 水蒸気爆発。液体が気化するのを利用して爆発させたのか。

 さすがは水の精霊。神格があるだけはあるな。まさか水の温度すら操るなんて。

 だが、つまらん。


 「器用な事が得意なようだが、その程度の攻撃が当たったくらいで俺にダメージを与えれると思ってるのか? 俺からしたらそんなのただのシャボン玉だ」


 俺は相手をわざと怒らせるようなことを言った。

 だが、相手はそれに気にしたようすはない。


 「お前の前に立っているのは生物最強の龍王だぞ」


 俺は彼女にはっきりそう言った。だが、彼女は笑った。


 「知ってるよ。アナタが王様ってこともこの程度じゃ傷つかないことも。だから時間稼ぎしたんだよ、多くの水を支配するためにね」


 彼女はそう言うと両手を天に向けた。

 するとそれに合わせるかのように海の水が天にのぼっていく。


 まるで自分自身が小さくなったかのような錯覚がおこる。


 「だけどこの質量を爆発させたらどうかな?」


 今空にはもうひとつの海が出来たかのような光景広がっている。

 水が気化した場合約千七百倍になる。

 もしもあの量の海水を大陸に落としたらおそらくノアの大洪水みたいになるだろう。

 そんな量の水が一気に気化するんだ、被害は計り知れないだろう。

 だが、今の俺の身体には傷一つ着けることすら出来ない。それほどに力の差があるのだ。

 まあ、爆発させる気はないけど。


 「この大陸の人々なんてみんな死んじゃうかもね」


 彼女の瞳の中にあるのは嬉しさだけ。その理由はわからない。

 俺はこの大陸の守護神だ。ならとる行動は一つ、防ぐことだけだ。


 「させるわけないだろ」


 俺はこっちの世界で初めてこの能力を使う。

 使う能力は支配。

 森羅万象、万物の全てを支配する能力。


 「え!? なんで?」


 空の海が元の海に飲み込まれていく。すべての水が元通りになる。


 「水をすべて支配した。つまりもう素手でしか俺と戦えないと言うことだ」


 俺はすべての水を支配したと彼女に言った。

 その言葉は真実ではない正確には液体、空気中にある水分もすべて支配した。

 液体と言うのは血液もふくまれているが、相手は精霊のため、殺すことは難しいだろう、だから勝利を宣言しなかった。


 「それはアナタの能力? それともアナタの王様の能力かしら?」


彼女は満足そうに笑いながらそう言った。

俺はその問いに答える義務はない。まあ、答えたのは気分の問題だな、クトゥルフより楽しい戦いだったからだろう。

まあ、クトゥルフよりはだが。


 「俺の能力だ。この能力でお前も支配することもできるがどうする?」


 「ワタシを支配してどうするきよ。」


 彼女は顔を隠しながら俺にそう聞いた。

 勘弁してくれよ。そういうとらえかたされたわけ?


 俺がそう思っていると彼女が笑い始め。


 「嘘よ嘘。負けでいいわよ。アナタがその姿に成ってから勝てると思ってなかったしね」


 全く焦らすなよ今の会話が陽月に聞かれていたら後で説教受けてたぞ。


次の投稿は来週の日曜日です。

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