旧支配者の復活 中
今回は主人公鬼龍は登場しません。
鬼龍以外のお話です。
もうすぐで朝日が顔を出しそうなときオレは今車を飛ばして南の海に向かっている。何故ならば、敵を迎え撃つのに一番近いところだからだ。
オレは鬼神龍鬼。この大陸の王で守護神。オレにはこの大陸を守る義務がある。
オレは移動系の魔法や特殊能力のは一切使えない、そのため出来ることといったら車を全速力で走らせることと、軍を動かすことしか出来ない。
残念ながらこの大陸でも有数の力を持つ焔龍家の力は借りれなかったが。この大陸の東から南の海辺にすむ龍家には力を貸してもらえることになった。
ちなみに、焔龍家は現在当主が不在のために、勝手な判断が出来ないとのことだった。
そんなときだった。いきなり地面が揺れた。大きな揺れだった、おそらくは震度八くらいはあっただろう。なんせ道路には地割れが起き、木々は倒れて、建物が倒壊しているのだから。
「まじかよ。これはあまり援軍を出せそうにもないな」
オレはその場でそんなことを言ってしまった。周りには人がいないので、ただの独り言だが。
鬼龍、今回も俺たちだけで頑張らないといけないみたいだ。
オレは心のなかで、そう鬼龍に語りかけた。
朝日が見え始めた頃、私たちは海を見ていた。
「もうすぐで鬼龍の言っていた時間」
私はみんなにそう言った。
みんなとは私の周りにいる、白ちゃん、シルフィードさん、結城先輩と泉先輩のことだ。
「そうだね~ まあ、もうすぐですっごいのが来るけどね」
シルフィードがそう楽しそうに言った。
なぜだろう、嫌な予感がする。
私は一段と周りを警戒した。
「スゴいのって何が来るの?」
朱里がシルフィードにそう訊いた。
朱里は昨日、シルフィードの力で体調をくずしていたけど、今はシルフィードが自分の力を押さえて小さくなっているため、今は普通に話すことができる。
「それはね~ 大きな地震かな~」
シルフィードはワクワクした顔でそう言った。
そう、そう言った瞬間だった。突如、大地が大きな揺れ始めた。
「え?! まさか本当に地震? いくらなんでも大きすぎるでしょ!」
朱里は地震がきたことに驚いていたが、それにしては冷静だっただろう。おそらくは、直前にシルフィードが地震がくると言ってたのもあるが。
鬼龍につれてこられたおかげで緊張感があったからだろう。
「まともにたってられない」
雫もこの異常な状況下では冷静だった。
ちなみに、白は野性的な部分があるためか地震が来てもいつもと変わらなかった。
「ちょっと待ってて今止めるから。」
時雨がそういうとなにもない空中から二本の刀を別の空間から取り出した。
時雨の一つの能力は空間を操ること。空間から物を出すなんてことはぞうさもなかった。
時雨が出した刀は二振り。どちらも見た目はいわゆる日本刀の太刀の形をしており、鞘はどこにも見当たらない。一振り目は紫で刃紋が不思議と揺れている。二振り目は青色でこちらも刃紋が不思議と揺れていた。
これは神器と呼ばれるものだ。
ここでの神器は神々の武器という意味だ。
すなわち、妖刀、聖剣、魔剣の凄い親玉みたいなものだと思ってほしい。
時雨は地面に紫の刀を突き立てた。突き立てた場所から紫のオーラがドーム状に広がっていく、その大きさ半径約一千キロメートル
時雨の能力の一つは空間を操る能力。今時雨は刀を刺したところを起点に半径約一千キロメートルの範囲の空間の安定化をしている。今の時雨にはこれぐらいしか出来ない。
ようするに、地盤を安定させて地震を和らげようとしているのだ。
「おさまったの?」
朱里がそんなことを言った。
「そうみたいだね」
雫もそう言った。
この大陸ではこんなに大きな地震は滅多に起きない。そのため街は大きないな被害を受けた。総額にして約一千五百億円の被害が出たのであった。これは広範囲の割にはとても損害額が低い。その理由は時雨が地震を和らげたことで建物の倒壊が少なかったことと地震での津波が小さくなった事が理由だ。
「時雨さん、あなたは一体」
雫が状況を理解したためか、この異常なことをした時雨にそう言った。
時雨が何て言えばいいか考えていると。
「それより、もうすぐで、キリューの。いや、龍王様の戦いが始まるよ~」
シルフィードが楽しそうに、興奮したようにそう言った。
シルフィードは風の精霊王。世界に存在する大気が彼女と言っても過言ではない。すなわち空気があれば、そこの状況がわかるのだ。
さっきの地震は大きかった。私の名前は龍神刹那。
さっきの地震はおそらくクトゥルフの復活によるもの。それにこの紫のオーラは時雨ちゃんのものだ。おそらくは時雨ちゃんが地震を小さくしたに違いないわ。
「冬姫ちゃん、がんばってね」
私は冬姫にそう言った。何故ならば、水平線から大きな津波が迫ってくるのが見えたからだ。
津波はだんだん迫ってくる、およそ二十メートル位の高さはあるだろうか。少なくとも普通の地震では起きないような大きさの津波が襲ってきているのだから。
私たちがいる場所はいわば半島と言われるような場所で、おそらく津波が一番最初に到達する場所だ。
「わかってます。あれを止めるのが私のやることですから」
冬姫が数歩前にでながらそういう。冬姫はなぜか家族にすら敬語になる。その理由は鬼龍や刹那ですらしらない。
冬姫が腰に下げている太刀にを抜く。
その太刀は、銀色、いや光の加減で水色にも見え、刀身は水に濡れているかのような光を放っていた。
「行きます」
冬姫がそういうと、結っていた髪をほどく。周りの温度が下がった気がした。いや、息が白くなるくらいには寒い、本当に下がったのだ。
冬姫の姿が変わる。冬姫は龍人だ、すなわち龍化。龍人ができる特性だ。
冬姫の耳が尖り、頭からは水晶のように透き通った角が現れ、背中には白銀の翼が、体の至るところには純白に鱗が生え、手足は完全に龍のそれだった。
津波の勢いは凄まじく瞬く間にここに迫っていた。およそ距離は三十メートル位だろうか、近くにあるからこそわかる、津波の大きさが。まるですべてを飲み込むような大きさだ。
「止まれ」
冬姫はそう言った。たったそれだけだった。
たったそれだけで津波が止まった、海が止まった。すべてが凍りついてしまったのだ。だが、不思議なことに、陸地はほとんど凍ってはいないのだ。これは、冬姫の能力、万物を止める力の副産物。動きを止めるということはその物の運動エネルギー、熱を奪うということだ。
冬姫が持っていた刀を横に振った。
すると、津波は根本から切れて倒れた。倒れた氷が海面の氷とぶつかり砕け散った。
その光景は凄かった。冬姫が切ったどこまでも続く氷のオブジェが倒れ、海面の氷とぶつかり砕け散り、凄い水しぶきを天高く上げた。
「ひとまず。いや、ここからですね」
冬姫は海面を見ながらそう言った。冬姫達はわかっていた、海から何者かが迫っていることを。
「えぇ、ここからね」
私は冬姫に同意した。
「命がんばる」
命がそう言った。
そう、ここからが本番なのだ。
おそらくは今日か明日にはまた、投稿できますのでよろしくお願いします。




