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女神降臨 5

 セリカと戦ったあとに夕焼けを見に西の海岸へと来ていた。

 ここら一帯はエルフ達の管理している領域なのだが、森に住んでいるエルフは普段海辺には来ない。


 ただし魔獣や妖精など様々な者が生態系を築き上げている。


 心地いい潮風が吹いている。


 「気持ちいい〜」


 陽月の赤いグラデェーションのかかった銀の髪が風に揺られてなびいている。

 転移魔法を使える彼女と俺ならば様々な場所へと行くことができる。

 それがたとえ魔境と言われる場所の入り口に位置するエルフの領域だろうが関係ない。


 「いい眺めだ」


 俺も夕日が沈む海を見ながら風を感じる。

 少し冷たい風だが温暖な気候では気落ちよく感じるほどだ。


 今は11月だが、このエルフの領域は神聖樹があるおかげなのか年間を通して暖かい。

 年中過ごしやすいので人が多いかと思えば、自然豊かすぎるのでそういう訳では無い。



 のんびりしているうちに日は沈んでいく。


 「お待たせしました」


 背後から冬姫に声をかけられた。


 申し訳無さそうに冬姫は謝ったが、陽月も俺も気にしたりはしなかった。


 「大丈夫だ」


 俺がそう冬姫に言うと、陽月も頷く。

 二人で綺麗な景色を見られただけでもここへ来てよかった。


 実際は夕日を見に来たわけではなく、冬姫を迎えに来ただけなのだ。


 冬姫は冒険者ギルドに加入しており、今回はエルフ領で依頼があったらしい。

 行きは依頼人を護衛しながら行ったらしいが、帰りは俺が迎えに来たということだ。


 冒険者ギルドの歴史は長く、千年以上前とも言われているが、不明確である。

 最近では冒険者と言うよりハンターと言われることもある。

 昔は各地を転々として冒険者業を行っていたが、近年では同じ場所に拠点を構えるものも少なくない。


 しかし大陸の北側は人類にとって魔境と言われるほど魔物や神獣など人類にとっての脅威がいる。

 そのため大陸の北部の探索なども冒険者が行っている。


 また冒険者は何でも屋の側面も大きいため各街にギルドが設置されている。


 「今回はなんの依頼だったの?」


 陽月が冬姫に尋ねる。

 少し考えて冬姫は答えた。


 「あまりこういうのは言ってはいけないのですが、エルフ王妃の護衛です」


 普通ならば王妃の護衛などは親衛隊などが行うが、今回はなぜか冬姫だけだったそうだ。

 

 「なんでもエルフ領で一大事が有ったそうで致し方なく私に依頼をしたそうです」


 そう冬姫は続けた。

 冬姫自身も身分は王家なのだけどしょうがないだろう。


 「なるほどね」


 王妃の護衛の依頼を冬姫単独に依頼したのにはいくつか理由があるだろう。

 一つ目は冬姫が王家であり、女の子と言うことが挙げられる。

 ニつ目は冬姫のランクによるものだろう。

 冬姫の冒険者としての階級はロードだ。

 ロードは最上位に位置する階級で大陸にも数人しかいない怪物だ。


 階級はGランクから始まってAランクで終わるのが基本であり、Bランクで終わる人も少なくない。

 Aランクに行くには才能が必要とされている。


 更に上Sランクは英雄と言われてもおかしくない程の実力者しかなれない。

 まさに人外の領域に足を踏み入れた者たちだ。

 街の危機を救ったりしたものが多い。


 SSランクは更に化け物しか居ない。

 街等を何度も救いったり、国難を退けることもある。

 SSランクになれば二つ名が与えられる。


 そしてSSランクの上がロードと言われる階級だ。

 国難や人類の危機、大陸の危機等を当然の如く退ける力をもち、各々が最強の名にふさわしい実力を持っている。



 何万人も居る冒険者の中で冬姫はロードまで上り詰めていた。


 ギルドランク ロード 剣帝 白銀の剣姫


 成した偉業は魔王の単独撃破やクトゥルフの眷族討伐等が挙げられる。


 元々魔王の単独撃破だけでもロードへの承認が検討されていたが、クトゥルフの眷族討伐で確定になった。



 以上の様な実力と経歴を持つためエルフ王妃の護衛に単独で依頼がきたのだと思う。

 更に言えば龍王の妹という事もあったのだと思う。



 「とりあえず帰ろうか」


 俺は二人にそういう。

 しかし返事は予想外の方向から聞こえた。


 「まだ帰ったらダメよ」


 その声の主は俺の背後にいた。

 気配を悟られずに背後に居たのは金色に輝く銀髪を持つ赤い瞳の少女だった。

今回も読んでいただきありがとうございます!

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