女神降臨 4 【ウルカ】
木々がざわめく森の中。
湖の湖畔で少女が一人歩いていた。
少女の周りには赤や黄、青等の様々な光が宙を舞っている。
少女は水の上を歩きながら綺麗な髪を揺らしていた。
金色がかった銀髪はまるで星空のような輝きを放ち、見るものを見惚れさせるだろう。
「たまには人里にも行こうかな」
精霊神ウルカは周りの精霊たちに話しかけた。
精霊たちは嬉しそうに点滅してる。
「そっか君達も一緒に行こうね」
そう言いながらウルカは湖の畔の都市へと向かっていった。
都市へと向かったウルカは、ある人物の元へと向かっていた。
ゆっくり歩く彼女に何人もの人が振り返り、目を奪われる。
もちろん彼女が美しいのもあるが、彼女の格好もその一つの要因になっている。
彼女は白い布を舞っとっているだけである。
なんとも奇抜な格好。
彼女はそんなことを気にしないで街を進んでいく。
進んだ先には広場があり大勢の人が綺麗な隊列を組んで待ち構えていた。
「お久しぶりでございます。ウルカ様」
列の先頭で待っていたのはエルフ王であった。
エルフ王は静かに跪いた。
そうここはエルフの森であった。
「そう緊張しないでいいよ」
ウルカはエルフ王にそういった。
だがエルフ王からは緊張が伝わってくる。
エルフ王はハイエルフであるが、ウルカは精霊神であるため尊敬や畏怖の対象なのである。
さらにエルフやドワーフにとって精霊とは特別な意味を持つのでその神となると緊張するのはしょうがないのかもしれない。
「光の精霊に伝言をお願いしたんだけど聞いてくれた?」
ウルカは優しい表情でエルフ王に問いかける。
それとは対象的に冷や汗まで流しそうなエルフ王。
「はい」
それしか答えないエルフ王。
「じゃあそういうことだから」
そう言いながらウルカは踵を返して何処かへと去っていった。
ウルカが去っていった後のエルフの森
「王ご無事ですか?」
エルフ王の側近が水を片手に側によっていった。
一口水を飲むエルフ王。
「あぁ」
エルフ王はウルカを恐れている。
そして崇拝している。
過去にウルカによってエルフの森は守られたことがあり、その際のウルカの戦う姿が恐ろしくてたまらないのである。
姿を見るたびに恐ろしい姿が蘇る。
だが彼女はそれだけではない、森を再生したり恵みを与えもしてくれていた。
その両面を知っているからこその畏怖と崇拝。
機嫌を損ねないようにとの気持ちでエルフ王はいっぱいだった。
エルフ王は光の精霊からの伝言を思い出していた。
一つ、これから人の姿でであるくことがあるが、正体をバラさないこと。
二つ、あまり干渉してこないこと。
伝言はこの二つであった。
エルフ王とドワーフ王は精霊神の戦いと姿を直接見たことがある数少ない証人である。
この先何かが起こるとエルフ王に予感させるには十分であった。
また似たようなことをドワーフの山脈でもウルカは行った。
今回も読んでいただきありがとうございました!