女神降臨 3
巷ではステータスというモノが流行っているらしい。
俺もその存在をつい最近知ったときは驚いた。
友人の朱里から聞いたが、どうやら俺が全知全能で見るのと近い感じだった。
ただ情報は省略されている上に力量によって見える量も変わるらしい。
知らない女神が概念付与したみたいだ。
概念付与ができる神は高位の神である可能性が極めて高い。なんの目的かはわかんないが、少し気になる。
まあ神の気まぐれの可能性もあるが害があれば消せばいいだけだ。
些細な変化は有ったが、俺の日常はあまり変わらない。
「優勝川上鬼龍&泉雫ペア!」
なんだかんだで鬼王祭を優勝してしまった。
俺としてはつまらなかった事もないが、あまり記憶に残っていなかった。
雫と白に戦闘を任せたのでほとんど見てただけだった。
一応大陸中から参加者が集まるが、刹那や冬姫、命は俺をだと気がつくと辞退していったのでマジで記憶に残らなかった。
実際俺が出していたのは白以外にシルフィー、ディーネ、ミードの精霊王3柱も出していたのでつまらなかった。
「良い戦いが見れて嬉しいよ」
そう言うのは鬼王 鬼神龍鬼だ。
しかもニヤニヤしながら俺を見る。
「本当ならオレから君にプレゼントが有ったんだけど、君には必要ないみたいだから彼女に上げるとするよ」
そうして龍鬼は一つのペンダントを雫へと贈った。
「ありがとうございます」
歓声と共にプレゼントを受け取る雫と複雑な感情を抱く俺。
そして鬼神祭は終わった。
そして時は流れて冬。
とある島にて俺はある人と対峙していた。
「全力で行かせてもらうよ!」
「来い!」
俺は両手に【龍皇刀】を構えていた。
今回はいつもの遊びではなく、完全な戦い。
人の姿ではあるが、全力を出すのに不満のない相手だ。
彼女が綺麗な黄金の剣で切りかかってくる。
およそ人の動体視力では追いきれないほどの速度で上段からの攻撃。
「は!」
俺はそれを【永久】で受け流す。
そして水の【終始】で斬りかかる。
伸びる斬撃で彼女に攻撃する。
常人ならばこれで終わり。殺せるような威力と速度、範囲の攻撃。
しかし彼女は違った。
突如として彼女が視界から消えた。
空間転移の魔法で姿を消した。
「隙あり!」
突如として俺の影から攻撃してくる彼女。
俺はそれをとっさに回避して距離をとる。
そして魔術による攻撃をする。
「炎槍」
4つの焔の槍が彼女に降り注ぐ。
一つ一つが必殺の威力。
島の地形が変わるほどの魔術。
しかし彼女は難なく防ぐ。
水の玉がそれぞれの槍にぶつかる。
ただそこら変にあった水分を集めて創った水の玉が、俺の魔術と拮抗する。
彼女の自然を操る技術は並の精霊以上ということだ。
「あっぶなーい!」
彼女はそう言いながら危なげなく俺の攻撃を防いだ。
そして続けて攻撃してくる。
「光剣!」
彼女の黄金の剣が輝きを増す。
獰猛な笑みを浮かべる彼女。
俺はそれを終始で受け止める。
重い。
思わずそう思ってしまうほどの威力。
彼女は重力魔法と身体強化を使っていた。
俺はそのまま後方へと飛ばされた。
空中で一回転して左足で着地する。
相変わらず滅茶苦茶なつよさだ。
「そろそろ手加減はやめたら?」
彼女は挑発しながら火球を自身の周りに浮かべていた。
俺は片足で地面を蹴って彼女に斬り掛かった。
もちろん本気で。
俺の一撃を彼女は黄金の剣で受け流す。
「流石に島が持たないかな?」
俺の一撃は地面へと当たり、当たった先は消し飛んでいた。
俺はそのまま【終始】で斬りかかる。
「これは躱せないだろ!」
俺の渾身の一撃が彼女の剣に当たる。
そして切断する。
彼女はまた転移して姿を消す。
そして俺の後方に姿を表す。
彼女は十メートル後方に折れた剣を構えながら移動する。
「おかしいでしょ!」
「おかしいだろ!」
お互いに思わず口に出してしまった。
「なんでこの剣が切られるんのよ! なんでただの剣術で次元を切り裂けるのよ!」
「なんで今の一撃でダメージないんだよ!」
お互いの本音が出てしまった。
俺は次元ごと彼女を切り捨てようとした。
しかし彼女の剣は切れたが、彼女自身が無傷なのに納得が行かなかった。
まあ彼女も納得がいっていないようだが。
「確かに弱体化してるみたいだけど、やっぱり強さの次元が違うわね」
彼女はそう言いながら黄金の刀を異空間にしまう。
そして近寄ってくる。
俺も龍皇刀二振りをしまって近づく。
「さっきの一撃は手加減してなかったはずなんだけどな?」
俺は彼女にそういった。
地形は無茶苦茶になり、島の原型がわからなくなっていた。
「私だってそうよ? でも手加減はしてなくても本気はだしてなかったでしょ?」
彼女セリカが後ろを指しながらそういった。
「貴方が本気を出せば島は沈んでいたはずだし、私だってやられてたわよ」
戦いの余波で地形が変わってしまった島。
「これでも人類最強の称号を持ってるんだから、龍王にだって剣術と魔術では遅れは取らないつもりだよ!」
彼女は人類最強の異名をもつ。
身体能力は俺と同等。
剣術や魔術も同レベルである。
過去には神と上位龍も討伐してる実績もある実力者だ。
この魔力を使えなくなる世界で魔術を使用した上に身体能力にも制限がつく世界でただの剣技だけで俺と同格の怪物。
ギルドと言われる組織に置いても彼女は最上位のロードであり、仙帝 絶滅の剣魔の異名で知られている。
少なくと現状では冬姫より格上である。
「頼もしいな」
俺はそう言いながら元の世界へとセリカと共に戻っていった。
今回も読んでいただきありがとうございます!