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小さな世界の天変地異

お待たせしました、約一か月ぶりの投稿です。


 村からさらに西。

 アリどもの巣に近づくにつれて、アリの数が多くなってきている。


 ただし、多いからと言って一匹も逃したりはしていない。

 すべて殺している。


 最初は少し強いかと思っていたが、戦いが長引くにつれて、俺も体が温まり徐々に力が増していく。

 この大陸に帰ってからは、ここまで長く戦うことが無かったから忘れていた。


 

 目の前から数百のアリの群れが現れる。

 ここに来る前からこいつらの存在には気が付いていたから、驚くわけがない。

 それに、たった数百程度のアリなんてすぐに殺せる。


 錬金術で剣を錬成する。

 今日だけでこの工程を何度やったことか。

 

 眼前のアリどもに対して、剣を横に振るう。

 

 数百のアリと同時に森や山が切り裂かれる。


 景色が一変する。

 アリどもは消し飛び、森がなくなった。

 

 

 さて、もう少しでアリどもの巣だな。


 

 ふと自分の剣を見る。

 柄から上の部分がすべて消えてなくなっている。

 まただ、力加減が出来なさ過ぎて武器が壊れてしまってる。


 数十秒おきにアリどもが襲ってくるせいで、楽しすぎて力加減が出来ない。

 もちろん怒りもあるのだが、俺は龍王だ、どうしても戦いを楽しんでしまう。


 俺の力は封印していて、更には自分自身でも手加減を意識してはいるが、なんせ久しぶりの殺し合いであり、力加減がいらない。

 それに今の俺の身体の覚醒ぐわいからすれば、封印を無理やり解くことも可能だ。

 

 しかし、今ここで封印を解いても無駄に地形を壊すだけで、何の得もない。

 ならば今のままで、アリどもを蹂躙してやろう。


 俺はアリどもの巣へと足を向ける。






 少し歩くと巨大な洞窟があり、そこから赤い巨大なアリが出入りしているのを見かけた。

 恐らくそこが巣への出入り口の一つだろうというのは分かっている。

 

 それに明らかにほかのアリとは別次元の強さを持つやつが、この奥に居るのがここからでもわかる。

 

 この洞窟は地下へと続いており、数万近いアリが居ることが予想される。

 この予想は索敵魔法と俺の感を用いた予想だ。


 そしてこれも勘だ。

 この方法ならばもっと楽しくなる。

 

 俺はとある禁呪を記憶の奥から呼び起こす。



 七日の豪雨、七日の暴風をここに。

 天と地は水に沈み、楽園は流され、全ては無に帰す。

 壊れ、砕け、崩れ、滅び、太陽の輝きすら地には届かぬ。

 されど、神々の怒りは終わらない。

 生きとし生ける者は恐れ、恐怖し、絶望する。

 凍える水に、切れる風。

 終わり、終わる、この世界。

 冷たき悲しみの涙が世界を飲み込む。

 長く短い怒りと悲しみの終末。

 終焉が訪れる最後の日。


 

 かつて俺が滅ぼした星があった。

 その星で使ったのがこの禁呪。

 

 その星は最終的に、暴力的な水量に負けて崩壊してしまった。

 

 その禁呪を手加減して、この場でも使う。


 『終末の大洪水』

 

 空を黒雲が満たす。

 そして風が吹き乱れ、豪雨がやってきた。


 このままではやばい。

 

 俺は慌てて周囲の山を起点に結界を張る。


 この結界の内は、言わば小さな世界。

 この中であれば何をしても結界の外には影響は出ない。


 そしてこの地は盆地になっているので、この場に水がたまる。

 

 手加減してもこれ程の被害か。いや、これで済んでいるが正解なのかもな。


 濁流が、洞窟へと流れ込み、アリどもを流し、窒息させ、沈める。

 竜巻が、大地を、木々を、アリどもを切り裂き、巻き上げる。

 稲妻が、空を切り、アリどもの頭上へと落ちていく。

 そして雨ですら、弾丸となって、アリどもを貫き殺す。


 結界内の俺以外の生き物がすべて死んでいく。

 水によって死に、風によって死に、雷によって死ぬ。

 

 

 時がたつにつれて結界内の水位が上がっていく。

 ただし、俺はその水の上に立っているので問題ないが。



 雨はやまない、また風もやまない。

 そして、今の俺にはアリどもの苦しんでいる姿は不快にしか思えない。

 

 俺は異空間から『龍皇刀 神霊龍 終始』を取り出す。

  

 そして『終始』を鞘から抜き出す。

 抜き出した『終始』は氷の刀に成っていた。

 

 俺は終始に命じる。

 

 この水をすべて凍らせろと。


 次の瞬間だった。

 結界内の全てが凍り付く、地面が盛り上がる。

 恐らくは巣の中に入っていった水が、凍り、膨張したのだろう。

 

 俺が命じた通り、水分を含んでいる全ての物が凍り付いた。

 辺りを見渡せば、結界内が凍てついた世界へと変わり果てている。


 面白いことに氷竜巻のモニュメントも出来上がっている。


 これが、『終始』の力。

 森羅万象を司る刀だ。


 ふと地面を見る。

 すると突然謎の地響き。

 

 なんだ?


 地響きが大きくなる。


 まあ、大体予想は出来てるけど。


 俺はその場から空へと飛びあがり、空中に着地する。


 

 それと同時に俺の居た氷の大地が砕ける。

 そこに現れたのは巨大で大きな翼を備えたアリだった。


 それの頭には黄金の冠のような角が生えており、炎を纏っている。

 

 見るからにアレが女王だろう。

 生命力と図体の大きさが、他の個体と段違いだ。


 まあ、誤差の範囲だけど。


 俺は迷わず頭上から『終始』で切り裂く。

 氷の刀で空間ごと、世界ごと、切り裂く。


 切られた女王は、半分になり、凍り付き、砕け割れた。

 

 地面に落ちた女王を見下ろす。



 意外にあっけないな。


 それが俺の一番の感想だった。

 そして次に結界を俺は見る。


 そこには切り裂かれた結界と、そこから冷気が流れ出ているのが確認できる。

 そしてその先に続いている一本の線。

 それは俺が『終始』で切り裂いた線だった。


 水平線まで続くその線を見て俺はやらかしたと思った。


 「アリ相手に力加減が出来てないな」


 地面を山を海を切り裂いた一撃で、ただのアリを殺したと思ったら情けないと思う俺だった。

今回は久しぶりの投稿でした。

長らく投稿しておりませんでしたが、これからも失踪しないで、自分のペースで投稿していきますので、これからも応援お願いします。

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