麓の村
やはり山を出たら龍神化が出来なくなっている。
山を出る前に権能で二つ調べていた。
一つは女王の巣の場所。
巣の場所は大陸の西の森の中だった。
そしてもう一つは、なぜ龍神化が出来ないか。
これに関しては他の世界の神が原因だった。
何でもどこからかこの大陸の事を知り、大陸を狙っているみたいだ。
そんなときに間が悪く俺が世界の事実を変えたから、そのタイミングで干渉して、自分以外の神性の力を封印したみたいだ。
ただし、強すぎる力を持つものは弱体化だけで済んだみたいで、俺に至っては自分でも己を封印していた上に陽月にも力を押さえてもらっていたから、完全に龍神化が出来なかったみたいだ。
ただし屋敷とその周辺は俺の領域なので、外の神の力は効かなかったらしい。
異世界の神は元々最初の最高神らしいが、他の神々にその地位を奪われ、復讐のために力を求め、この大陸を狙ったみたいだ。
自分以外の神の力を封印したのも、他の神々に恨みを持っているからだろう。
少しかわいそうとは思うが、この大陸を狙ったんだから、ただでは済まさない。
絶対に後悔させてやる。
それにはまず、蟻の女王を殺して、蟻どもを根絶やしにしてからだ。
山を駆け下りて、麓の村に着いた。
俺がいる位置からは村全体が見渡せるので、なんとなく状況が把握できる。
この村はすでに人の気配はなく、アリどもが徘徊している。
ただし村人たちの死体や肉片、血液痕などは一切見当たらない。
建物もほぼ無傷で、街とは様子が違う。
もしかしたら村人たちは、うまく逃げ切ったのか、それともどこかに隠れたのか。
まあ、どちらにせよ無事ならばそれでいい。
だけども、無事でも無事じゃなくても、あのアリどもはここで殺す。
索敵魔法でアリの位置を感知する。
村に居たアリの数は二十五匹。
魔力を宿しており、属性は炎。
ただしすべて目が見えなく、触覚の機能が麻痺し、炎が使えなくなっている。
明らかに誰かの攻撃を受けている。
恐らくは呪いの類だろう。
通常ただの索敵魔法では敵の数しか分からないけど、俺のは陽月に教えてもらった特別性だから、ここまでわかる。
索敵して、アリの位置は把握した。
雷魔法。
『大落雷』
晴天の空から突如として稲妻が落ちる。
落ちた先はもちろんアリどもの頭上。
すべて同時にアリに落ちたために音が凄かったが、無事全てのアリは死滅したみたい。
それどころか、アリは破片すら残らずに消え去った。
やっぱり雷魔法は、速さも威力も優秀だな。
まあ、一般的には応用は効きずらいらしいけど。
とりあえず先に進むか。
今回も読んでいただきありがとうございました。