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最悪の始まり。

朝、俺は横の三人が起きた音で目を覚ました。

うっすらと目を横に向けると、俺の元に忍び寄る三つの小さな影が見えた。


直接見なくても誰だかわかる。


「パパ起きて~」


「お父さん」


「きりゅう!」


最初に凛那が俺に飛び乗り、次に少し躊躇しながら龍那が、最後に白が俺に飛び乗ってきた。


ポンポンポンと体重の軽い三人が俺の上に乗ったところでどうってことは無いが、こんな可愛い起こされ方をしたら起きないわけにはいかないよな。


「おはよう、三人は今日も元気だな」


俺は三人を引き連れそのままリビングに向かった。





リビングには冬姫が一人の朝食をとっていた。


「おはようございます兄さん、龍那ちゃん、凛那ちゃん、白ちゃん。ん?」


こちらに気が付いた冬姫が「おはようございます」と挨拶をしてくる。

が、突然何か違和感を覚えたみたいな表情をした。


「何故兄さんがここに居るのですか」


一瞬妹に酷い事を言われたと思ったが、よくよく考えれば確かになんで俺はここに居るんだろう。


昨日一瞬だけ起きて陽月にあった気がするけど、寝ぼけてたのか記憶が少し曖昧だ。


ここに来た記憶もないし。


まあいっか。


「わかんない。まあ気にするな」


俺は適当に冬姫に返事をして席につく。

よく見れば冬姫は制服を着ている。


ん?


今日は平日か!


そう言えば時雨の気配もないし。


「すまん! ちょっと行ってくる!」


俺はそういい残し学園の近くの自宅へ転移魔法で移動した。





転移したら目の前には時雨が立っていた。

その表情は少し不安そうな顔になっていた。


「やっと来た鬼龍」


時雨の背後には東華が同じく不安そうな表情を浮かべていた。


どうしたんだろう?


俺がそう思った矢先だった。

外から爆発音が聞こえてきた。


「また来たみたい」


時雨はそう言うと外へと出ていった。


いったい何が起きているんだ。


俺は状況を確認するために眼だけを龍神化する。

するはずだった。


しかし何故か出来ない。

ならば権能で周囲の様子を確かめるか。


しかし権能も使えない。


龍神化だけじゃない、権能も使えない。


ここでやっと自分の変化を自覚する。


完全に能力が封印されている。



いやまだ、魔法が使える。

俺はさっき転移魔法で移動した、ならば魔法は使えるはずだ。


俺は広範囲索敵魔法を行使する。


俺の索敵魔法は少し特殊で、結果的に敵に成るものを察知する。

それは生物だけではなく無機物に対しても有向な、便利な魔法だ。


この索敵魔法に引っ掛かった数はおよそ九百億。


この大陸の全土を索敵した結果、九百億以上の敵対生物の反応があった。


いくら何でもこの数は異常だろ。


「先輩?」


事の重大さに気が付いた俺に、不安げに話しかけてくる東華。


今はとりあえず外に出て情報収集だな。


「東華、とりあえず外に行くぞ」


「はい」


俺の声に東華はハッキリと返事をした。

流石に年下に心配はかけれないよな。






外へと出ていった俺たちの見た光景は悲惨としか表せないような光景だった。


ここ以外の建物は崩れ落ち、燃えている。

まだかろうじて立っている建物も綺麗に切断されていたり、穴が空いている。


そして、そこら一帯には人の惨たらしく四肢がもがれている死体と、三メートルを越える大きさの巨大な赤いアリの怪物が転がっていた。


「なんだあれは?」


理解が追い付かなかった俺は、横にいた東華に問う。


「わかりません」


しかし返ってきた答えは解りきっていたものだった。

俺の記憶にあんな魔物はこの大陸にいた記憶はない。


そう言えば時雨はどこだ?


「先輩後ろ!!」


俺が目で時雨を探していたその時だった、背後から巨大なアリが迫っていた。

音もないから気が付かなかった。


「くたばれ害虫が!」


炎を口に纏わせて俺を襲ってきた蟻を、錬金術で作り出した剣で切り裂く。


ポトッと蟻の首が地面に落ちる。


これが九百億も大陸に居るのか。


とりあえず屋敷に戻って、全ての龍家に命令を出して駆逐するしかないな。

最低でも大陸事態は守らないと。


「鬼龍流石にこの状況はヤバイと思う」


俺の近くに転移してきた時雨が俺にそう言う。


「私の権能が弱体化してる」


時雨は続ける。


「それに、この化物達数が多すぎる」


時雨の両手には空間と時間の紫と青の刀が握られているが、それでも苦戦を強いられているらしい。


ひとまず時雨とも合流出来たし、屋敷に戻るか。


「皆、移動するぞ」


俺はそう言うと、時雨、東華、白を連れて屋敷に転移した。


まったく。

朝は平和だったのにな。

今回も読んでいただきありがとうございました。

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