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話し合い

 海に沈みゆく夕日、潮の匂いの風。

 この場所はアテナとの戦いをした地。


 龍那と凛那を奪っていった彼女に脅しをかけた場所だ。

 

 この島は大陸から距離があり、人目にも付きにくく、更にはこの近海に住む生物のせいで人々も近寄らないだろう。

 

 まさに話し合いにはもってこいの場所だと思う。


 「とりあえずイスとテーブルを用意するか」


 俺はその場に白い大理石の丸いテーブルと人数分の椅子を作り出した。

人数分といってもミードは小さくなって霞に股がっているので、その二人の分は作っていない。


それにこれは俺と龍鬼、雫の問題だから白の椅子も用意はしなかった。


結局、椅子が三脚に少し大きな丸いテーブルが一つ、平らな地面に置かれた状態になっている。


「二人とも少しは落ち着いたか?」


俺は椅子に座り、龍鬼と雫にそう訊く。


「オレは最初から落ち着いてる」


「一応」


二人とも今は戦意が無いみたいで、先程とは違い殺気だってはいない。

しかし龍鬼の性格上あまり油断は出来ない。

あいつは間違いなく鬼族であり、戦い好きなのだから。


「じゃあ二人とも落ち着いたみたいだし話し合いをするか」


俺はここに来た理由通り、話し合いをすることにした。


とりあえず俺が聞きたい事は、なぜ龍鬼が直々に朱里を殺そうとしたのかだ。

殺すだけなら部下にやらせればいいだけだ。

朱里の強さはあくまでも学生のなかでは飛び抜けているだけだ、それに加えてワイバーンもいる。

それを踏まえても軍に所属している鬼族の半分は朱里を殺せるだろう。


俺はそこが気になる。


それになぜか少しだけ龍鬼の発言に違和感を覚える。

嘘はついていないけど、本当の事を言っていないような違和感。


その違和感を覚えたからこそ話し合いを提案をしたわけだ。


「とりあえず龍鬼、なぜ俺に何も言わないで事を起こそうとした? 朱里は俺の友人だ、相談ぐらいあってもよかっただろ」


とりあえず事の発端である龍鬼に訊く。


先程龍鬼に殺されかけた雫は静かに龍鬼を見ている。


「確かにそこはオレが悪いかもしれない。しかしだ、彼女の変化に気が付かなかった鬼龍にも責任はあるはずだろ。それに立場を考えろ。オレもお前も王なのだから自分の判断で動かなければならないときがある。いちいち鬼龍に判断をしてもらわくとも解決しなくちゃならないんだよ」


確かに龍鬼の言うこともわかる。

俺は龍王、龍鬼は鬼王。

龍王がこの国ではトップでそれに次ぐ第二位が鬼王が龍鬼だ。


だから俺に何も言わないでも独断で大体の事は自由にできる。

なんなら人の命すら自由に扱える。


この大陸は絶対王政、それがこの国だ。

だけど少し変わっている絶対王政であり、複数人の王達がこの国だを支配している構造になってる。


その王たちにも序列があり、第一位が俺、龍王。第二位が龍鬼、鬼王と序列が決まってる。


それに俺個人としてはあまり人間に興味がわかなかったので守るつもりもなかった。

正直一定の人物さえ守れればどうでもよかった。

俺はこの大陸の人々を守るのではなく、大陸を守る。

それが俺の考えだった。


しかし今は違う。


時雨と出会い、人の温かみをしった。

その一方で醜さや愚かさも知ったがそれでも人を、少なくとも友人は失いたくないと思えるようになった。


ただ、それでも俺は友人が敵になったならば躊躇いなく殺すと思う。


俺が守らなくては行けないのは、この大陸と陽月を含めた家族だから。


いつでも守れるように優先順位を決めている。


もしも大事な物が両方危険にあった時に判断を鈍らせないように。


おそらく龍鬼にとって、一個人よりも大多数の方が大事に違いない。

1人の少女を殺して、平和になるのならばそれでもいいのだろう。

俺はその考えを間違いだとは思わないし、正しいと思う。

しかし殺す以外の解決方法があるかもしれないのに殺すという選択をした龍鬼には少し思うところがある。


「そもそもだ、彼女はすでに国民を殺している。その事実は変わらんぞ」

今回も読んでいただきありがとうございました。

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