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最悪な再会 (雫)

 鬼龍に誘われて、保健室で眠っている朱里の様子を見に行った時のことだった。

 そこには絶対にこんな場所では出会わない人物が立っていた。


 鬼王 鬼神龍鬼。

 

 この国の王にして、鬼族たちの頂点に立つ者。

 

 「今日ここには、鬼王、鬼神龍鬼の名のもとに結城朱里を断罪するために来た」


 鬼王様がそう言った瞬間、私の目には涙が出てきた。

 親友の朱里が殺される、そう思った途端に動揺してしまった。


 「そんな……」


 鬼王様が言った事なのだから、それは覆らないだろう。

 

 だったら私がこの場で助ける。

 それが私の今やらないといけないこと。


 「そんなことさせない!」


 出来ればここで鬼王を倒したい。

 だけど鬼王は龍王と並び、この国で最強の存在だ。

 つまり、鬼龍さんと同等の強さを持つと考えていいだろう。

 

 もしもそうだとするのなら私は鬼王には勝てないと思う。

 だけど、朱里と一緒に死ぬことぐらいは出来る。


 私は妖刀を呼び出し、そのまま鬼王に切りかかる。


 もちろんそれだけでは届かないのは分かっている。

 死ぬにしても一矢報いたい。


 私は妖刀に魔力を通して、自分にも身体強化を施す。


 この一撃は、今までの人生で一番いい攻撃だ。


 「愚かな」


 鬼王は一言だけそう言うと、切りかかる私の両腕を、腰にあった刀で切り落とす。

 そのいつ抜刀したのかすらわからなかった一撃は、私の渾身の一撃よりも鋭く、速く、強かった。


 「あぁぁぁ!!!」


 両腕を切り落とされて、それで止まる私じゃない。

 切られた箇所に痛みは無い、だけど腕もない、刀も落ちた。

 

 なら足を使うしかない。


 「二人ともやめろ」


 突如私と鬼王の間に鬼龍さんが割って入る。

 その凄まじい速さに私は反応が出来ず、そのまま全力で鬼龍さんに蹴りを入れてしまう。


 そして気が付けば鬼龍さんは白と赤の刀を抜き出し、鬼王の刀を止めていた。

 更には私の切り落ちた腕はもとに戻っていた。


 「一旦落ち着け。少し話し合おう」


 落ち着け? 親友が殺されかけていて落ち着けるわけがない。

 もしかして鬼龍さんは鬼王の味方なの?


 でも今はそんなの関係ない。腕が戻ったのならば鬼王に切りかかれる。


 だけどはその考えを実行できなかった。

 鬼龍さんの影が私に絡みつき、動きを押さえていたからだ。


 「でも!」


 そう私は口に出した。

 だが鬼王が続けざまにしゃべりだした。


 「鬼龍、オレはな、お前と違って大陸の民を大事に思っている。個人ではなく全体を守らないといけない」


 鬼王の言うことが正しいと私は思う。

 拘束されて少し冷静を取り戻したからこそ、鬼王の言っていることがわかる。 


 「だから、一旦話し合いをしようと言ってるんだ。それともなんだ? この龍王の言葉が聞けんのか?」


 鬼龍さん、いや龍王がそう言う。

 その言葉はとても恐ろしく、暗く、冷たい印象を覚えた。

 

 そしてその言葉に私は、体の芯から震えているのがわかる。

 私の本能が、彼の言葉に怯えているのだとわかる。


 「出来ればオレはお前とは戦いたくはないからな。わかった話し合おう」


 鬼王がそう言うと鬼龍さんはどこかへと私達、朱里以外をどこかへと転移させた。

今回も読んでいただきありがとうございました。

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