白銀の獣と土の精霊王 4
俺の目の前で跪くノーミード。
「精霊王が一柱、大地のノーミード、これからは貴方に使えます。どうぞこれからはミードとお呼びしてください」
先ほどとは違い地に膝をついている。
完全に服従するつもりのようだ。
ノーミードからも敵対する意思は感じられない。
ただ、先ほど殺気も害意も感じられなかったが、攻撃してきたから安心はできない。
もしも、もう一度こちらを攻撃してきたのならば滅ぼせばいいし、その力を俺は持っている。
それにできればシルフィーの知り合いを殺したくはない。
しかも殺すといっても相手は土の精霊王。
土の精霊王を殺して、この地が変になっても嫌だしな。
「わかった。ただし、次に敵対したら即殺すからな」
俺はそのまま彼女、ノーミードに、シルフィーと同じ契約をする。
「よろしくなノーミード」
「ミードです」
俺がノーミードと呼んだのが気に食わなかったのか、ミードと訂正してくる。
「はいはいミード」
俺は適当にミードの言うことを聞いてやった。
ところでミードの後ろでずっと俺を見ているあの狼は何なんだ。
てか、尻尾振ってるよな。 狼じゃなくて犬なのか?
「さっきから気になってたんだけどさ、あれ何?」
俺はそこの犬っころを指さし、共に居たミードに問いかける。
「ん? 霞のこと?」
ミードが狼の名と思しきものを口にする。
霞。その名に少し聞き覚えがあった。
大陸の北に住む神狼の名だ。
その神狼は山より大きく、風より速く、月の様に美しいと。
そして、霞と共にその姿を現し敵を屠ると。
各地でこの神狼を祭る神社や神殿が存在する。
正直、その神獣とそこの犬っころが同一だとは思えない。
だけど、もしもその狼だとしたら、ここに居る白や三獅子と同等の神獣だ。
「この子とは長い付き合いでね、私共々よろしくお願いします」
「ワン!」
霞が鳴く。
それはまるでミードと共に「よろしく」とい言ったかのようだった。
俺はこの後、時雨と東華が裸足だったので、一度自宅に帰り、二人を屋敷に誘った。
時雨はともかく東華は少し躊躇していたが、時雨が強引に連れてきていた。
三獅子は帰して、霞とミード、それと白と龍那、凛那は先に屋敷へと送った。
後々に知ったが、霞は大きさが自在なようで、今は子犬サイズになっている。
ちなみに今晩の食事は、龍那と凛那、そして白が捕まえた牛が振舞われていた。
今回も読んでいただきありがとうございました。