表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/138

学園生活と異変の始まり1

 四月、季節は春、今俺たちは桜並木のトンネルをくぐっている。

 この桜並木を潜る者はこの学園の、つまり国立双神学園の教師、生徒、またはその関係者だけである。そして、この学園は国立の小中高大一貫の大きな学園である、国立の小中高大一貫校は、この国には五校しかない。


 ちなみに、刹那達が通っている学園は俺たちとは別の学園で、国立武魔学園というところに通っている。

 俺たちは一週間前に引っ越しを終わらせ、今日が入学式だったりする。この学園に登校する際に問題だった白だが、学園に問い合わせたとこ使い魔として登校を許可された。


 「何あの子? めっちゃ可愛いくない?」


 「半獣人の女の子だね」


 後ろで女子生徒が白の話しているのが聞こえる。猫耳猫尻尾の白はだいぶ目立っている。白は獣人ではなく神獣なので彼女たちが白のことを誤解しているが訂正する必要もないだろう。

 白は後ろの女子生徒の会話が聞こえていないのか、それとも桜が好きなのか、歩きながらずっと桜を見ている。

 桜並木を歩いていると分かれ道が見えてきた。


 「じゃあ鬼龍、白ちゃんまた後で」


 時雨は中等部の校舎に行った。

 この学園は小中高大で校舎が分かれているため入り口が異なる、そのため時雨とはここでしばしの別れだ。


 「ああ、また後でな時雨」


 「ん」


俺たちは時雨と別れ高等部の校舎に向かう。


 

 時は少し経ち、鬼龍たちは始業式を終えて教室にいた。

 この学園は魔術科、武術科、召喚科、特殊科の四つの学科が在る、本来は試験で適性を見てどの学科にするか決める。先の試験の結果を言えば鬼龍は間違いなく魔術科に編入しただろう、だが、白が居たため召喚科に編入することになったのだ。ちなみに時雨は魔術科に入った。

 鬼龍たちは席に着いた頃、扉を開けて入って来る一人の少女の姿があった。


 「これからオリエンテーションを始める」


 教室に入ってきたのは、鬼龍の知り合いでもある桜井紗那だった。

 見た目は中学生くらいなのだが実年齢は鬼龍より年上だったりする。いや正確には鬼龍より先に生まれているといっておこう。

この見た目の理由は数年前のある出来事で禁呪を使用したため不老不死となったと言われているが、真相を知る人は少ない。


 「今日からお前らの担任になる桜井紗那だ」


 紗那はそれだけ言うと教壇に向かっていった。


 「それと、今年からこのクラスに編入することになった者を紹介する」


 そう言うと紗那は俺を見た。

 どうやら自己紹介と白のことを話せということらしい。


 「今年からこの学校に編入することになりました、川上鬼龍です」


 俺と白は教卓の前に立ち自己紹介をした。

川上というのは偽名で、龍神の苗字はあまりに有名すぎるので厄介ごとに巻き込まれる可能性があったため偽名を使っている。

 このことはここの学園長すらしらないことだ。


 「それと、こっちは俺の召喚獣の白、新入りだけどこれからよろしくお願いします」


俺たちが自己紹介すると、クラスのみんなから拍手をうけた。


 「と言うわけだ、仲良くしてやってくれ」


 オリエンテーションはそれで終わり、今日はもう帰った良いことになった。

 中等部ももう終わったかな? 

 俺はそんなことを考えながら中等部の校舎に白と一緒に向かっていた。


 「そこの君ちょっと」


 俺は突然後ろから声を掛けられた。

 なぜ、俺に声をかけたか分かったかというと、この道には今は俺と白しか通っていないうえに、明らかに真後ろからこちらに声をかけてきたからだ。


 「俺のことですか?」


 俺は一旦立ち止まり声の方に顔を向けた、そこに見えたのはこちらに駆け出してくる赤毛の短いポニーテールの女子学生だった。


 「そう、君だよ」


 女子生徒は白をチラッと見た後俺を見た。まるでなにかを探るように。


 「君、確か鬼龍君だよね」


 女子生徒はなぜか俺の名前を知っているようだ。

いや、この学園の生徒なら知ることも可能か。


 「はいそうですが、何か用ですか?」


 別に急ぎの用はなかったがなぜか嫌な予感がしたため俺は話し方が素っ気なくなってしまった。


 「うん、君のことを桜井先生から聞いて試したくなったんだよね」


 女子生徒がいきなりそう言った。

 試すってどういうことだよ。それより、紗那が何を言ったか気になる。

 それに試すって偉そうに言いやがって。

 明らかに面倒ごとなので断ろう。


 「遠慮します」


 俺はきっぱりとそう言い中等部に向かおうとする。


 「ちょっと待って、話だけでも聞いてよ」


 女子生徒はそう言うとバックから一枚のプリントを取り出した。


 「これは、君の編入試験の評価なんだけど」


 俺は女子生徒が見せてきたプリントの正体を聞いて、女子生徒を警戒した。

 こいつ何者だ? あの試験の評価は個人情報だ一生徒がそれを知りえるはずがない。


 「君の評価はすごいね、魔力20、体術20、超能力00、特異能力20」


 女子生徒はそこで一旦白を見て話を続ける。


 「そして、召喚術00って評価なんだけど、おかしいよね。」


 なるほど、そういうことか。

 召喚術の評価が00なのになぜ召喚科に編入ができたのか、なぜ、召喚獣が居るのか。


 「しかも君は、魔術科志望だったよね」


 めんどくさい奴に絡まれたな。


 「君何者? 試験の時に使い魔を召喚しないで試験官を倒しちゃうし」


 どうしたものか。


 「俺はただの学生ですよ」


 俺は適当な答えを出した、嘘はついていない、だが女子生徒が求めている答えを言うわけにはいかない。仮にここで龍神家の名前を出したとすれば、偽名を使ってまでここに入学した意味が無くなる。


「そうかい、ただの学生ではないと思うのだけど龍神鬼龍君」


 女子生徒は驚くことに俺の本名を言った、俺は更に警戒度を上げた。

 こいつ本当に何者だ? 俺のことを知っているのはこの学校でも限られた者だけのはずだ。いや、紗那から聞いたのか。


 「桜井先生から聞いたのですか?」


 「うん、そうだよ」


 俺は自分が龍神鬼龍であることを否定しなかった。する必要が無いと思ったからだ、彼女は桜井先生から俺のことを聞いたと言っていたからだ。

 おそらくは、もうばれていると思っていいだろう。


 「あと、敬語じゃなくていいよ、クラスメイトなんだし」


 ん? 今なんて? クラスメイトって言ったよな。確かに居たような居なかったような。

 クラスメイトの顔ぐらい覚えとけばよかった。まあ、今更後悔しても遅いけど。


 「あれ、もしかして気付かなかった? 私は君と同じクラスの結城朱里、朱里でいいよ」


 朱里はいきなり自己紹介をした。

 いきなり自己紹介とかどうゆう状況だよ。まあ、確かに初対面だけど。


 「自己紹介が終わったとこで本題だけど、君の秘密をばらされたくなかったら私と戦ってほしいな」


 朱里は悪びれずにそう言った。

 笑いながら脅迫とか、凄いな。


 「一つ質問してもいいかな」


 俺は疑問に思ったとこを聞く。


 「俺の正体を知っているのに何で俺と戦いたいんだ? 苗字に鬼や龍、神の付く者はこの国ではトップクラスの強さだってことは知っているだろうに。まして龍神家に決闘を挑むなんて」


 そう、この国では苗字に意味がある場合がある。龍神家は代々この国の守護神としてこの国の頂点に立っているのだ。

 ここまで調べておいてこのことを知らないはずはない。


 「それはね、今の私がどこまで神に通用するか気になったからだよ」


 朱里はいったい俺のことをどこまで知っているのだろうか、少なくとも俺が龍神であることは知られていると確信している。

 そして、神に通用するその言葉の意味はいったい。


 「それに、この学園の生徒の大半は強者と戦いたいって思っているはずだからね」


 なるほど、確かに戦いが嫌いならこの学園には入学しないな。

 まあ、正体がばれてるんだったら戦っても問題はないな。


 「理由は分かった、決闘をしてやる」


 俺がそう言うと白が腕を引っ張ってきた。


 「どうした?」


 俺は白が何を伝えたいのかわからなかったので直接本人に聞いてみた。


 「白も戦いたい」


 白は自分からそう言った。

 ちなみに白の一人称が白なのは名前を貰ってうれしかったからだそうだ。


 「わかった、そもそも俺は召喚士として入学したわけだからな」


 俺は白と朱里にそう言った。


 「私もそれでいいよ」


 朱里は結構物分かりがいいようで俺の言葉に異を唱えなかった。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ