表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/138

龍皇刀

 龍皇刀 烏兎龍 永久 この刀を陽月からもらった後にわかったことがあった。

 俺は二振りの刀に全知を使い情報を得ていたが、実は俺の全知全能は封印されたままで、俺はこの刀「永久」の近くに居る時だけ全知全能が使える。正確にはこの刀が全知全能を行使していたことに後から気が付いた。


 「終始」と「永久」この二振りの刀は俺の権能を象徴する能力を持つ。

 実際「永久」は「全知全能」を象徴しており、「終始」は「森羅万象」を象徴していることが全知によってわかったが、俺自身は全知全能しか自分の能力を理解していなかった。

 「終始」の「森羅万象」の能力など一度も使ったことすら自覚すらしてなかった。

 もしかしたらまだ俺の中に覚醒していない権能があるのかもしれない。


 まあそれを「全知全能」で調べてもいいのだけど、それじゃあ面白くない。

 権能は戦いの中でこそ磨かれ生まれるのだから、俺はその時が来るまで「終始」を使ってみて俺自身の中に眠っているであろう新たな権能を呼び起こそうと頑張ってみるとするかな。


 実際この「終始」と「永久」二振りの龍皇刀を模擬戦で使うのは少し楽しみどころか、普通に考えただけでテンションが上がるのが自分でもわかる。

 本当は実戦で使えるのが一番なんだけど、そんなことをできる相手が身近にいないのが俺の悩みである。


 とりあえず模擬戦で権能の規模を小さくすれば多少は楽しめると思う。












 学園の控室に俺と雫、白が出番を待っていた。

 何の出番かというと、模擬戦の出番だ。

 これが何試合目かは覚えていないが、というより記憶に残るほどの闘いは一度もなかったのだが、今のところ全勝していると雫が言っていた。

 

 今日の模擬戦の相手は確か幻龍姉妹らしい。


 姉、幻龍夢華 妹、幻龍言華


 この二人は姉妹であり、龍神家が従えている龍家の一家の姉妹だ。

 姉の幻龍夢華は俺と同じ高等部で特殊科に所属している。

 妹の幻龍言華は中等部であり、時雨と同じ魔術科に所属していると時雨から聞いたことがある。


 幻龍家の司るものは幻で、幻で相手を惑わし戦うのが幻龍家の得意とする戦い方だ。

 そして幻龍家は人から龍になった一族でもある。

 そもそも龍神家と焔龍家以外はすべて人から龍になった一族であり、純粋な龍種ではない。


 だが、純粋な龍種ではないが龍種には変わりないので強いにはわかりない。


 俺は幻龍姉妹に関しての情報はこれぐらいしかもっていないし、昔あったかもしれないけど思い出せない。

 正直な話、「龍皇刀」を使うためには程よい相手なのかもしれない。


 「鬼龍さん、白ちゃん行くよ」


 不意に雫から話しかけられた。

 いつの間にか時間が照っていたようだ。


 「わかった」


 俺と白は立ち上がり闘技場へと向かった。









 闘技場についた俺達は、ちょうど反対側に二人の女生徒の姿を目視した。

 この闘技場は直径二百メートルある屋外円形闘技場になっていて、魔術により多少の損傷なら再生する建築物になっている。

 そして特殊魔法によりこの闘技場では死者が出ることはない便利な闘技場だ。

 ここでなら多少暴れても問題ない。


 審判は禁呪の魔女こと桜井紗那なので、間違って相手を殺してしまっても蘇らせるだろう。

 まあそれ以前に殺さないし、殺しても俺が蘇生させるから問題はないと思う。


 「それでは幻龍夢華、幻龍言華対川上鬼龍、泉雫の模擬戦を開始する。ルールは相手を殺害させない、他に危害を与えない範囲なら何でもアリとする。 それでははじめ!!」


 紗那が開始の合図をすると、幻龍姉妹の片方が俺達の方に走ってくるのが見えた。

 恐らく彼女は姉の幻龍夢華だろう。

 夢華は薙刀のような武器を持ってこちらに突進してくる。


 その速度は武器を持っていても速く感じる。

 さすがは幻龍家の長女だ。


 さてこちらも武器を出すか。


 俺は「龍皇刀 烏兎龍 永久」を異空間から呼び出す。

 「永久」は光でできた刀のような姿をしていた。


 「鬼龍さん!?」


 永久を呼び出した俺を見て雫が驚いている。

 まあ無理もない。


 「気にしないでいいよ」


 気にするなと言っても無理だと思いながら俺は雫にそう言った。

 

 「わかった」


 雫はそう言って妖刀を構える。

 俺はそのまま永久を鞘から抜く。


 すると「永久」の姿が変化する。

 それはまるで不安定なエネルギーが固まり安定したかのようだった。


 永久の鞘は白くなり、真紅の龍が鞘に描かれている。そして刀身は赤く、刃の部分のみ黄金に輝き、神々しく太陽のような存在感を放っていた。

 

 「それじゃあ行くとするか」


 俺は驚いている雫にそう言った。


 「うん。ていうか鬼龍さんって刀使えたんだ」


 雫が俺へそんなことを投げかけてきた。

 こんなことをしている間にも幻龍夢華はこちらに向かっているというのに。

 だけど彼女はこちらには来れないだろう、なぜなら白が彼女のもとに向かったからだ。


 「まあね」


 俺はそういい、白の元へ向かった。

 幻龍夢華はまるで演武かのような動きで薙刀を操り見事白と渡り合っていた。

 その攻撃速度と変幻自在な動きで白を翻弄しているが、白もその速度ですべてを回避していた。


 「俺も混ざてくれよ!」


 俺は幻龍夢華に永久で切りかかる。

 俺の永久と彼女の薙刀がぶつかる。その瞬間彼女の薙刀は俺の永久により切り裂かれた。


 その光景に目を奪われる彼女。

 その隙を俺は逃すはずもない。

 俺は続いて手加減して腹に蹴りを入れる。


 俺の蹴りは見事に命中して彼女は百五十メートル後方の壁に飛んで行った。

 壁は砕け彼女は土煙の中に消えていった。


 一応死なない程度には手加減をした。

 一応龍家で龍種なのだからあの程度で死ぬわけはない。


 ただ、蹴った時に彼女は声も出さなかったし、人体を蹴ったにしては柔らかすぎる感覚が俺の中に違和感を残す。

 もしも彼女が無事ならば次で違和感を解消してやる。


 まあもう一つ問題があった。

 それは永久の切れ味が異常なほどあったことだ。

 俺は彼女の武器が壊れないように打ち合おうとしたのだが、彼女の薙刀はまるで豆腐のように何の抵抗もなく切れてしまった。

 さすがにこんな代物を人体に使うのは気が引けるので永久の切れ味を落とさないと。


 俺は永久の形状を一時的に変えた。

 外見は一切変わっていない、ただ切れ味という面だけは先ほどと比べ物にならないほどひどくなっている。

 更に俺は自分の魔力で刀の表面を覆い更に切れ味を落とした。


 これで切れることはないだろう。


 これでは完全に打撃武器だが、それで問題はない。

 こんな状態でも、もしもの時には腕次第で刃物にもなる。

 要するに武器は使い手次第ということだ。


 幻龍夢華が吹っ飛んで行った辺りの土埃が落ち着いてきた。

 

 土埃の中には倒れている幻龍夢華。

 

 だけど少しだけ彼女の体は透けて次の瞬間には消えていた。


 「やっぱり分身体だった」


 後ろから走ってきた雫は俺に小声でそう言ってきた。

 分身体? それとも若干違う気もするな。


 俺は雫の言ったことに少し疑問を持った。


 分身体なのだとしたら体内の構造まで精巧に作られるはず、だとしたら蹴った時にあんな変な感触はないはず。

 幻龍家なのを踏まえて考えたら、あれは実体のある幻なのではないだろうか。


 「君強いね、噂通りだったよ」


 どこからか反響した声が聞こえる。

 初めて聞く声だ。

 

 「だけどこれで終わりだよ。雫の強さも知ってるから鬼王祭でのとっておきをここで使う」


 その声が途切れると同時に俺達を中心とした巨大な魔法陣が地面に現れた。

 そして気が付けば幻龍姉妹の妹の言華の姿も居なくなっていた。

今回も読んでいただきありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ