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神獣王と邪神獣王  作者: 神嵜 煉
プロローグ
5/5

入学式

すいません。

遅れました。


良いわけはしません。


それではどうぞ

ウルスベルトのある大陸をエウンズラス大陸と言う。このエウンズラス大陸にはウルスベルトを含めた5大国と呼ばれる国が存在する。順にライトール王国、エイグラット、ウルスベルト、神帝ベルサルト帝国、アダーラ。そのなかでウルスベルトとアダーラの2つの国であり、同盟国である。2つの国が中立国になったのは100年前で2ヵ国ともに王政に不満があった時期である。2ヵ国はその時の王を退けて、その息子に王を継がせて、貿易拡大などを目的に同盟を結び、戦争で人口も減ったこともあり、永久中立国になった。その他の三国は様々な目的で100年の間に3ヵ国同士や小国と戦争を繰り返した。ライトール王国とエイグラットは領土拡大を目的に、神帝ベルサルト帝国は自国の宗教を広めるためという理由から。その100年により2ヵ国と3ヵ国は文明レベルや魔法技術の差が出来てしまった。100年間も平和だったウルスベルトとアダーラは人口の増加により今までは戦争に行くはずだった若者が色々な職業についたこともあり、それぞれの分野で発達し、両国ともに技術提供していたために文明レベルが急激に上がった。魔法技術も、100前とは比べられないぐらいの技術レベルの差が存在する。


第一魔法学園はウルスベルトとアダーラの境界線の真ん中に存在する両国共同で都市開発が行われた都市に存在する。その都市の名はベラージュ。共同開発により都市のあらゆる物や建物や技術が最先端である。その為、警護は首都クラスの防衛部隊がいる。防衛部隊言い換えれば、赤烏丸騎士団。ウルスベルトとアダーラのそれぞれを代表する騎士団である漆黒騎士団と青鬼騎士団に勝るとも劣らない程の騎士団である。赤烏丸騎士団はウルスベルトとアダーラの連合騎士団である。隊員は約一万人で、部隊隊長10人と騎士団長が1人で構成されている。その名を聞けば、盗賊は脅え逃げ帰り、少年たちは憧れる騎士団である。


第一魔法学園は赤烏丸騎士団の後釜を育てる学校でもある。勿論、それ以外の理由も幾つかあるが、後釜を育てるのは学園の伝統に近いものがあり、毎年主席と次席が騎士団入団試験の推薦を貰っている。だが、主席と次席もこの試験を必ず受けなくてはならないわけではない。当たり前ではあるが、個人の意志が尊重される。だが、この推薦を断る者は殆んど居ない。稀に拒否する者もいるが、それは本当に稀な時以外は起きない。


第一魔法学園は色々な事が変わっている。例えば、位置である。勿論、トップは学園長だ。その次が生徒会である。生徒会は生徒は勿論のこと、教師も罰する事が出来る。これは育成計画の中にある1つである。その次が風紀委員。風紀委員は学園内での無許可な魔法使用の阻止や喧嘩による戦闘を止めさせる事が義務づけられている。戦闘阻止の為に魔法行使も許されている。学園内での無許可な魔法行使を許可されているのは学園長、教師、生徒会、風紀委員と学園長の許可が出たそれぞれの学年の成績優秀者のみだ(大体の場合、主席と次席の2人だけである)。


雷と謙はゆっくりと学園内を歩いている。埜々香と空と話した後、無属性の転移魔法で学園に行った。そしたら、思ったより速く学園についてしまったらしく、2人は暇をしている。今回の新入生総代は雷であったらしいのだが、彼はそれを辞退し、二位であった謙も辞退した為、成績が3位だった9大名家の少年が新入生総代を務めるらしい。本当は入学テストの成績は公表しないのだが、雷と謙は学園長と生徒会長と知り合いであった為、教えて貰った。更に、自分達を5組に入れて欲しいことと成績を最下位に変更して欲しいと頼んだのである。学園長が理由を聞いたが、2人は楽だからと答えた。


「そろそろ行くぞ、雷。もうすぐ始まるから。」


「俺は行かねえよ。めんどくさい。その辺のベンチに座って待っとるわ。」


「那奈に起こられるぞ。彼奴は怒ると怖いし。」


「分かったよ。名家の奴の長い話でも聞くわ。」


生徒会長である那奈は昔からの幼馴染みである。雷と謙の養父が良く、埜々香の店に通っていた為、仲良くなった。最初は恥ずかしがっていた那奈ではあったが馴れると良く遊び2人を一日中引っ張り回した。


雷と謙は那奈との思い出を思い返して話ながら、魔法演習場に向かった。魔法演習場はドームになっていて、設備は最先端の技術で作り上げられている。

第一魔法学園の中で一番広い演習場だ。此処で入学式が行われる。2人は室内を歩いている。前列に優等生が、後列に劣等生が座るという速くも、差別意識が具現化した状態になっている。2人は後列の一番後ろに座る。入学式は早々と進められ、新入生総代に移った。司会の進行で進んでいく。


「新入生総代、氷川麗奈。」


「はい。」


呼ばれた少女は名家の人間である。幼い頃、雷たちも顔を会わしたことがある。今では、完璧な美少女になっている。


「激しい寒さが無くなって、少しずつではありますが、暖かくなって参りました。また、この季節がやって来ました。私は今まで、下から見ていました。ですが、今年はこの舞台に立って話しています。自分も、この学園に入る歳になったことを改めて自覚しています。私たち、新入生は学業に勤しみ、良き魔法師となり、立派に卒業するまで頑張っていきたいと思います。新入生総代 氷川麗奈」


ドームに響くほどの拍手が起こる。この入学式にいる上級生たちは彼女の言葉に感心した。そして、優秀な生徒がうちに入ったと思って、ホッとしている。だが、雷と謙は内心で爆笑していた。何が頑張るんだよ。差別意識を強めることを頑張るのかと。9大名家の差別意識は正直、異常と言える。特に、劣等生たちに対する虐めなどは酷いものである。虐めなどを行いながらも、家の名と力を使って、罪を事実上消し去る。そんなことをしてきた一族が今頃何を言っているんだよと2人は胸くそが悪くなるぐらいに苛々してくる。


そんなことを考えている間に入学式は終わりを告げる。すると、生徒会長名義で連絡が流れる。呼ばれたのは雷と謙である。


「那奈かよ。はぁ…めんどくせぇな」


「行くぞ、雷。」


2人は生徒会室に向かった。中にいるのは那奈だけである。何を考えたのか、2人を見ると那奈は走りだし、2人に抱きつく。2人は直ぐ様、離れるが。


「会いたかったわ。2人とも~」


「那奈、誰も居ないからって、抱きつくなよ。」


「そうだぞ、那奈。誰か来たらどうするんだよ。」


2人は溜め息を吐く。無神経なところが那奈の悪いところだろう。文武平等容姿端麗で完璧と呼ばれる那奈ではあるが、勝手気ままな行動を起こすことが多々ある。これは彼女の知り合いなら誰もが知ることである。だが、男子は近寄りがたいと近寄れない。だが、女子の殆んどが彼女のことを良く思っている。完璧と呼ばれる彼女は性格も優しいし、弱い子を守る正義感も強い女子から人気の存在である。男子からは近寄りがたいと言われてはいるが、付き合いたい女子という男子が勝手にやっているランキングに常に一位を維持している。これは彼女の生徒会での活動などによるものも多い。生徒会での活動でも優秀な成果を出している那奈は1年の頃から生徒会長をしている。今では、彼女のことは町の方でも有名である。


「何だよ。用事なんか無いだろ?」


「2人の頼まれてた件は成功したわ。でも、その分大変だけれど良いのよね?」


「「ああ」」


「当たり前だろ、そんなの。今更、やっぱり戻してくれって言われても無理だろ。」


「それはそうよ。当たり前だわ。」


那奈は何を言っているのという目で此方を見てくる。那奈に言われた通り当たり前ではある。今更変えてくれと言われてもどうしようもない。2人に変える意思は無いのであるが。


「取り敢えず、何かやらかさないように。2人の頼みで、生徒会も、風紀委員も、貴方たちを取らないように頼んであるから。」


「アザっす。これでめんどいことは無くなったか。」


「那奈。悪いけど、俺たちは色々と問題を起こすと思うから。それは宜しく。」


「それだけは止めてって言っても、変わらないだろうし、強くは言わないけど、やり過ぎないように。良いわね?」


「「ああ」」


「それなら、行って良いわよ。」


雷と謙はじゃあと言って出ていこうとする。那奈のちょっと待っての声掛けに2人が振り返ると2人の那奈が雷と謙のそれぞれに頬にキスをした。那奈はやってやったりという顔をしてこっちを見ている。因みに、那奈が使ったのは分身魔法。詠唱した者を複数に分ける魔法。2人に分けることは初級魔法に分類するが、二桁以上の人数を作る時は中級魔法に分類される。2人は溜め息を吐き、お返しとばかりに頬にキスをする。那奈は頬を赤く染めることも無い。雷と謙が生徒会室を出で行こうとすると、手を振っている。雷と謙は改めて溜め息を吐き、同じことを思った。これが無ければ、恋愛対象になるのかもしれないけど…と。


2人は改めて、那奈の無神経な行動を思い知ったのである。

如何でしたでしょうか?


それではまた。

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