カトーケン
30年前のあの日、一人の友人が突如として姿を消した
僕はあの日をいまだに記憶から消すことができずにいる。鮮明に焼き付いているのだ―――-。
あの日は部活が終わり、沈みかける太陽を背に僕たちは自転車で帰路についていた。
「ハマ、帰りうちで飯食ってく?」
僕の友人、カトーケンは眩しすぎる笑顔で、白い歯を見せながら僕に問いかけた。
彼の家のご飯はうますぎる。おかげで高校に入りこいつと出会ってから体重が増加するばかりだ。こいつはもっとすごい体系をしているのだが。
「いや、今日は遠慮しとくかな。」
今日は大事な用事があるのだ。町内で花火大会がある。将来カメラマンになりたかった僕は今のうちに一枚でも多く写真を撮って腕を上達させたかった。
カトーケンもそれを察してくれたのだろう。
「そうか。また今度うちこいよ!」
いつみても彼は笑顔がとても素晴らしい。
夕日がきれいだ・・・
写真一枚撮っとこうか。
そう思い自転車を止めた時だった
少し目を離したすきに、彼はいなくなっていた。
あの巨漢が、いったいどうやって・・・
その後、メールにも返信がない、家に電話しても帰ってない、そして次の日も学校にはこず。
結局彼はあの日から30年間、見つかっていない。
彼が消える瞬間、隣にいた僕は、とてつもない後悔の中で30年間生きてきた。
僕は今、カメラマンとしてご飯を食べられてはいる。しかし、心のもやもやはとれない。きっと一生これを抱えたまま生きていくのだろう。
ある夜、僕は、夢を見た