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青春スクエア ~綾崎翼の片思い~ 小学生編6

――目覚まし時計の音が耳に届く。

ベットの中から手を伸ばして目覚まし時計を止める。

それから、翼は目を覚ます。

ベットから起き上がり、すぐに制服へと着替えてランドセルを手に一階へと降りる。

玄関の前にランドセルを置いてから洗面所で顔を洗い、リビングの扉を開け放ち。

キッチンでトーストと簡単なサラダを作って食べ――

登校時間になるとランドセルを手に家を出る。

玄関で靴を履きながら、翼は家の方を振り返って家を見つめる。

自分一人しか居ない、この空間。

「――行って来ます」

小さな呟きだけを残して翼は家から出て行く。

通学路を一人歩きながら、翼は少し考えていた。

家でも、学校でも一人になってしまった。

自分の居場所を完全に失ってしまったと。

夢を失ったあの日から、翼は話が全く書けなくなってしまった。

話が書けない苛立ちと両親に逆らえない苛立ち。

翼は色々と抱えていたのだが、それを表に出す事はなかった。

感情も、表に出してはいけない。

人に頼り、人を困らせてはいけない。

そうやってあの日以来、翼は今まで以上に我慢をするようになった。

そして、心を閉ざしてしまったのだ。

最近、相談に乗ってくれていた藤森先生も忙しい様子で良く患者と居るのを見掛ける。

唯一の相談者であった藤森先生が忙しそうなので相談など出来ないのだ。

翼は人に相談する事も。

話を書く事も出来ない。

そんな翼は本ばかりを読んでいた。

学校の休み時間や、家で一人の時。

ほとんど一日中本ばかりを読んでいた。

更には、あの日両親から言われた通りに放課後は病院へと向かっていた。

向かうだけは向かっているのだが。

両親に言われたように、子供達との信頼は築いていなかった。

ただ言われたように病院へは行き、あの個室で本を読んでいるだけだ。

そのように過ごしていても両親には気付かれなかった。

全く子供達と話もしていないのに、気付かれていない。

つまりは結局、子供の患者に対しても自分の子供に対しても気に掛けていないという事だろう。

――そのような非日常を翼は過ごしていた。

だが、以前とは変わった事が一つだけあった。

それは出海さんが来た時の事だ。

今までと同じように出海さんが来て、勉強を教えてくれるのだが――

その日も出海さんが翼の部屋に来ていた。

出海さんは翼の為に寝る間も惜しんで必死に作った問題用紙を見つめる。

そんな出海さんを翼も見つめる。

やがて出海さんが深い溜息を吐き出し、翼の方を見つめながら聞いて来た。

「――翼君、勉強しようよ」

「もう十分なんじゃないですか? 小学校六年生の学力は持っているんですから。少しくらい勉強しなくても…」

「そう言ってもねぇ…。最近の翼君のテスト、全部白紙で提出って――どうしちゃったの?」

「なんでもないです」

そう、あの日以来勉強を前のようにする事はなくなった。

自分が勉強している理由は〝医者になるため〟

勉強をしないのは、ほんの少しの両親に対する抵抗だった。

すぐに両親にバレるのは重々承知していたが。

少しでも反抗したかったのだ。

両親の言い成りではないのだと。

だが、それでも出海さんは翼に勉強を無理強いして来た。

無理強いをして来る出海さんに対し、翼もまた意地でも勉強はしなかった。

しばらくすると、翼は本を手に取って読み始める。

そうすると、出海さんは深い溜息を吐き出して黙り込む。

最近では、出海さんが来るとこれの繰り返しだ。

出海さんが来れば本を読む。

勉強はしたくない。

物語を書く事は出来ない。

そうなってしまうと、翼が出来るのは本を読む事だけだ。

そのため、ずっと本ばかりを読んでいた。

本を読む事しか、出来ないのだから。

そのように、毎日毎日翼は本ばかりを読んでいた。

そんなある日の昼休み、翼はいつものように図書室へと足を向けた。

図書室に着き、借りたい本を数冊手にしてカウンターへ行っては貸しカードと共に差し出す。

すると一年生の頃から居る図書室の先生が驚いたようにして口を開いた。

「すごいね綾崎君……三年で図書室の本を読破するなんて――」

先生がそう口にした瞬間。

静かだった図書室に嫌に先生の声が届いた。

先生の声が耳に届いた生徒達が一斉に翼の方に視線を向ける。

そして翼を見た生徒達はみんな驚いていた。

「過去最高記録だね……」

「ありがとうございます」

翼はそれだけを言い残して借りた本を手に図書室から出て行った。

きっと、夢を失う前ならば素直に喜べた事だろう。

しかし、今の翼は喜びをあまり表には出さなかった。

(――感情は、押し殺さなくちゃ)

そう自分に言い聞かせて、廊下を歩いて行った。

 学校が終わり、翼は病院に向かって足を向ける。

子供達と話をするのでも、相手をするわけでもなくただ図書室で借りた本をあの病室で読む。

今日は病院帰りに本屋へ向かおうと計画を立てながら歩いているといつの間にか病院へと着いていた。

あの空き病室に行こうと思いながらロビーの方へ歩いていると。

廊下の少し奥に藤森先生の姿があった。

どうやら藤森先生の方も翼に気付いてくれた様子で声を掛けて来てくれた。

「翼君。ごめんね最近忙しくて中々話せなくて……」

「俺は大丈夫だよ」

「そういえば、小説の方はどう? 今はどんな話を書いてるの?」

「――最近は話を書いていないんで」

「……お父さんとお母さんに小説家の事言ったんだね」

「……はい」

「そっか…」

「――藤森先生は、知っていたんですか?」

「……うん。結構前からね。でも僕にはどうする事も出来ないから。ごめんね、本当に」

「謝らないでください。何も知らなかった俺が悪いんですから」

それだけ言い残すと翼はそのまま廊下を歩いて行く。

あの空き病室へと入り、今日借りて来た本を病室で一人読み始める。

――確かに、自分が悪かった。

〝病院を継ぐ〟という本当の意味を知らなかった自分が。

幼かった自分が、悪い。

「俺が、悪いんだ……」

小さく呟いて、翼は本を読み耽る。

だが、少ししたらまた病院から出なければいけない。

今日は早めに帰って、本屋へ行く――

そう思いながら本を読み始めようとするのだが。

〝お前は将来、この病院を継ぐんだ〟

あの父親の声が耳から離れない。

本なんて、読めそうにもない。

翼は深い溜め息を吐き出し、本を閉じた。

今日はもう、この病院には居たくない。

そもそも、この病院に来なければ良いのだ。

自分でもそう思うのだが――

〝俺達の言う事に逆らうな!!〟

あの時の父親の怒声がまだ耳に残っている。

それ所か、あの時の恐怖が蘇る。

――きっと、病院へ行かなくなったらあの時のようにされる。

いや、あれ以上の事を。

そう思うと病院に来ないわけにはいかなかった。

深い溜め息をもう一度吐き出し、翼は病院を出て行く。

正直、あの家にはやはり帰りたくない。

一人は嫌だ。

それでも、あそこしか帰る場所はない。

あの家に帰ると考えるだけで溜め息が出て来そうになる。

とりあえず今は本屋へ向かう事だけを考えて歩く。

最近の翼の趣味は、本を集める事だ。

なるべく食費を浮かせて、本を買う。

それでもまだ貯金がある方なのだ。

食費だけは、両親から銀行の口座に振込まれるようになっている為問題はない。

ないのだが――

(異常、だな…)

子供心にもそう思う。

あの両親は異常だと。

そんな事を考えながら歩いていると、すぐに本屋へと着いた。

今日は新刊を買いに来たわけではなく、数年前に発売された本を探しに来た。

そこまでレアな本ではないので売っていると思いながら店内を歩いていると。

目当ての本が置いてあった。

その本をすぐに手に取り、他にも数冊手に取ってレジへと向かう。

本を買ってしまうと、真っ直ぐに家に帰るしかない。

家に帰る理由は、本を読むため。

そう思えば寂しくないはずだ。

そう思いながら翼は家へと帰って行った。

それから少しして出海さんが家に来たが、やはり勉強は一向にしなかった。

流石にあの出海さんでも怒るとは思ったが。

どうしても、勉強だけはしたくない。

医者には、なりたくない。

――やがて、出海さんも帰ってしまい家に一人きりになる。

すると、翼は今日買って来た本を取り出す。

本の表紙を軽く撫で、読み始める。

もしかしたら、一番安心出来る時はこうやって本を読んでいる時かもしれない。

自分の置かれた立場を忘れ、本を読む事に没頭出来る。

本を読んでいる間は現実の事を考えなくて済む。

本を開いて改めてそう思えた。

新しい本の手触り。

インクの匂い。

それらを感じながらの読書。

しばらくの間本を読む事に没頭していたのだが。

やがて、本を読む手を止めた。

今読んでいる本は、数年前に発売されたもの。

この本の次作が図書室に置いてあり、読んですぐにこの作家が気に入った。

それにこの本もすぐに気に入った。

だが、少し夢中になって読んでいたので少しだけ休憩だ。

それから、買い集めた本を並べている本棚に視線を向ける。

――自分の考え、生み出した物語がこうして本になり形になる。

改めて小説家はすごいものだと思えた。

それと同時に。

自分の考えた物語もこのように形にしたいと。

そう思いはするのだが――

どうしても話が書けないのだ。

自分の感じる事や思う事を形に出来ない事が嫌だ。

言い知れようのないような苛立ちのようなものを感じる。

書きたい。

しかし、前のような綺麗に輝く物語は書けない。

こんなにも書きたいのに、書けない。

その事がとても嫌だった。

 翌日、学校へ行くとテストが返って来た。

もちろん、白紙のテストだ。

それを返される時に担任から言われた。

「どうした綾崎。少し前までずっと学年一位の成績だったじゃないか。なのにどうしてこんな事をする?」

担任のその問いに翼は答えなかった。

何も答えず、白紙のテストを受け取って自分の席へと戻る。

(――いつまで、こんな事を続けるんだろう)

自分で自分に問い掛ける。

これは馬鹿な事だと自分でもわかっている。

この事が両親の耳に入ったら、前よりも怒られる。

前よりも、酷い目に遭うかもしれない。

わかっていて、これを続けている。

そんな自分は馬鹿だと。

しかし、今こうやって逃げる方法しか思い付かなかった。

子供な自分に出来る事など、これくらいだと。

実際に逃げようとしても、翼には頼れる相手など居ないからだ。

親戚とも、一度も逢った事がない。

それに逃げたとして、生活など出来ないだろう。

親に逆らえないような、子供なのだから。

〝あなたが病院を継がなかったら今のような生活は出来ないのよ?〟

不意に、母親の言葉が脳裏に過ぎった。

確かにその通りだと思う。

翼はまだ子供だ。

何も出来ない、小さな子供。

そう思うと同時に、自分は子供ではないとも思う。

普通の子供とは違う。

きっと、考えている事もまた違うのだろう。

(――普通でいたいのに)

心の中でだけ、本音を呟いた。

決して口には出さない、本当の言葉を――

その日の放課後の事だ。

翼がランドセルを手にして教室から出ようとすると――

クラスで虐めを指揮っている男子が他のクラスメイトを連れて翼の前に立ち塞がった。

「……何?」

「何じゃねぇよ。今度はなんだよお前。テスト白紙で出してよ」

「やっぱバカにしてんだろ、オレらを」

「してない」

「じゃあなんで白紙で出すんだよ? 言ってみろよ」

「――――」

やはり、その質問には答えなかった。

例え答えたとしても。

自分の悩みを打ち明けたとして、今の状況が変わるわけでもない。

それに今、こうして逃げている事は我が儘なのだから。

自分勝手な、我が儘。

翼がそう思っていると、舌打ちの音が耳に届いた。

「ムシしてんじゃねぇよ」

男子がそう言った、次の瞬間。

翼の後ろに居た男子が翼の手からランドセルを奪い取った。

それに気付いた時にはもう遅かった。

振り返ってみると、クラスメイトが窓からランドセルを放り投げた光景がそこにはあった。

その光景がまるでスローモーションのように視界に入り、すぐに取りに行こうとして走り出したのだが。

翼のすぐ傍に居たクラスメイトに足を引っ掛けられて転んでしまった。

「転んでんじゃねぇよ!」

そう言われ、みんなから笑われる。

それでも立ち上がり、翼は教室から出て行った。

翼の教室は二階にあり、窓の下には花壇があった。

その花壇を荒らしてしまうと怒られる。

慌てて花壇へと向かうと――

花壇は無事だった。

何処にもランドセルが落ちた跡がない。

落ちたランドセルは花壇ではない、花壇横の溝に嵌っていた。

どうやら、投げる場所を間違えた様子だった。

その事が唯一の救いだった。

ランドセルを手に取り、付いた埃やゴミを払って背負う。

そして渋々、病院へと向かった。

病院へ行っても、時間になるまで病室に閉じ篭る。

本だけを手にして、病室で時が過ぎるのをひたすら待つ。

だがふと、翼は自分一人しか居ない病室で小さな呟きを落とす。

「……逃げたいな」

ここから逃げられたら、どんなに良い事だろうか。

自分の立ち場も全て投げ捨てて逃げてしまえれば。

どんなに、良い事だろうか。

――どんなに本を読んで現実から目を背けても。

ずっと眠ったまま覚めない夢を見ていれば良いと思っても。

これが全て夢だと良いと何度、どんなに強く願っても。

今目の前に広がっている光景は全て現実だ。

辛く、残酷な現実の中で翼は生きている。

「……逃げられたら良いのに」

この現実から。

医者になるしかないこの人生から。

全てのものから逃げられたら――

どんなに良い事だろうか。

そんな事を考えながら翼は現実から逃げるようにして眠りに落ちた。

――あの頃、俺は逃げたかった。

残酷な現実から。

受け入れたくなんかなかった。

目の前にある現実を。

夢を諦めるしかない現実を。

そんな世界を俺は嫌った。

世界の全てを、俺は嫌った。

自分の運命について嘆いた。

そして疑問に思った。

平和な国に俺は住んでいる。

ならば何故人を蔑み、圧倒的な力で押し殺すのかと。

どうして人はその見えない力に逆らえないのかと。

本当はその答えはわかっていた。

ただ、俺には勇気がなかったんだ。

逆らうための勇気が、俺にはなかった。

俺はただの、弱虫だったんだ――




 翼は目を覚ました。

腕時計を見てみると、針は丁度五時を指していた。

今日は少し早めに帰ろうかと思い、ベットの上に置いていた本をランドセルに入れて病室から出る。

まだ読んでいない、持参している本はデスクの上に置いて行く。

どうやら、翼があの病室に行くようになってから毎日掃除がされている様子だった。

最近では全く埃を被っている所がない。

それに空き病室に人が入っているとわかっているはずなのに、あの本がナースステーションに預けられる事はない。

それがどうしてなのかはわからなかった。

しかし、誰かが大目に見てくれている事はわかった。

病院の広場を通って正面玄関から出ようとした時。

幼い女の子が折り鶴を折っている姿が見えた。

だが、女の子の作る折り鶴は鶴の形には全くなっていなかった。

その自覚はあるようで、何回も折り鶴を折り直している姿が見える。

それを見た翼はその子の隣に座って折り紙を一つ手に取って優しく言う。

「鶴の折り方を教えてあげるよ。いい? 見ていてね」

そう言って、鶴の折り方を教えてあげた。

すると、近くに居た女の子が絵本を読んでくれと言ってくる。

その次は男の子が遊んでくれと言ってくる。

そしてあっという間に翼は子供達に囲まれてしまっていた。

そのおかげで気付く事が出来た。

数人のナース以外、誰も子供の相手などしていないのだと。

初めて知ったのだ。

自分だけではなく、病院に居る子供達にも両親は冷たくしているのだと。

そう思うと、どうしてもこの子達を今までのように放っておく事は出来なくなった。

この子達には、自分のように寂しい思いをさせたくない。

そう思いながら翼は子供達と接していた。

それから数日後の事。

その日も翼は病院で子供達と遊び、家へと戻ると――

出海さんがいつものように家へと来たが、どうも何処か機嫌が悪い。

どうしたのかも聞ける雰囲気でもなかった。

いつものように出海さんは勉強を無理強いしてくるが。

それでもやはり、勉強はしなかった。

翼がいつものように本を読んでいると、出海さんが聞いてくる。

「ねぇ、本当に勉強しないの?」

「しません」

「どうしてなの?」

「――――」

「ねぇ、その理由だけでも教えてくれない?」

「――――」

誰からそう尋ねられても、翼は答えなかった。

答えても、どうにもならないからだ。

そう思いながらも再び本に視線を落とすと、出海さんの深い溜め息が聞こえてくる。

「本当に、勉強――しないのね?」

「はい」

翼はハッキリとそう答えた。

恐らく、今までにないほどに即答したと思う。

すると――

「――私、家庭教師やめる事になったの」

「え……?」

驚いて出海さんの顔を見た。

出海さんは、翼の方を見ようとはしなかった。

ただ、テーブルの上に置いていた採点用のペンや必死に作った問題用紙を片付けながら口を開く。

「翼君の成績が一向に上がらないからやめさせられたの。一週間後からは新しい家庭教師が来るって昨日の夜翼君のお父さんから電話があったわ。私は今日で家庭教師は終わり」

それだけ言い残すと、出海さんはそのまま家から出て行ってしまった。

突然、そんな事を言われた。

本当に突然過ぎる。

その事に戸惑いを隠せなかった。

出海さんは、小学校に入った頃からずっと今まで家庭教師をしていた。

そんな彼女を、自分の我が儘でやめさせてしまった。

その事に対して罪悪感を感じた。

少しくらい、勉強をすれば良かったかと思ったが。

やはり、医者になるために勉強はしたくなかった。

――それから一週間後。

翼は病院から慌てて帰っていた。

中々子供達が解放してくれず、今の時間になってしまったのだ。

今日は、新しい家庭教師が来る日だ。

遅れるわけにはいかない。

全力疾走で家へと戻り――

家の前に着いた時、インターホンを押す人の姿が見えた。

荒くなった息を整えながらも腕時計を確認してみると、丁度六時になったばかりだ。

慌ててその人の元へ駆け寄り、翼は口を開く。

「遅くなってすみません! 今日からお世話になる綾崎翼です!」

「あぁ、君がメグミ君だね」

その声に翼は顔を上げてみた。

そこには――

まるでアイドルのように整い過ぎている顔立ちで。

オレンジ色の髪色をした高校生くらいの男性が立っていた。

しかし身長は百八十くらいはある、とてつもない存在感のある男性。

そんな男性に少しの間、翼は見惚れてしまっていた。

本当に、顔が綺麗に整っている。

この人と自分では、まるで住む世界が違う。

そう思えるような顔立ちだ。

すると、目の前に居る男性が口を開いた。

あまりにも顔が綺麗に整い過ぎてるので、動かない人形かと思うほど。

目の前の男性は、とても顔の良いイケメンだった。

「今日から家庭教師をやらせてもらう東夜嗄です。よろしくね、メグミ君」

男性は爽やかにそう笑って言った。

今度の家庭教師は、とても印象に残る人物だった。

(この人が、新しい家庭教師――)

そう、思いながらも翼は彼から目を離す事が出来なかった。

小学校三年生。

俺はある人と出逢った。

それは、俺の人生を大きく変えるような人物。

これが、俺と東夜嗄の出逢いだった――









                                              ~To be continued~

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