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声を聞かせて  作者: CACAONOVEL12
4/76

カフェオレ

泉川だった。


泉川はしゃがんで落とした袋を拾った。

中身は・・・。


焼きそばパンとコロッケパン。


「・・・・・」


無言で袋を拾う泉川と目が合った。

泉川は、俺の顔を覚えているようだ。

小さく頭を下げた。


正直な感想を述べよう。


嬉しい。


なんというか・・・

とりあえず嬉しい。


大きい目が、俺から視線を外した。


ちょっとショックだ。


泉川は自動販売機のボタンを押そうとした。


しかし。


急に動きがピタッと止まった。


俺は泉川の指先に目をやった。

そこは、カフェオレのボタンだった。


<売り切れ>


あ、ラス1だったんだ。


俺は手に持ったカフェオレを見た。

泉川は残念そうな顔をしていた。


なんだ?


良心が痛むぞ。


「あの・・・」


勇気を振り絞った。

泉川が俺を見る。


なんか照れるぞ。


「これ。

 やるよ」


俺は泉川に向かって、カフェオレを投げた。


普通ならキャッチするだろう。

普通なら。


泉川は、細い腕を伸ばした。


ガゴン。


缶は鈍い音を立てて泉川の手をすり抜けた。

そのまま床に落ちた。


ゴロゴロゴロ・・・。

へこんだ。

ゴミ箱付近に落ちた。


汚ねぇ。


「「・・・・・・・」」


缶が転がる音と、沈黙がBGMのように聞こえた。

沈黙はBGMじゃないか。


「ま、いっか」


泉川は、はっとしたように腕を元に戻した。

そして、俺にペコペコ頭を下げた。


カワイイナ・・・。


俺は無言で自動販売機の前に立った。

泉川が一歩下がった。


下心とかじゃないよ!!


イヤ、普通怪しむか。


俺は1人で解説しながら、イチゴオレのボタンを押した。

2回。


落ちてきた缶の1つを手渡しで泉川にあげた。


小さな手で、イチゴオレを受け取ってくれた。

そして、顔を上げてー。


微笑んだ。


不覚にも、俺はその笑顔に見惚れてしまった。


可愛い・・・けど、スゴく綺麗だし、なんていうか・・・

儚い?


美しすぎる笑顔を見たとき、俺は一目惚れしてしまった。


気がした。


まだ真実を知らなかった。



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