購買とパン
購買のパンを逃した。
うまいと評判のメロンパン、焼きそばパン、コロッケパンを買いたかった。
ちくしょう。
俺は3階にある1年の教室を恨んだ。
何で3階に1年の教室があるんだよ。
面倒くせぇ。
「柳瀬くん!」
呼ばれたから振り向いた。
知らない女が立ってた。
リボンの色からして、2年か?
「これ、食べたい?」
甘ったるい声。
こんな声は嫌いだ。
女はメロンパンを見せびらかした。
「・・・・うん」
思わず本音が出た。
女は満足そうに微笑むと、
「じゃ、私と付き合ってくれる?」
と言った。
「はぁ??」
女はまだニコニコしている。
「付き合ってくれないの?
じゃ、これあげな~い」
交換条件のつもりか?
「どこに付き合えばいい?」
一応聞いといた。
面倒そうだったら断る。
いらないし。
「やだな~。
恋愛的な交際のこと♪」
周りがコソコソしながら、俺と女をジロジロ見ている。
うぜぇ・・・。
「別にいいや・・・」
俺は教室に戻ろうと、女を視界から外した。
「え?!ちょっ・・・!!」
女は、俺がOKするとでも思っていたようだ。
「んじゃ、すんません」
女は泣きそうな顔で、近くにいた女子の塊に入っていった。
けっ、知らねぇ。
俺は廊下を歩いていた。
「お~!帰ってきた!」
クラスの連中と一緒に飯を食ってた敦也が話しかけてきた。
「なかった」
「そりゃ、そうだよな!」
「飲み物買って来る」
「お~いってらっしゃい!」
俺は軽く手を振った。
ポチッ。
ガシャン。
俺は落ちてきたカフェオレを手に取った。
実を言うと、甘党だ。
ガサッ。
袋を落とす音が聞こえた。
何となく振り返った。
そこには、俺が気になっていた人物が立っていた。