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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
98/193

湯切り戦線異常アリ!


◆ 夜。ユウ宅、二階。

ちゃぶ台にカップ焼きそばがずらり。

バカたちの晩餐が始まる。


ユウ「静かにしろよ、姉貴いるから」

カズ「え、あの女帝在宅!?」

ダイキ「まじか、前科者の気分なんだけど」

タクミ「なんで家にいるだけで圧を感じるんだろうな……」

ユウ「存在が監視カメラなんだよ」



◆ 湯切り、発想の地獄。


ユウ「お湯切るか」

カズ「台所まで行くのめんどくね?」

ダイキ「窓あるし、ベランダからでよくね?」

タクミ「やめとけって、フラグ立ってる」

ユウ「いや、地球の重力を信じる!」


(ジョボボボボ……)


その頃、下の階では——

風呂上がりの姉が洗面所でタオル巻いていた。


そして、声が響く。


「おいッ!!ションベンしたやつ誰ぇぇぇぇぇぇ!?」


全員「!?!?!?!?」


ユウ「ちがっ、湯っ、湯!!」

ダイキ「犯人ムーブが早すぎる!!」

タクミ「この家、秒で尋問始まるのかよ!!」

カズ「もうダメだ、人生リセットしたい!!」



◆ すり……すり……摺り足、始動。


ユウ「きた……!!!」

ダイキ「やべぇ、音が静かすぎて逆に怖ぇ!!」

カズ「階段上る音が……バイオハザード……」

タクミ「お前んちの生活音、ホラー演出されてるのか!?」


襖がゆっくり開く。

女帝、バスタオルの上にカーディガン羽織り、くわえタバコ。

湯気と煙が混ざる。

視界がスローになる。


女帝「……湯切りって、そういう意味だったの?」


ユウ「違うっ!違うからぁ!!」

女帝「液体の放出は事実よね?」

全員「違う違う違う違う!!!!」



◆ 審判。


女帝、ちゃぶ台に座る。

カップ焼きそばをひとくち。


「……伸びてるわね。あんたらみたいに。」


ユウ「褒めてないよな?」

女帝「褒めたことないでしょ?」


タバコを指先で整え、

紫煙を吐きながら言う。


「“放出する”にも方向があるの。

 熱は上に。バカは……横に広がるのよ。」


ダイキ「物理で説教!?」

タクミ「煙が名言吐いてる!!」

カズ「俺もう宗教入る!!」



◆ 夜明け。


女帝は灰皿に火を落とし、すり……と立つ。


「Wi-Fi、明日から制限。」


ユウ「それは死より重い!!!」

カズ「青春、通信途絶!!」

ダイキ「でも名言すぎて逆らえねぇ……」


襖の向こうで、最後の煙がふわり。


女帝「青春ってのは、湯気と同じ。

 熱いときしか見えないの。」


——そして、摺り足が消える。


冷めた焼きそば、笑い声、そして余韻。

それが、今夜の湯切り。


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