それなりフェスティバル開幕 ― 校庭に愛と平均が舞う
【朝・校庭】
拡声器の声が響く。
「第1回――それなりフェスティバル、開幕でぇぇぇす!!」
校庭には横断幕。
《すべての青春に、それなりの輝きを》
ユウ:「……俺、主催じゃないよな?」
カズ:「お前の名がポスター中央に載ってるぞ。“教祖ユウ”って。」
ダイキ:「お前、文化祭のときより人気出てんじゃんw」
タクミ:「もはや宗教だろこれ。」
校内の女子:「それなりポーズして〜♡」
ユウ:「もうやめてぇぇぇぇ!!」
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【ステージ開幕】
杏仁豆腐、開演。
客席は「それなりタオル」「平均値Tシャツ」で埋まる地獄。
ユウ:「……お前ら、なんでグッズまで作ってんの!?」
カズ:「校内デザイン部がノリで!」
ダイキ:「“それなり魂”ってロゴ入ってる!」
タクミ:「フェス感すげぇ……」
——ギターの音が響く。
観客全員がそれなりポーズ。
ステージの上から見た光景は、もはや信仰。
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【ギャル神社エリア】
屋台の裏、三柱が優雅に観察中。
レイナ:「やば、あの盛り上がりw」
アイカ:「“バカ”って、ほんと拡散性が高いわね。」
ミナミ:「……伝播するのよ。熱って。」
アイカ:「でも、あのバカが教祖って時点で末期。」
レイナ:「ミナミ、アンタの目、笑ってんのに燃えてるんだけど?」
ミナミ:「……見てるとね。放っとけなくなる。」
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【混乱エリア】
放送部:「緊急放送!ダイキくんが鍋の具をフェスに持ち込んで爆発しました!!」
ダイキ:「違う!チーズフォンデュ式ドリンクだって!」
安藤先生:「公衆衛生の敗北よ!」
ナムサン:「愛と筋肉は混ぜるな危険よぉぉぉぉぉ!!」
ユウ:「筋肉神と保健神が喧嘩してる!?!?」
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【ステージ・アンコール】
観客:「それなりコール!それなりコール!!」
ユウ:「……やるしかねぇな」
マイクを握り、深呼吸。
ユウ:「“それなり”で、いいじゃんか!!!」
(ドラム、鳴る。歓声、爆発。)
カズ:「青春って、平均値じゃ測れねぇ!!!」
タクミ:「声出せ!魂鳴らせ!それなりに叫べぇぇ!!」
ダイキ:「飯くえぇぇぇ!!」
全員:「最後関係ねぇ!!!」
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【フィナーレ】
雪解けの光の中、三柱の笑い声が響く。
ミナミ:「……バカたち、また何か燃やしてる。」
レイナ:「でもさ、見てるとさ、こっちまで熱くなるよね。」
アイカ:「“それなり”って、案外生き方として正しいのかも。」
ミナミ:「そうね。……“それなり”に、愛しいわ。」
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【夜・校庭跡】
フェスの横断幕が風に揺れる。
そこに、誰かが落書きしていた。
“それなり”=“それぞれ”
ユウ:「……やっと伝わったかもな。」
カズ:「時間かかったな。」
ダイキ:「でも、笑えたもんな。」
タクミ:「青春は、結局それが正解だろ。」
——笑い声と余熱だけが残った。




