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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
95/193

それなりフェスティバル開幕 ― 校庭に愛と平均が舞う


【朝・校庭】


拡声器の声が響く。

「第1回――それなりフェスティバル、開幕でぇぇぇす!!」


校庭には横断幕。

《すべての青春に、それなりの輝きを》


ユウ:「……俺、主催じゃないよな?」

カズ:「お前の名がポスター中央に載ってるぞ。“教祖ユウ”って。」

ダイキ:「お前、文化祭のときより人気出てんじゃんw」

タクミ:「もはや宗教だろこれ。」


校内の女子:「それなりポーズして〜♡」

ユウ:「もうやめてぇぇぇぇ!!」



【ステージ開幕】


杏仁豆腐、開演。

客席は「それなりタオル」「平均値Tシャツ」で埋まる地獄。


ユウ:「……お前ら、なんでグッズまで作ってんの!?」

カズ:「校内デザイン部がノリで!」

ダイキ:「“それなり魂”ってロゴ入ってる!」

タクミ:「フェス感すげぇ……」


——ギターの音が響く。

観客全員がそれなりポーズ。

ステージの上から見た光景は、もはや信仰。



【ギャル神社エリア】


屋台の裏、三柱が優雅に観察中。


レイナ:「やば、あの盛り上がりw」

アイカ:「“バカ”って、ほんと拡散性が高いわね。」

ミナミ:「……伝播するのよ。熱って。」

アイカ:「でも、あのバカが教祖って時点で末期。」

レイナ:「ミナミ、アンタの目、笑ってんのに燃えてるんだけど?」

ミナミ:「……見てるとね。放っとけなくなる。」



【混乱エリア】


放送部:「緊急放送!ダイキくんが鍋の具をフェスに持ち込んで爆発しました!!」

ダイキ:「違う!チーズフォンデュ式ドリンクだって!」

安藤先生:「公衆衛生の敗北よ!」

ナムサン:「愛と筋肉は混ぜるな危険よぉぉぉぉぉ!!」

ユウ:「筋肉神と保健神が喧嘩してる!?!?」



【ステージ・アンコール】


観客:「それなりコール!それなりコール!!」

ユウ:「……やるしかねぇな」


マイクを握り、深呼吸。


ユウ:「“それなり”で、いいじゃんか!!!」

(ドラム、鳴る。歓声、爆発。)


カズ:「青春って、平均値じゃ測れねぇ!!!」

タクミ:「声出せ!魂鳴らせ!それなりに叫べぇぇ!!」

ダイキ:「飯くえぇぇぇ!!」

全員:「最後関係ねぇ!!!」



【フィナーレ】


雪解けの光の中、三柱の笑い声が響く。


ミナミ:「……バカたち、また何か燃やしてる。」

レイナ:「でもさ、見てるとさ、こっちまで熱くなるよね。」

アイカ:「“それなり”って、案外生き方として正しいのかも。」

ミナミ:「そうね。……“それなり”に、愛しいわ。」



【夜・校庭跡】


フェスの横断幕が風に揺れる。

そこに、誰かが落書きしていた。


“それなり”=“それぞれ”


ユウ:「……やっと伝わったかもな。」

カズ:「時間かかったな。」

ダイキ:「でも、笑えたもんな。」

タクミ:「青春は、結局それが正解だろ。」


——笑い声と余熱だけが残った。

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