表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
91/186

case三柱 #3 「春の信仰、風の監視」



昼下がりの屋上。

春風がスカートの裾を揺らす。

けれど、下の校庭ではもっと落ち着きのない風が吹いていた。


レイナ:「あれ見て!杏仁豆腐、またバカ集会してんじゃん!」

アイカ:「“モテ春キャンペーン”だって。毎年恒例の儀式らしいわよ。」

ミナミ:「……春はバカが開花する季節だからね。」


笑いながらも、ミナミの視線は下に釘付けだった。

杏仁豆腐の4人が真剣な顔で“モテ理論”を議論している。

まるで科学実験のように、青春をこねくり回していた。


レイナ:「……やば。あいつら全力でバカしてる。」

アイカ:「真剣に空回りしてるって、青春の正解だと思う。」

ミナミ:「あのバカ正直さ、ちょっと懐かしいね。」



下ではユウが“後ろ姿フェチ理論”を熱弁していた。

もはや宗教。

周りの男子たちがうなずくたびに、信仰が広がっていく。


ミナミ:「……あの子、自覚ないのよね。どれだけ見られてるか。」

アイカ:「観測対象の自覚がない観測者、ってやつ?」

レイナ:「難しく言うなw」

ミナミ:「放っとくと、誰かに持ってかれるタイプ。」

アイカ:「はい出た、“縄張り管理”発言。」

ミナミ:「観察の一環。」

レイナ:「恋愛じゃなくて研究って言い張るタイプね。」



そのとき、ユウが一年女子に話しかけた。


レイナ:「お、動いた!」

アイカ:「実験開始。」

ミナミ:「……。」


ヒールの音が軽く鳴る。

校庭を横切った瞬間、女子がサッと退散。

まるで風が通り抜けたように。


レイナ:「……はい、撃退〜!」

アイカ:「秒速で制圧。」

ミナミ:「……風が強かっただけでしょ。」

レイナ:「強風注意報(恋愛限定)ね。」



放課後。

ギャル神社(仮)の屋上ベンチで、三人がココアを飲む。


アイカ:「結局、杏仁豆腐の春キャンペーンは不発だったね。」

レイナ:「でも楽しそうだったじゃん。あいつら負けても笑ってるし。」

ミナミ:「ああいう笑い方、いいね。……くだらなくて、まっすぐ。」

アイカ:「感情の温度だけで生きてる。羨ましいくらい。」

レイナ:「惚れた?」

ミナミ:「惚れてない。……ただ、眩しいだけ。」



夕暮れ。

屋上の風がやんで、街のざわめきが遠くで溶ける。

下ではユウたちの笑い声が響いていた。


アイカ:「春って、恋が芽吹く季節って言うけど。」

レイナ:「この学校だけ、バカが芽吹いてる。」

ミナミ:「恋よりも、笑ってる方が長持ちするのよ。」


──風が、校舎を抜ける。

三人の髪を揺らしながら、遠くのバカたちの声を運ぶ。


アイカ:「……また観測、続ける?」

ミナミ:「もちろん。退屈しないもの。」


レイナ:「あ〜、やっぱ青春って感染るね。」



その風の向こうで。

杏仁豆腐は、自分たちが“加護されてる”なんて気づきもしなかった。

本当はただ、観測者の視線という名の風に包まれていただけなのに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ