モテ春キャンペーン(結果:全滅)
春。
桜が舞い、制服が軽くなる。
そして男子たちは、決まって“勘違い”を始める季節。
ユウ「春だな……モテ期、来たな。」
カズ「それ去年も言ってたけど、来なかったろ。」
ダイキ「去年は下見。今年が本番。」
タクミ「来る……“恋の風”が。」
カズ「それ多分、花粉だよ。」
ユウ「よし──モテ春キャンペーン、始動!!!」
全員「おおおおおお!!!」
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モテ理論会議
放課後の教室。
黒板には、やたら真剣な字で書かれた方程式。
《モテ=印象×タイミング×顔(+熱)》
カズ「顔って項目が一番デカいのやめろ。」
ユウ「現実見ようぜ。」
ダイキ「でも“+熱”ってなんだよ。」
ユウ「俺のフェチ理論だ。」
タクミ「お前の理論、警察呼ばれるやつだろ。」
ユウ「違う!“後ろ姿の尊厳”を愛してるだけだ!」
カズ「それが怖いんだよ。」
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実践編(失敗の連鎖)
昼休み、廊下。
ユウ、深呼吸。狙うは新入生。
ユウ:「な、なんかその……後ろ姿、エモいっすね……」
女子:「……え?」
その瞬間。
カツ、カツ、カツ。
どこからともなく、ヒールの音が響く。
吹き抜ける風。
女子がピタリと止まり、肩をすくめる。
頬に鳥肌。
女子:「ごめん、今、誰かに見られてる気がして……!」(逃走)
ユウ:「え、俺そんなに怖かった?」
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廊下の端でカズがぼそり。
「なぁ、屋上の方、ミナミ先輩いなかった?」
タクミ:「いや、いた。“見てた”っていうか“狙ってた”目だった。」
ダイキ:「目線の圧、兵器。」
ユウ:「風だろ風!」
(風じゃない)
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その頃、屋上。
ミナミが髪を指でかき上げる。
「後輩の安全は守らないとね。……物理的にも。」
アイカ「圧で守るって、新しいわね。」
レイナ「いや、守るっていうか……威嚇じゃん。」
ミナミ「どっちでもいいの。結果的にバカが生き残るなら。」
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続く被害者たち。
ダイキ(差し入れ作戦):「唐揚げ、食う?」
女子:「……ダイエット中です。」
→ 自分で食って完食。
カズ(優男ムーブ):「これ、落としましたよ。」
女子:「ありがとう!彼氏にもそう言ってほしい〜!」
→ 心に雪が降る。
タクミ(正攻法):「笑顔が素敵ですね。」
女子:「え、ありがと……」
タクミ:「ちなみにこの歯磨き粉、めっちゃいいよ。」
女子:「は?」
→ 空気、真冬。
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威圧と祝福のハーモニー
昼下がり、校舎の空気がピリッとする。
一年女子たちがざわつく。
「ねぇ、なんか上の階……見られてない?」
「空気、重くない?」
「え、怖……」
屋上の三柱は、風を背に佇んでいた。
ミナミ「恋の芽は、日差しより圧で散るのよ。」
レイナ「こわ……」
アイカ「青春の自然淘汰。」
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敗北の午後
夕暮れ。ベンチ。
杏仁豆腐、魂抜けて座る。
ユウ「……春、負けたわ。」
カズ「いや、まだ始まってもいない。」
ダイキ「恋って、唐揚げより難しい。」
タクミ「歯磨き粉も効かない。」
ユウ「俺、なんかに守られてる気がする……悪い意味で。」
カズ「神の加護。別名、ミナミ先輩。」
ユウ「守る方向、間違ってんだよな……」
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屋上では、三柱が笑っていた。
ミナミ「バカって、春の風みたいね。すぐ舞って、すぐ散る。」
レイナ「でも、花びらより目立つ。」
アイカ「咲く前に騒ぐ。ま、らしいけどね。」
そして風が吹く。
“神の加護”が再び校舎を包む。
──青春の春は、いつだって空回りで美しい。




