青春ギャラクティカ・バレンタイン後日談──カエルチョコとリア充黙示録
放課後、教室の片隅。
机の上には食いかけのポテチと空の紙パック。
夕陽が差す窓辺で、杏仁豆腐の4人が集まっていた。
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ユウ「――で、今年の戦績報告、いこうか」
ダイキ「俺は義理6! 全部チロル! でも袋はハート柄だったから実質本命!」
カズ「(ため息)俺、3個。全部本命」
ユウ「……は?」
ダイキ「出たーーー! ちゃっかりリア充男!!」
カズ「いや、俺何もしてねぇんだって。ただ“相談乗ってくれてありがとう”って言われて…」
ユウ&ダイキ「出たよ“相談モテ”!」
タクミ「俺は軽音の子から。曲聴かせてたら『タクミくんの声、恋のキーだね♡』って言われて…」
ユウ「顔面偏差値でモテる奴は発言に説得力がねぇ!」
カズ「まぁタクミはモテるけど鈍感だからセーフ」
タクミ「え?それって褒めてる?」
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ユウが机をドンと叩いた。
ユウ「俺は……ゼロだ。でも、ミナミ先輩が“がんばれよ”って言ってくれた。それで俺の中じゃ義理10個分だ」
カズ「精神世界でバレンタインするな」
ダイキ「ユウ、それ“脳内義理チョコ”じゃん」
笑いが広がる中、ユウがカバンをごそごそ。
ユウ「でもな、ひとつだけもらったんだよ……これ」
机にドン。
――リアルすぎるカエル型チョコ、登場。
ダイキ「ギャアァァァァ!目ぇ動いた!?」
カズ「なにそれ!造形レベルが生物学!」
ユウ「“気持ちがカエル”って意味らしい。フォローとして成立してねぇ!!」
タクミ「でも、なんか深い。恋が変わる。気持ちが進化する。愛の変態だ」
ユウ「お前は何でも詩にすんな音圧モテ野郎!」
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しばしの沈黙。
外では部活帰りの笑い声。
チョコの包み紙がカサリと鳴る。
カズ「なぁ、ユウ。カエルでもいいじゃん。
“変わる”って青春っぽい」
ユウ「……だな。じゃあ、俺は来年“トカゲチョコ”目指すわ」
ダイキ「それ進化しすぎだろ!!」
爆笑。
教室の窓から、橙色の光が差し込む。
どこかで三柱の笑い声が聞こえた気がした。
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ナレーション(安藤先生の声のような)
青春とは、味覚のズレと恋のズレの総称である。
カエルチョコを笑いに変えられる者だけが、
“恋よりも熱”を持っている。




