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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
75/193

青春タワー・ギア3 ―ニケツの進化論―

放課後の駐輪場。

春風、制服、チェーンのきしむ音。

ユウたちはいつものように、どうでもいい話をしていた。



ダイキ:「なあ、ユウ。お前、他校のニケツ見たことある?」

ユウ:「あるけど?」

タクミ:「あれ、後ろのやつ座ってんだよな。サドルに」

ダイキ:「そうそう! でも、うちのは立ち乗りが主流じゃん?」

カズ:「立ち乗りっていうか、“立って威厳見せる”文化ね」


ユウ:「……あー。あれ、ちょっと気づいちゃったかも」

タクミ:「は? なにを?」

ユウ(目がギラつく):「“混ぜたら最強”ってこと」


ダイキ:「出た、ユウの悪い顔!」

ユウ:「1人立ち漕ぎ、2人サドル、3人目は――展望台」

タクミ:「待て、展望台て何!?」

カズ:「三人乗り!? 人間やめる気!?」


ユウ:「違う、進化だ。ニケツ文化のアップデート。

これはもう“ニケツ2.0”じゃなく、“トリケツ・ギア3”!」



駐輪場がざわめく。

ユウが自転車を立て、構える。

構成:

•ユウ(操縦)

•タクミ(サドル)

•ダイキ(展望台)

•カズ(ツッコミ兼実況)



カズ:「俺は止めたからな?動画撮るけど」

ユウ:「いくぞぉ……青春タワー・ギア3、発進!!!」

ダイキ:「うおおぉぉ! 高度上昇中!」

タクミ:「だから上がるなぁぁ!」



カズ(実況中):「安定感ゼロ、ロマン200%……青春のバランス感覚が死んでる!」



ガッシャァァァアァアン!!!!


宙を舞う靴、吹き飛ぶワックス、軌道を描くパンツの裾。

ユウ:「……俺、いま風になった……」

ダイキ:「俺、重力感じた……」

タクミ:「俺だけ現実見てた……」



カズ(スマホ越し):「バカすぎる……でも、これが俺らだな」


そこへ――

ヒールの音。香水の匂い。

ギャル神社、三柱降臨。


レイナ:「ちょ、あんたら何の祭り開いてんの?」

アイカ:「青春の命、消耗早くない?」

ミナミ:「……バカやってる時の顔、いちばんいいじゃん」


ユウ:「ミナミ……先輩……」

ミナミ:「あんたたちさ、そういう無駄、ちゃんと大事にしなよ」


春の空。

笑いと土埃の中で、青春は静かにギアを上げた。


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