二日酔いセンセイと青春の哲学
◆ 朝・教室
(チャイム直前。杏仁豆腐メンバーがダラダラ登校中)
ユウ「なあ、今日の安藤先生……なんか顔色すごくね?」
カズ「てか目の奥に“昨日の自分”いるな」
ダイキ「完全に魂まだ酔ってる!」
タクミ「朝から“熟成中”って感じだな……」
(ガラッと扉が開く)
安藤先生「……おはよぉぉぉぉ、みんなぁぁ……(声が2オクターブ低い)」
ユウ「先生!?どうしたんすかその“人生全部語ったあと”みたいなテンション!」
安藤先生「……語ってたのよ……昨日、焼酎の神と……」
(ドン引きする教室)
カズ「まさかの神レベル飲み会!?」
ダイキ「神が相手なら二日酔いも仕方ねぇな!!」
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◆ 授業開始
安藤先生「えー……今日は……“恋の化学反応”の授業を……」
ユウ「先生、化学じゃなくて現代文っす……」
安藤先生「あら。じゃあ“恋の比喩表現”に変更で」
(机に突っ伏す)
タクミ「先生、まだ酔ってますね……」
安藤先生「酔ってないわよ……ただ、“現実”がちょっと揺れてるだけ……」
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◆ 休み時間
ユウ「先生、ほんと気をつけたほうがいいっすよ」
安藤先生「……なによ」
ユウ「焼酎はいいけど、日本酒はダメっす!」
(シーン)
カズ「……なんで?」
ユウ「焼酎は麦でできてるけど、日本酒は“お酒で”できてるから!」
(静寂——からの爆笑)
タクミ「いや、どんな錬金術だよ!!」
ダイキ「お酒の連鎖反応!自己増殖型アルコールか!!」
カズ「ユウ、それもう“永久機関”だよ!」
安藤先生(ふらふらしながら笑う)「……ちょっと待って、笑いすぎると吐く……」
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◆ 授業再開
(黒板に“焼酎=麦 日本酒=米”と書く安藤先生)
安藤先生「はい、これ中間テストに出すから覚えなさい」
ユウ「先生、それマジすか!?」
安藤先生「“青春は酔って覚えるもの”よ……」
(ふらりと出ていく)
ダイキ「先生が一番、味わい深ぇ……!」
タクミ「てか、授業より酒の知識の方が頭に残るな」
ユウ「うるせぇ、俺だって今日、ひとつ成長したんだ!」
カズ「“お酒は米でできてる”って成長いる!?」
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◆ 放課後
(夕暮れの職員室)
安藤先生(昆布をかじりながら)
「若いって、いいわね……
二日酔いでも笑ってくれるクラスがあるってだけで、もう報われるのよ」
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──“青春は、バカの隣で発酵する”。




