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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
6/28

楽器屋パニック!

土曜日の昼下がり。

俺たち四人は、街の中心にあるでっかい楽器屋に集結していた。


「おおお……!」

入口に入った瞬間、思わず声が漏れる。

壁一面にギター、ショーケースに並ぶキラキラしたエフェクター、奥にはドラムセットやキーボードまで。

音楽経験ゼロの俺らには、完全に異世界だった。



◆ドラム、地獄の試奏


ユウ「とりあえず俺、ドラムだろ?」

勢いでスティックを握り、セットに座る。


「ドン!バン!カラン!ガシャーン!」


──結果、ただの交通事故。


ダイキ「ちょっ!お前、トラックに轢かれた音みたいになってんぞ!」

カズ「いや、むしろ廃品回収車のテーマ曲」

タクミ「……ユウ、リズム感は?」

ユウ「壊滅的」

全員「おい!!!」



◆ダイキ、ベースと出会う


次にダイキがベースを持ってみる。

ドゥン…ドゥン…と鳴らす低音。


ダイキ「おおっ!なんか腹に響く!俺の存在感に似てる!」

ユウ「音も体型もデブいな」

ダイキ「殺すぞ!」

カズ「でも案外似合ってるな。縁の下の力持ちって感じ」


ダイキはまんざらでもなさそうにニヤニヤしていた。



◆タクミ、当然の王道


タクミはボーカル希望で、マイクを握る。

ちょっと歌ってみただけで、女子高生の店員が振り返る。


ユウ「おい、やっぱ顔面補正強すぎだろ!」

ダイキ「声までイケメンかよ、チクショウ!」

カズ「漫画かよ……」


この時点で、全会一致でタクミ=ボーカルが確定した。



◆カズ、衝撃の才能


「じゃあ俺、ギターでいいや」

と、カズがさくっとエレキを手に取る。

店員さんがアンプを繋いでくれたので、コードをジャラーンと鳴らす。


そのあと、試しに歌ってみた。


……空気が変わった。


軽やかで伸びやかな声。

冗談抜きで鳥肌が立つレベル。


ユウ「は?」

ダイキ「え?お前、今の何!?」

タクミ「……俺、いらなくない?」


カズ「いやいやいや!俺は表に出るタイプじゃないから!タクミが前に立つ方が映えるし!」

ニコニコ笑いながら、さらっと引いてしまう。


ユウ「……こいつ、マジでバンドに必要不可欠じゃん」



◆そして、伝説の始まり


結局その日は、初心者用の安い楽器をいくつか予約しただけ。

でも俺たちは、確かに一歩を踏み出した気がした。


帰り道。

駐輪場で自転車にまたがりながら、ダイキが言った。


ダイキ「なぁ……俺ら、マジでやれるのかな」

ユウ「さぁな。でも絶対面白くなる」

タクミ「……まぁ、退屈はしなさそうだな」

カズ「うん。俺たちなら、なんとかなるよ」


夕暮れの光の中でペダルを踏み出す。

こうして、バンド「杏仁豆腐」は正式に始動した。

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