case:三柱 #2 「エピローグ ― 熱はまだ、冷めていない ―」
雪は止んでいた。
打ち上げの喧騒が嘘みたいに静かな夜。
校舎の灯りが少しずつ消えていく中、
三人の足音だけが、冷たいアスファルトに響いていた。
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レイナ「……ねぇ、あいつら、これからどうなるんだろうね」
吐く息が白い。
その白さに、まだ熱が残ってるような気がした。
アイカ「進化か、退化か。観測対象としては、面白いわね」
スマホをポケットにしまいながら、
彼女の声はいつも通り、どこか冷静。
ミナミ「……熱は、まだ冷めてない」
短くそう言って、夜空を見上げた。
雪の匂いと街の光が混ざって、
ほんの少し、胸の奥がざわつく。
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遠くの校舎の窓。
旧音楽室の明かりだけが、まだついていた。
中ではきっと、杏仁豆腐がまた何かバカな話をしてる。
レイナ「次は、どんな騒ぎ起こすと思う?」
アイカ「さぁね。……でも、もう少し見ていたい」
ミナミ「見届けよう。
恋よりも、もっと熱いものを。」
三人は笑って歩き出す。
ヒールの音、ブーツの音、そして雪を踏む音。
それぞれ違うテンポで、同じリズムを刻んでいく。
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校舎の向こう、冬空に残る最後の白い息が
ゆっくりと夜に溶けていった。
ギャル神社はまだ、
誰の信仰も求めていない。
ただ、あの熱を“見守る”だけ。
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【end:case:三柱「エピローグ ― 熱はまだ、冷めていない ―」】




