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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
41/192

case.ミナミ #3「仮装と祈りとキラーチューン」




昼の校舎が、まるで夜みたいにざわめいていた。

生徒会主催・ハロウィンフェス。

廊下には仮装した生徒が溢れ、音楽室の窓からはギターのリフ。

いつもの学校が、青春と非日常の境界線みたいになっていた。



◆屋上・昼休み


レイナ:「ねぇ見て見て〜!ナースキャップ似合うっしょ?」

アイカ:「ゾンビナースって、その包帯本当に衛生的なの?」

レイナ:「仮装に衛生もへったくれもないっしょ〜♡」

ミナミ:「ふふ……青春って、みんな何かに“なりたい”季節よね。」


黒のショートトップス。

へそピが太陽の光を受けてキラッと光る。

腰にはチェーンベルト、脚は網タイツ。

――“悪魔系ギャル”仕様のミナミがそこにいた。


レイナ:「出た、悪魔の審美眼!」

アイカ:「その格好で生徒会公認なのすごいわ」

ミナミ:「ルールより熱で動くのが、ギャルの流儀でしょ。」



◆ステージ裏・同時刻


ダイキ:「おいユウ!緊張してんのか!?」

ユウ:「……いや」

タクミ:「完全にしてんじゃん」

カズ:「顔、死んでるもん」


杏仁豆腐、二度目の学内ライブ。

ユウはドラムスティックを握ったまま、

ステージ前方――観客席の中央を見て、固まっていた。


ユウ(……っ!!)

──ビーナスのえくぼ。

──キラリ光るピアス。

──そして、あのへそ。


ユウ(悪魔……降臨……)


ダイキ:「おい!顔、真っ赤じゃねぇか!?」

カズ:「フェチセンサー、完全に発火してる」

タクミ:「生放送で事故るやつだこれ」



◆ステージ開幕


歓声。ライト。

ユウの心臓が、ドラムよりうるさい。


ミナミはステージ最前で腕を組み、静かに見ていた。

レイナ:「うわ〜、あのドラムの子、ガン見してんじゃん!」

アイカ:「多分あれ、“理性の最前線”。」

ミナミ:「……熱、上がってる。」


一曲目。

ユウのリズムが、いつもより荒い。

でも、そこには“生きてる鼓動”があった。


ミナミの唇が、微かに笑う。

「いい。恋よりも、熱。」



◆演出トラブル


二曲目。照明トラブルで一瞬真っ暗に。

次の瞬間、ライトが照らしたのは――三柱の姿。


歓声が止まり、空気が変わる。

まるで、彼女たちを讃える儀式みたいに。


誰かが呟いた。

「ギャル……神だ……」


レイナ:「え、ウチら今、降臨した?」

アイカ:「信仰、発生したわね。」

ミナミ:「ふふ……“ギャル神社”。悪くない名前。」



◆アンコール


ユウはステージから三人を見た。

その笑み、その空気、すべてが“本能”を刺激する。


ユウ:「(……見られてたのは、俺のほうかもな)」


演奏が終わったとき、風が吹いた。

チェーンが鳴り、ピアスが光る。


ミナミ:「悪魔に惹かれる魂って、案外、正しいのかもね。」

レイナ:「ねぇミナミ、惚れた?」

ミナミ:「惚れてない。……でも、燃えた。」



【end:case.ミナミ #3「仮装と祈りとキラーチューン」】


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