鍋パ打ち上げ 〜ギャル三柱、降臨す〜
冬フェス打ち上げ、放課後の部室。
ちゃぶ台を囲み、謎の鍋がグツグツ煮えている。
カズ「これが、青春の味だ」
ダイキ「味っていうか、焦げてんぞ」
タクミ「白菜のとなりにマシュマロ入ってんだけど」
ユウ「甘みと酸味の化学反応!ロマンでしょ!」
全員「バカでしょ!」
そんなカオスな夜に——女神たちが降臨する。
⸻
◆ギャル三柱、降臨。
ガラッ。
ミナミ先輩「おつかれ。鍋、まだ生きてる?」
アイカ「うわ、匂いで胃もたれする〜」
レイナ「てか、湿気で前髪死んだんだけど」
瞬間、男子全員固まる。
ユウ「三柱……降臨した……」
カズ「ありがたや……」
ダイキ「神々の顕現……!」
タクミ「お前ら黙れ、宗教じゃねぇからな」
だがもう遅い。
杏仁豆腐、完全に信仰モード突入。
ユウ「みんな……整列!」
カズ「礼!」
ダイキ「拝めええええ!」
全員、床に手をつく。
「ナムミナミ〜……ナムミナミ〜……」
そのとき。
ユウ「ナマステ〜~」
……静寂。
カズ「……おい、それインド。」
ダイキ「世界観、急にワールドクラス!」
タクミ「宗派ごっちゃだろお前w」
レイナ「ナマステってwwwお腹痛いww」
アイカ「え、拝みながらボケんのやめてw」
ミナミ(クスッと笑って)「……ほんと、バカ。いいね、そのバカさ。」
ユウ(心の声)「あっぶね、恋に落ちるとこだった……!」
⸻
◆鍋地獄ふたたび
ダイキ「やばい!チーズ焦げた!」
カズ「チョコ入れたやつ誰だよ!」
タクミ「味覚のテロ!」
アイカ「ちょ、煙上がってるw」
レイナ「これ食べたら霊界いけそう♡」
ユウ「青春の昇天だな……」
カズ「うるせぇポエム男子!」
ミナミ先輩はスプーンを手にとり、ひとくち。
ミナミ「……うわ、ひど。けど、頑張った味してるね」
ユウ(小声)「ミナミ先輩……天使……」
ダイキ「お前また信仰モード入った!」
⸻
◆二次会カラオケ突入!
「打ち上げ第二部、出発!」
カズが叫び、アイカたちもノリノリでカラオケへ。
タクミはバラードで女子の涙を誘い、
カズは英語曲でイケ度MAX。
ダイキはアニソンでモリモリ盛り上げる。
そして、ユウ。
「よし、いくか!」
選曲は——『粉雪』。
イントロが流れる。
♪こ〜なぁ〜ゆき〜〜〜〜〜〜〜
全員「音痴すぎぃぃぃ!!!」
アイカ「え、音ズレの才能あるw」
レイナ「逆に上手いまであるw」
ミナミ「……下手すぎて、心あったまるね」
ユウ「え、褒められた?」
ミナミ「うん。まっすぐ、だったよ」
ユウ(内心)「今日もう、死んでもいい……」
⸻
打ち上げの帰り道。
雪が舞う。
ミナミ先輩が、白い息を吐きながら言った。
ミナミ「青春って、バカな夜の中にあるんだよ」
ユウ「……ナマステ」
ミナミ「それ、まだ引きずってんの?」
(微笑む)
ユウ「……癖になりまして」
雪の下、笑い声が響いた。




