推し神戦争 ― 恋と信仰の境界線―
──放課後、音楽室。
練習を終えた杏仁豆腐、机にもたれて雑談中。
ダイキ「なぁ……三柱の中で、誰推し?」
カズ「やめろ、青春が崩壊する質問だ。」
タクミ「命と信仰の選択。」
ユウ「……」
ダイキ「俺はレイナ先輩!明るい、ノリ最高、天照!」
カズ「わかる。笑うときの息継ぎ、尊い。」
タクミ「健康神枠。」
ユウ「……違う。」
ユウ、机をどんと叩いて立ち上がる。
「俺は——ミナミ先輩だ。」
全員「知ってたぁぁぁぁ!!!」
⸻
ユウ「お前ら、“かわいい”とか“性格いい”とか、そういう次元で語るな!」
カズ「出た、熱狂信徒。」
タクミ「布教早いな。」
ユウ「ミナミ先輩は“現象”なんだよ!」
ダイキ「気象観測みたいに言うな。」
ユウ「歩くだけで空気が変わる!見るだけで脳が整理される!
立ち姿の重心と腰のライン、あれ、もう建築だろ!!」
全員「構造オタク出たーーー!!」
ユウ「美学だよ!美だよ!あのカーブ、黄金比超えてんだよ!」
カズ「重心語り出したら恋じゃなくて設計だぞ。」
ダイキ「恋の一級建築士。」
⸻
ガラリ。
廊下の扉が開き、香りが流れ込む。
ジャスミン、金木犀、少しだけ粉雪の匂い。
三柱、降臨。
レイナ「なに話してんの〜?信仰告白タイム?」
アイカ「信者の声、四階まで聞こえてた。」
ミナミ「……構造美?」
ユウ「っ!?!?(聞かれてた!!)」
ユウ「ぎゃああああああ!!!」
カズ「!?!?!」
タクミ「バカ、音割れてる!!」
ダイキ「羞恥で爆散!!」
ミナミ(静かに)「……観測範囲、広がった。」
レイナ「ちょ、ユウ〜顔真っ赤すぎ!かわいー!」
アイカ「熱反応、確認。」
カズ「青春、沸騰。」
タクミ「物理的羞恥エネルギー観測。」
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レイナ(にやり)「じゃあさ、ミナミ。“私の魅力、構造だけ?かわいくないの?”って言ってみてよ〜!」
ミナミ「……(無言で首をかしげ、手を頬に添える)」
静寂。
光が反射し、空気が凍る。
ユウ「かっ……(無呼吸)」
カズ「心肺停止。」
タクミ「フェチの臨界点。」
ダイキ「尊の即死コンボ。」
ミナミ(表情変えず)「……こういうの、要るの?」
レイナ「いるに決まってる〜!かわいかったし!」
アイカ「神、悪ノリフェーズ突入。」
ミナミ「……悪くない反応。」
⸻
ユウ、床に崩れながら。
「……同担拒否、公式に崩壊した。」
タクミ「神に負けた信者の図。」
カズ「愛が構造に負ける日。」
ダイキ「でも笑ってる顔、ちょっと人間っぽかったな。」
──放課後の音楽室に、笑いがこだまする。
信仰もフェチも、美も羞恥も。
全部まとめて、青春の設計図。




