体育の悲劇3 ― レシーブと尊厳の境界線 ―
──体育館。
冬の光が窓から差し込み、床のワックスがまぶしい。
杏仁豆腐+マナティの2年生チームは、バレーボールの授業中だった。
ユウ「おい見たか? 昨日テレビでプロのレシーブ講座やってたんだよ。」
カズ「またテレビ仕込みの自信だ……」
ダイキ「お前の“見た”は死亡フラグ。」
タクミ「いいからやってみろ。どうせネタにはなる。」
ユウ「聞けよ。コツは“輪”だ。体の前で腕をこう、輪っかにして、そこを通す感じ!」
真顔で説明しながら、腕で完璧な輪を作る。
ユウ「いくぞー!これがプロのフォームだっ!」
——ボール、発射。
空を描き、まっすぐ軌道を伸ばす。
すぽっ。
輪をキレイにくぐり抜け——床でバウンド——そして。
ドスン!!
股間、直撃。
ユウ「きゃんっ!!」
タクミ「ッ!?!」
カズ「輪の精度だけ100点!!」
ダイキ「青春の尊厳、リバウンドで散ったぁぁぁ!!」
ユウ(崩れ落ちながら)「……っ、反射角、完璧……」
タクミ「悟るな!」
カズ「これが“痛覚の物理”か……」
女子たち、笑い転げる。
体育館が一瞬でお祭り騒ぎに。
⸻
観覧席。
マナティが、スマホを構えてニヤリ。
マナティ「ふふっ……動画、バズる予感♡」
その隣に、三柱がいつの間にか現れていた。
放課後の自主練を見に来たら、事件を目撃したらしい。
レイナ「ははっ!見た!?今の軌道!!」
アイカ「観測結果:天才的バカ。」
ミナミ「……青春と痛みって、だいたいセットね。」
マナティ「“当たる恋”って言葉、こういうのから始まるのかな♡」
レイナ「違う意味で胸キュンだわ!」
アイカ「※心臓ではなく股間部。」
ミナミ「……静かにしなさい。笑いすぎで呼吸止まる。」
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床に倒れたユウ、まだ震えながら。
「……っ、先生、俺……今の、物理的に尊いです……」
カズ「どの口で言うんだよ!」
ダイキ「いや、どの“部位”で言ってんだよ!」
体育教師(呆然)「……とりあえず保健室行ってこい。」
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観覧席。
ミナミが小さくため息をつき、
ポケットから包み紙を一つ投げた。
「……はい。冷やしなさい。」
ユウ「……チョコモナカアイスっすか?」
ミナミ「神の救済は、冷却からよ。」
レイナ「優しっ!」
アイカ「慈悲の温度、2℃。」
マナティ「青春、溶ける前に食べなきゃね♡」
──体育館の床に笑いが残った。
痛みとバカと青春が混ざった、2月の昼下がり。




