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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
335/350

指輪と雪解け ― 飴とピックと、静光の祝日 ―


──放課後、校舎裏。

雪がまだ少し残っていて、風が白く跳ねる。


ユウは小さな紙袋を持って立っていた。

中には銀のピックペンダント。

裏には、小さく刻まれた文字。


“音、繋ぐ”


ミナミ「……また供物?」

ユウ「違います!誕生日プレゼントっす。」


差し出した手がちょっと震えている。

ミナミは受け取りながら、少しだけ笑う。


ミナミ「……ピック?」

ユウ「はい。前は飴の指輪だったんで、

今度は“ちゃんとしたやつ”です。

その……先輩の声も、音も、

繋がってる感じがするから。」


ミナミ「……へぇ。ロマンチックね。」

ユウ「バカでも、ちょっとは成長してるんで。」


沈黙。風が止まる。


ユウ「あと……誕生日、おめでとうございます。

先輩が生まれてきたおかげで、俺、先輩に会えました。

ありがとうございます。」


ミナミ「……言葉のセンス、

ほんとに“天然バカ”の域ね。」


ユウ「褒め言葉っす!」

ミナミ「……まぁ、悪くない。」


その言葉と同時に、少し頬が赤い。

でもユウは気づかず、ポケットを探りはじめた。


ミナミ「何してんの?」

ユウ「いや、あの……実はもう一個あって。」


ごそごそ……。

出てきたのは、指輪型キャンディ(チュッパ型)。


ユウ「……これも、“セット”っす。」

ミナミ「……はぁ?」

ユウ「進化したんす。“飴の誓い・第二形態”。」


ミナミ、吹き出す。

「……成長してないのか、戻ったのか、判断に困るわね。」


ユウ「味変っす。バニラ&青春味!」

ミナミ「……糖度の暴力。」


そこへ、遠くからレイナとアイカの声。


レイナ「ねぇねぇ!今の見た!?飴の指輪また渡してる!」

アイカ「青春は回る、飴のように。」

レイナ「てか、もうそれプロポーズの手順だよね?」

アイカ「誤解の臨界点、突破確認。」


ミナミ「……あの二人、あとで供養ね。」

ユウ「(供養って言葉がサラッと怖い)」


風がまた吹いて、雪が光を返す。

ミナミはピックを首元に下げ、

飴のリングを指にはめて言った。


「……溶ける前に、ちゃんと噛みしめなさいよ。

甘いのも、痛いのも、全部青春なんだから。」


ユウ「……はい。全部味わいます。」



放課後の空。

杏仁豆腐はいつもの教室で笑っていた。


カズ「おい、ユウ。お前それ……また飴?」

タクミ「飴男子、再来か。」

ダイキ「愛、糖度300%だな。」

ユウ「うるせぇ。……今だけ限定味なんだよ。」


窓の外、光が溶ける。

——飴も、音も、青春も。

溶ける前が、一番甘い。


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