黒柴再会 ― 冬の愛でられバカ ―
放課後の住宅街。
白く残る雪を踏みしめながら、レイナが黒柴のリードを引いていた。
レイナ「クロちゃん、ストップ。……よし、待てー。えらいっ!」
黒い毛並みが陽に光る。
その切れ長の目がどこか、あの後輩を思わせる。
レイナ「……ほんと、似てんだよねぇ。顔のパーツ配置が。」
クロちゃん「わん。」
その瞬間。
道の向こうから――ユウ。
ユウ「あれ? レイナ先輩とクロちゃん。」
レイナ「あ、バカ後輩。奇遇〜。」
ユウ「……あの、クロちゃん、俺のこと覚えてるかな。」
レイナ「いや、犬に確認取るな。」
クロちゃんが一歩近づく。
ユウは期待の目。
クロちゃん「……フン。」
プイッ。
ユウ「……記憶、消去済みっすね。」
レイナ「そりゃそうでしょ。あんた、犬に対して“フェチの目”してたじゃん。」
ユウ「目の形に親近感湧いただけですよ!」
レイナ「それをフェチって言うの。」
⸻
数分後。
レイナがコンビニに寄る。
残されたユウとクロちゃん。
ユウ「……よし、リベンジだ。」
クロちゃんの横にしゃがみ、四つん這い。
雪の上で同じポーズを取る。
ユウ「これで……一体感。もしかして、間違えて愛でられるかも……」
⸻
レイナ「――なにしてんの?」
袋を手に戻ってきたレイナ、ドン引き。
ユウ「え、間違えて撫でられるかと思って。」
レイナ「お前、青春で迷子か?」
ユウ「犬との絆っす。」
レイナ「それ、犬にも迷惑だから。」
クロちゃんがユウの顔をクンクン。
ユウ「お、今度こそ反応アリ!」
レイナ「いや、それ警戒してるだけ。」
クロちゃん「わんっ!!」
ユウ「痛っ!鼻パンチきた!」
レイナ「完全に嫌われてるじゃん!」
⸻
そこへ通りかかる三柱。
アイカ「観測結果:共存、失敗。」
ミナミ「……犬にも通じないフェチ、希少種ね。」
マナティ「でも、バズる絵面ではある♡」
レイナ「#人間と犬の境界線 で出そうかな。」
ユウ「やめてくださいッ!」
笑い声が冬の空気を溶かしていく。
白い道に、犬とバカの足跡が並んで残った。
——青春、それは愛でられようとして転がる。




