お年玉 ― ロト6、青春一万円当たり ―
昼休み、教室。
まだ正月気分が抜けきらない昼の光の中、杏仁豆腐が机を囲んでいた。
ユウ「……兄貴からお年玉、来た。」
カズ「またか。去年は“信用残高ゼロ”だろ。」
タクミ「開けたら何? 今年も名言?」
ユウ「ロト6。」
ダイキ「賭けの形が変わっただけ!!」
ユウ「いや、しかも……数字、4つ当たってんの。」
全員「はぁぁぁ!?!?!?」
カズ「それ、いくら!?」
ユウ「……一万円。」
ダイキ「ちょうどいいッ!!」
タクミ「奇跡でもない、微妙にリアルな額ッ!!」
笑いが起こる。
ユウは当選確認のスマホ画面を見ながら、真顔で言った。
「兄貴……当てにきてる気がする。」
カズ「狙って一万円当てるの逆に才能だぞ。」
ダイキ「兄貴、ギャンブル界の芸術家説。」
タクミ「いやこれ“投資のリターン”かもしれん。」
そこへ、通りかかった安藤先生が立ち止まる。
昆布を噛みながら、チラッとユウの手元を見て言った。
「……いいじゃない。一万円でも、“誰かの思惑”で動くお金って、あったかいわよ。」
ユウ「え、どっちの意味っすか?」
安藤先生「……青春の経済は、感情で為替が動くの。」
カズ「名言っぽいけど、為替に感情混ぜないで。」
ダイキ「青春通貨レート変動中〜!」
⸻
放課後。
昇降口の風が少し冷たくなってきた頃、ユウがポツリ。
「……兄貴、次は宝くじとか送ってきそうだな。」
タクミ「もう家族の投資信託じゃん。」
カズ「でも、こういうバカな運試し、嫌いじゃないわ。」
ダイキ「青春、たまに当たるくらいがちょうどいいんだよ!」
みんな笑った。
窓の外で、雪がひとひら舞った。
ユウの手元のロト用紙が、ほんの少しだけ光った気がした。
——当たったのは、一万円と、笑いの瞬間。
どっちもちゃんと、青春だった。




