白銀ロックフェス!〜へそピは冬眠しない〜
朝。
雪が積もった校庭に、仮設ステージ。
吐く息が白い。冷気が刺さる。
それでも俺たちは立っていた。
——杏仁豆腐、冬フェス初参戦。
ユウ「よっしゃ、今日も青春ぶちかますぞ!」
ダイキ「雪まみれの青春て、冷凍保存じゃね?」
カズ「でも、ミナミ先輩来るって言ってたぞ」
タクミ「お前、それ聞いた瞬間テンション上がりすぎじゃね?」
ユウ「いや、冬だし……へそピ出てないから、大丈夫」
タクミ「謎理論やめろ」
ダイキ「むしろ、そういう想像してる時点でアウトだわ」
⸻
◆ 開演前・部室にて
旧音楽室、通称“杏仁豆腐部”。
相変わらず寒くて、ドアの隙間から雪が入る。
ユウ「ストーブつけた?」
カズ「壊れてる!」
ダイキ「俺のベース、凍って弦が“パーン!”って鳴った!」
タクミ「俺たちの未来もパーン!だな」
バァン!
勢いよくドアが開く。
ナムサン「聞こえたわよォォ!!!」
ユウ「出たぁ!筋肉の使者!!」
ナムサン「寒い?動け!動かせば熱が出る!筋肉は裏切らないッ!!」
カズ「熱量だけで部屋の温度上がってる……」
安藤先生「ナムサン、あんたは黙ってなさい」
⸻
◆ 冬フェス・ステージ!
観客の中には、マフラーに包まれたミナミ先輩の姿。
雪の照り返しに、銀のピアスがきらっと光る。
ユウ(……やべ、見てる。へそピは……出てない。大丈夫、冬は安全圏)
ドラムを叩きながら、冷気の中で笑う。
手がかじかんでも、心は燃えてた。
カズ「コード変えられねぇ!」
ダイキ「雪でスラップできねぇ!」
タクミ「声出ねぇけど魂で歌う!!」
ユウ「叩けぇぇぇぇぇ!!」
吹雪と歓声が入り混じる。
杏仁豆腐の音が、白銀の空に響いていった。
⸻
◆ トラブル発生!!
ユウのスティックが滑って、ドラムからストーブ直撃。
「ボンッ!」
一瞬で火の手が上がる。
安藤先生「ユウぅぅ!何燃やしてんのよ!」
ナムサン「退けぇぇ!」
——バシュッ!
ヒールを鳴らし、ナムサン後ろ回し蹴り炸裂。
ストーブが宙を舞い、雪の中で爆散。
タクミ「物理で解決した!?」
カズ「ナムサン、マジで火消しの神」
ダイキ「俺、今キュってなった」
ユウ「俺も」
⸻
◆ ライブ後。
ミナミ先輩が近づいてきた。
頬を赤くして、笑いながら。
ミナミ「アンタら、ほんとバカね。でも……かっこよかったよ」
ユウ「……え、マジすか!?」
ミナミ「“冬でも熱いバカたち”って、SNSで話題になってたわよ」
ユウ「え、俺、バズった……?」
カズ「バズる方向が違う気がする」
タクミ「“ストーブ爆破系男子”ってタグ見た」
ユウ「やめろォォォ!」
ミナミ「……でも、アンタのドラム、前よりずっと良かったよ」
ユウ「そ、そんな……いやまぁ……へそピ出てないから落ち着いて叩けたのかも」
ミナミ「は?」
ユウ「すみませんでした!!!」
⸻
◆ エンディング
夕焼けに染まる雪の校庭。
みんなで片付けながら笑ってた。
ダイキ「結局、筋肉と爆発とフェチの祭りだったな」
カズ「杏仁豆腐、季節感ないよな」
タクミ「でも、青春ってそういうもんだろ」
ユウ「……ああ。バカやって、焦がして、凍えて。それでも楽しい」
安藤先生「もうやらないでね」
ナムサン「でも、青春は止まらないのよォォ!!!」
(そしてまたヒールが鳴る)
全員「うわ、また何か蹴ったぁぁ!!!」
——白銀の中に響く笑い声。
冬でも、杏仁豆腐は燃えていた。




