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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
328/342

初詣 ― 神々、参道に降る ―


──1月1日、午後。

神社の境内は、吐く息で白く霞んでいた。


ユウ「……眠い。」

カズ「そりゃ年越しあのテンションだったしな。」

タクミ「お前ら、夜明け前にお雑煮食う意味わかってんのか。」

ダイキ「うるせぇ、青春は寝かせねぇ!」


参道には屋台の匂い。

焼きそば、りんご飴、甘酒。

ユウが財布を覗いて言った。


「……五百円で、神に何ができると思う?」

カズ「破産前提で信仰語るな。」

タクミ「お前、神様より財布の方が悲鳴あげてんぞ。」


──そんなバカな会話をしていた、その時だった。


ざわっ……と人の波が割れる。

風が冷たく揺れる。


三つ、いや四つの影が、参道の奥から歩いてきた。


ミナミ、黒のロングコートに白いマフラー。

アイカ、灰の羽織に淡い口紅。

レイナ、ベージュのダウンとヒールで雪を蹴り、

マナティ、桜色のファーコートに小さな手袋。


まるで空気が“静電気を帯びた光”みたいに変わる。


ダイキ「……うわ、出た。神々の初詣モード。」

ユウ「反射してる……雪より眩しい。」

カズ「正月から信仰心テストすんな。」

タクミ「俺らもう並ぶ意味ないだろ。」


ミナミが立ち止まり、ユウを見る。

「……初詣くらいは、静かにできる?」

ユウ「すいません、息するのも賑やかで。」

ミナミ「……知ってる。」


ふっと笑った。

その瞬間、ユウの胸が少しだけ温かくなった。



◆お守り選び。


境内の屋台。

杏仁豆腐メンバーがごちゃごちゃ並んでいる。


ダイキ「交通安全!これだな!」

カズ「俺、学業成就にしとく。」

タクミ「恋愛成就……いや、やめとこ。フラグ立ちそう。」

ユウ「俺、見た目で決めるタイプだから。」


──数分後。


ユウ「はい、これ先輩。あけおめっす。」

ミナミ「……お守り?」

ユウ「色が先輩っぽかったんで。」


ミナミは袋を受け取り、指先で軽く開けた。

視線が止まる。


「……安産祈願、ね。」


沈黙。

参道の鈴の音すら止まった気がした。


レイナ「ちょ、ユウ!?」

アイカ「選考理由:見た目。結果:意味が深い。」

マナティ「ふふっ……先輩、願われてますね♡」

ダイキ「おい!新年早々アウト!!」

ユウ「ち、違うんすよ!袋がピンクで可愛かっただけで!!」

ミナミ「……言い訳が余計にバカ。」


ふっと笑って、マフラーの奥で小さく息をつく。

「ありがと。……縁起、良さそうね。」


ユウ「え、怒ってないんすか?」

ミナミ「安産だもの。……受け止める強さは必要でしょ。」


レイナ「……うわ、今の名言。」

アイカ「観測記録:神の器、桁違い。」

マナティ「青春は出産より難産♡」


ユウ「うわぁ……オチがひどい。」

ダイキ「いや、最高だろ!新年の初笑いだ!!」



雪がまた舞い始める。

参道の白に、光と笑い声が溶けていった。


ミナミはふと手元の安産祈願を見つめ、

その小さな袋をポケットにしまう。


──ほんのり、指先が温かかった。


——ギャラクティカ、新春開幕。


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