初詣 ― 神々、参道に降る ―
──1月1日、午後。
神社の境内は、吐く息で白く霞んでいた。
ユウ「……眠い。」
カズ「そりゃ年越しあのテンションだったしな。」
タクミ「お前ら、夜明け前にお雑煮食う意味わかってんのか。」
ダイキ「うるせぇ、青春は寝かせねぇ!」
参道には屋台の匂い。
焼きそば、りんご飴、甘酒。
ユウが財布を覗いて言った。
「……五百円で、神に何ができると思う?」
カズ「破産前提で信仰語るな。」
タクミ「お前、神様より財布の方が悲鳴あげてんぞ。」
──そんなバカな会話をしていた、その時だった。
ざわっ……と人の波が割れる。
風が冷たく揺れる。
三つ、いや四つの影が、参道の奥から歩いてきた。
ミナミ、黒のロングコートに白いマフラー。
アイカ、灰の羽織に淡い口紅。
レイナ、ベージュのダウンとヒールで雪を蹴り、
マナティ、桜色のファーコートに小さな手袋。
まるで空気が“静電気を帯びた光”みたいに変わる。
ダイキ「……うわ、出た。神々の初詣モード。」
ユウ「反射してる……雪より眩しい。」
カズ「正月から信仰心テストすんな。」
タクミ「俺らもう並ぶ意味ないだろ。」
ミナミが立ち止まり、ユウを見る。
「……初詣くらいは、静かにできる?」
ユウ「すいません、息するのも賑やかで。」
ミナミ「……知ってる。」
ふっと笑った。
その瞬間、ユウの胸が少しだけ温かくなった。
⸻
◆お守り選び。
境内の屋台。
杏仁豆腐メンバーがごちゃごちゃ並んでいる。
ダイキ「交通安全!これだな!」
カズ「俺、学業成就にしとく。」
タクミ「恋愛成就……いや、やめとこ。フラグ立ちそう。」
ユウ「俺、見た目で決めるタイプだから。」
──数分後。
ユウ「はい、これ先輩。あけおめっす。」
ミナミ「……お守り?」
ユウ「色が先輩っぽかったんで。」
ミナミは袋を受け取り、指先で軽く開けた。
視線が止まる。
「……安産祈願、ね。」
沈黙。
参道の鈴の音すら止まった気がした。
レイナ「ちょ、ユウ!?」
アイカ「選考理由:見た目。結果:意味が深い。」
マナティ「ふふっ……先輩、願われてますね♡」
ダイキ「おい!新年早々アウト!!」
ユウ「ち、違うんすよ!袋がピンクで可愛かっただけで!!」
ミナミ「……言い訳が余計にバカ。」
ふっと笑って、マフラーの奥で小さく息をつく。
「ありがと。……縁起、良さそうね。」
ユウ「え、怒ってないんすか?」
ミナミ「安産だもの。……受け止める強さは必要でしょ。」
レイナ「……うわ、今の名言。」
アイカ「観測記録:神の器、桁違い。」
マナティ「青春は出産より難産♡」
ユウ「うわぁ……オチがひどい。」
ダイキ「いや、最高だろ!新年の初笑いだ!!」
⸻
雪がまた舞い始める。
参道の白に、光と笑い声が溶けていった。
ミナミはふと手元の安産祈願を見つめ、
その小さな袋をポケットにしまう。
──ほんのり、指先が温かかった。
——ギャラクティカ、新春開幕。




