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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
327/340

年越しお泊まり in タクミ邸 〜妹、降臨す〜


──12月31日、午後9時。

杏仁豆腐は雪を踏みしめながらタクミ邸へ向かっていた。


ダイキ「寒っ!なんで徒歩!?」

ユウ「青春は徒歩で運ぶもんだろ!」

カズ「名言っぽく言うな、ただのアホだ。」

タクミ「うるさい、近所迷惑だ!」


玄関前、白い息と共に高級な柔軟剤の香り。

ユウ「……これが“杏”の家か。」

カズ「床がもう、“人間反省しろ”って反射してる。」


ピンポーン。


ドアが開く。現れたのは、ぱっつん黒髪の少女。

兄の妹、ミユ。


ミユ「……兄、またバカ連れてきたの?」

タクミ「バカ言うな!」

ミユ「じゃあ“うるさい現象群”でいい?」

ユウ「語彙の殺傷力!!」

ダイキ「こっちのIQが下がってく……!」



◆タクミ邸・居間


木目と白の部屋。完璧な整頓。

杏仁豆腐は緊張で姿勢が良い。


カズ「……生活音が一切しねぇ。」

ダイキ「ここ、青春禁止区域じゃね?」

ユウ「音が死んでる。床が吸音してる。」


キッチンから顔を出すミユ。

「そば、私が作る。兄は何もしないで。」

タクミ「俺の家なのに!?」

ミユ「その台詞がモテない原因。」

ミナミ「……教育のレベルが高いわね。」



◆恋バナ開戦


マナティ「せっかくだし、恋バナでもしよ♡」

ミユ「IQ下がる音した。」

ユウ「え、いきなり地獄。」

レイナ「恋愛トークは除夜の鐘より清めになるのよ。」

アイカ「観測記録開始。」


マナティ「ねぇユウくん、来年の初詣は誰と行きたい?」

ユウ「太宰治。」

全員「死者やめろ!!」


ミナミ「……相変わらずバカね。」

ユウ「褒めてます?」

ミナミ「褒め言葉で済むなら苦労しないわ。」


ミユ「……兄、この人たちと毎日一緒なの?」

タクミ「そうだけど?」

ミユ「そりゃIQ共鳴して下がるわ。」

ダイキ「分析やめろぉ!!」



◆兄の黒歴史、発掘。


ミユがふと思い出したように言った。

「そういえばさ。兄が“女装コンテスト出るから服貸して”って言ってきた時あったけど、あれ何だったの?」


一瞬、沈黙。

次の瞬間、爆笑。


レイナ「それ“幻の美女グランプリ”の時じゃん!」

カズ「185cmロリ服男、伝説回!」

ダイキ「夢に出たんだぞ、あれ!」


ミユ「こっちは悪夢だったよ。

 私の服が伸びて帰ってきたからね。

 “文化祭は戦争だ”とか言いながらピンクのカーディガン着てんの、

 家族会議になりかけた。」


マナティ「ふふっ、でも似合ってたよ♡」

ミユ「“でも”じゃないの。あれは災害。」

タクミ「やめろ、もう忘れてくれぇ!」


笑い声がこたつの熱に混ざって弾けた。

年越し前の夜なのに、すでに体感温度は春。



◆妹の一撃。


ミユ「兄。」

タクミ「なんだよ。」

ミユ「この中の誰が彼女さんなの?」


──空気、凍る。


ユウ「えっ!?いや、えっ!?ちがっ……」

レイナ「いい質問ねぇ妹ちゃん。」

アイカ「観測記録:集団の心拍数、上昇。」

マナティ「ふふ、恋の診察♡」

ミナミ「……余計な診察ね。」


ミユ「ふーん。兄以外は全員、青春に感染済みって感じ。」

ダイキ「それ、治らねぇやつだ!!」

タクミ「お前、年末に人の尊厳削るな!」

ミユ「兄だけは免疫力高いだけ。」

カズ「地味に致命傷だな、それ。」



◆カウントダウン


カズ「あと10秒!」

全員「10!9!8!」

──電気、パチン。


真っ暗。


ユウ「……え、これ演出?」

ミナミ「……青春、見えない方が落ち着くわね。」

レイナ「ミナミ、闇落ちすんな。」

ミユ「兄、青春って照明落とす儀式なの?」

マナティ(スマホライト)「ロマンチック〜♡」


笑いと光と湯気。

新年の夜が、まるで延長された青春みたいにきらめいた。



◆エピローグ


外では花火。

玄関先、全員で空を見上げる。


ユウ「……なんか、来年もバカでいけそうだな。」

ミナミ「バカの継続力、尊敬するわ。」

ミユ「兄、来年こそ彼女できるといいね。」

タクミ「やめろその締め!!」

カズ「令和最初の死亡確認。」

ダイキ「合掌!」


雪が舞い、笑いが夜空に溶けていく。

青春は、まだ冷めないこたつのように、そこにあった。


——バカたちの新年、開幕。


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