誕生日兼クリスマス ― まとめられた青春 ―
昼休み、教室。
黒板の端に「Merry Christmas!!」のチョーク文字。
ユウ「……あー、今年もクリスマスか。」
ダイキ「おい、テンション低っ!」
ユウ「俺、誕生日が25日なんだよ。」
カズ「あ、じゃあめっちゃ得じゃん!」
ユウ「逆だよ。“一緒でいいよね”って毎年まとめられるんだよ。」
タクミ「家族に?」
ユウ「うん。ケーキもプレゼントもワンセット。ローコスト仕様。」
ダイキ「お前の人生、サブスクみたいだな。」
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◆ 放課後。
校門を出ようとしたユウを呼び止める声。
レイナ「ちょっとアンタ、今ヒマ?」
ユウ「……なに?」
アイカ「調査。クリスマス=恋愛市場の動向分析。」
ミナミ「……という名の、口実。」
マナティ「わたし、ちゃんとお祝いしたいもん♡」
──“お祝い”。
その単語が、ユウの心に引っかかった。
ユウ「……いや、いいっすよ。いつものことなんで。」
レイナ「なにそれ。“バカが自分を安売りするセリフ”第1位!」
アイカ「そうね。“まとめて祝われる”って、“誰にも見てもらってない”のと同じ。」
マナティ「じゃあ、私たちが分割して祝う♡」
ユウ「分割?」
ミナミ「バカには理解できないと思うけど、
一人ずつ、“今日しかできない祝い方”をするの。」
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◆ 翌日。
1限後。机の上に置かれていたのは、
レイナからの手作りチョコクッキー。
ラッピングのリボンが派手。
「バカには甘い方が似合うでしょ!」
昼休み。アイカからはブックマーカー。
「思考が止まったら、これで再開しなさい。」
放課後。マナティからはメッセージカード。
「“まとめられない男”になってね♡」
そして帰り道。
校門の外で、ミナミが待っていた。
ユウ「……先輩まで、何かくれるんすか?」
ミナミ「別に。お祝いってほどじゃないけど。」
彼女がマフラーを少し引っ張って、ユウの首に巻く。
「……まとめられるのが嫌なら、
こうやって、ひとつずつほどいていけばいいのよ。」
ユウ「……先輩、言ってること難しいっす。」
ミナミ「バカにも届くように翻訳するとね。
“ちゃんと生きてて偉い”ってこと。」
ユウ「……それ、最高のプレゼントっすね。」
ミナミ「でしょ。」
風が吹く。
街のイルミネーションが、ちょっと滲んで見えた。
——“まとめられた青春”も、
誰かに分けてもらえば、ちゃんと光る。




