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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
324/337

恋か不整脈か ― 青春動悸の誤診 ―


昼休み。

教室の空気がざわざわしていた。

パンの袋を開ける音、笑い声、スマホの通知音。

その全部の下で、ひそひそと流れる噂があった。


カズ「なぁ、聞いた? 三年の佐伯先輩、ミナミ先輩に告白するらしい。」

ダイキ「マジで!? あの“イケメン界の終着駅”が!?」

タクミ「こりゃ校内の空気、酸素薄くなるぞ……」


ユウ「……え。」


手が止まった。

パンの欠片が落ちる。

一瞬だけ、教室の音が遠のいた。


カズ「どうした?ユウ。」

ユウ「いや……なんか、心臓変じゃね。」

タクミ「恋だろそれ。」

ユウ「いや、内臓だと思う。」

ダイキ「恋愛初心者すぎて内科案件出た!!」



◆ 放課後。


渡り廊下。

ミナミが佐伯先輩に呼び出されていた。

夕日がガラスに反射して、光の線が二人を囲む。


ユウは、廊下の陰から何気なく見てしまう。

──ほんとは、何気なくじゃない。


ミナミが何かを聞いて、小さく笑った。

その笑顔が、胸の奥をチクッと刺した。


ユウ(心の声)

「……別に、誰が誰を好きでもいいじゃん。

 あの人は綺麗だし、モテるし。

 ……でもなんで、笑ってんの見ただけで、呼吸乱れるんだ?」


風が吹いて、ミナミの髪が動いた。

それだけで、鼓動が二拍ズレる。


ユウ「……やべ、不整脈だ。」

タクミ「いや恋だよ。」

ユウ「違う。たぶん急に立ったから血圧が。」

ダイキ「現実逃避の方向が医療。」



◆ 翌日。


朝の教室は静かだった。

けどその静けさは“嵐の前の静けさ”だった。


カズ「なぁ、噂聞いた?」

ダイキ「まさか……!」

カズ「ミナミ先輩、断ったらしい。」


沈黙。

ユウが小さく息を呑む。

誰も何も言わない。


タクミ「……顔、真っ赤だぞ。」

ユウ「……寒いから。」

カズ「目、うるんでる。」

ユウ「……花粉だよ。」

ダイキ「季節、冬だぞ。」


タクミ「なぁユウ。お前、気づいてんのか?」

ユウ「何を?」

タクミ「自分が恋してることに、だよ。」

ユウ「……いや、心臓がバグってるだけだと思う。

昨日、寝る前に牛丼食ったし。」


三人「いや、恋ぃぃぃ!!!」



◆ 放課後、昇降口。


靴を履き替えていると、

背後でヒールの音。


ミナミ「……顔色、悪いわよ?」

ユウ「あ、いや、血の巡りが……」

ミナミ「病気?」

ユウ「……不整脈かもしれないっす。」

ミナミ「……恋ね。」

ユウ「はい、不整脈っす。」

ミナミ「……まぁ、どっちでも青春よ。」


小さく笑って、彼女は去っていく。

ユウは、胸に手を当てた。


「……おかしいな。治らねぇ。」



◆ 翌朝。


保健室前。

ユウが申請書を書いている。

理由欄:「胸の動きが激しい」


カズ「それもう病気じゃなくて、感情だろ。」

ダイキ「青春って心拍計で測れんのかな?」

タクミ「いや、お前らもう書くな。あいつ、恋を誤診してんだよ。」


窓の外、ミナミが通る。

風が髪を揺らす。

ユウの心臓がまたドクンと跳ねる。


ユウ「……うわ、また脈ズレた。」


──青春、誤診中。


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