理想接近計画 ― つり目矯正大作戦 ―
昼休み、教室。
女子の恋バナが自然と聞こえてくる。
女子A「やっぱタレ目男子って優しそうでモテるよね〜」
女子B「うん!怒ってても優しそうじゃん」
マナティ「ふふ、つまり“守ってくれそう感”ね♡」
その会話を聞いたユウ、動きを止める。
ユウ(心の声)「……俺、つり目だ。」
カズ「嫌な顔してんぞ。どうした?」
ユウ「……理想、遠い。」
タクミ「また漫画みたいな悩み言ってるよ。」
ダイキ「つり目でもええやん!猫っぽくて!」
ユウ「いや、俺は犬寄りで生きてきたんだよ!!」
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◆ 改造開始。
黒板にデカ文字。
『タレ目化プロジェクト2025』
タクミ「バカが集まってきた。」
カズ「もう嫌な予感しかしない。」
ユウ「まずは姿勢から。猫背で優しそうに見せる!」
ダイキ「お前、それただの腰痛予備軍。」
タクミ「表情は?」
ユウ「目を細めて、まぶたをリラックス……」
(ぱちん)──まぶた、つった。
カズ「もう限界きてるぞ人間として!」
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◆ 第2フェーズ:メイク作戦。
放課後、レイナとアイカを巻き込む。
レイナ「タレ目……?それ、アイラインでなんとかなるよ。」
アイカ「でも、やりすぎると“眠そう”に見えるわよ。」
ユウ「眠そうでもいいっす、優しく見えれば。」
レイナ「よし、じゃあギャル補正入れよ♡」
──数分後。
ダイキ「おい、教室に新手のヴィジュアル系おるぞ!」
タクミ「いや、猫通り越してパンダだろこれ!」
ユウ「鏡の中の俺、優しい……(違う意味で)」
ミナミ通過。
ミナミ「……それ、寝不足なの?それとも生き方?」
ユウ「恋です。」
ミナミ「……病気だわ。」
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◆ クライマックス:理想との邂逅。
偶然、さっきの女子Aとすれ違う。
ユウ、期待を込めて会釈。
女子A「あれ?ユウくん、なんか今日……顔、ゆるんでない?」
ユウ(内心ガッツポーズ)
女子A「疲れてる?無理しないでね!」
──完全に誤解の優しさ。
ダイキ「理想には近づいた。方向は真逆だけど。」
カズ「優しそうには見えたな。ゾンビみたいに。」
ユウ「……でも、声かけてもらえたんだよな。」
タクミ「それ恋じゃなくて、看護だよ。」
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◆ ラスト。
夕焼けの廊下。
ミナミ「……理想って、無理に近づくものじゃないのよ。」
ユウ「じゃあどうすれば?」
ミナミ「歩きながら、勝手に近づいてくもの。」
ユウ「……それ、恋の話っすか?」
ミナミ「さぁね。」
風が吹き、ユウのアイラインが落ちた。
でも、笑ってた。
——“理想”に振り回されるのも、青春。




